この記事でわかること
- 常設型と可搬式の粉体・粒体搬送設備の違い
- 常設設備が向いている現場
- 可搬式設備が向いている現場
- 使用頻度から設備を選ぶ考え方
- 複数工程で1台を共用するメリット
- 工場内エアーを活用する方法
- ジェクターによる長距離・高所搬送
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
粉体・粒体搬送設備を導入するとき、
「設備を工場に常設した方がいいのか?」
「必要なときだけ使える可搬式の方がいいのか?」
と悩むことがあります。
例えば、
- 毎日同じ原料を搬送する
- 月に数回だけ設備を清掃する
- 年1回の定期修繕で使用する
- 工場内の複数箇所で使いたい
- 複数の現場へ持ち込みたい
では、適した設備構成が異なります。
粉体・粒体搬送設備は、
搬送能力が高ければよい
というものではありません。
重要なのは、
どのくらいの頻度で、どの場所で、何の作業に使用するのか
です。
本記事では、常設型と可搬式の粉体・粒体搬送設備の違いと、それぞれが適している現場について解説します。
常設型の粉体搬送設備とは?
常設型とは、工場やプラントの決められた場所へ設置し、基本的に同じ搬送ルートで使用する設備です。
例えば、
- ベルトコンベア
- スクリューコンベア
- バケットエレベーター
- 固定配管式の空気搬送設備
などがあります。
原料供給や製造工程の一部として設備を組み込み、
毎日繰り返し同じ搬送を行う
用途に適しています。
可搬式の粉体搬送設備とは?
可搬式とは、必要な場所へ設備を移動させながら使用できる方式です。
例えば、
今日は設備Aの清掃
↓
翌日は設備Bの原料回収
↓
定修時には炉内部の資材回収
というように、1台を複数用途へ活用できます。
空気搬送機「ジェクター」は、本体とホースを現場条件に合わせて配置できるため、可搬式設備として使用することも可能です。
常設設備が向いているケース① 毎日同じ工程で使用する
例えば、
原料サイロ
↓
製造設備
へ毎日大量の材料を搬送する場合です。
搬送ルートが変わらず、使用頻度も高いのであれば、常設設備をラインへ組み込むメリットが大きくなります。
毎回、
- ホースを接続する
- 設備を移動する
- 設置位置を調整する
必要がなくなるためです。
常設設備が向いているケース② 自動化したい
製造ライン全体を、
原料投入
↓
搬送
↓
加工
↓
排出
まで連続的に自動運転したい場合には、固定式設備が向いています。
例えばセンサーや制御盤と連動させ、
ホッパー残量低下
↓
自動供給
↓
設定量で停止
といった設備構成を作る場合です。
常設設備が向いているケース③ 大量の資材を連続搬送する
非常に大量の材料を毎日長時間搬送する場合には、
その工程専用に設計した固定設備
の方が合理的な場合があります。
粉体搬送設備では、
- 搬送量
- 稼働時間
- 稼働率
も重要な設備選定条件です。
可搬式設備が向いているケース① 使用場所が複数ある
例えば工場内に、
- コンベア下
- ホッパー
- ピット
- 原料投入設備
- 製造設備内部
など複数の作業場所がある場合です。
それぞれへ専用の搬送設備を設置すると、設備台数も増えます。
一方、可搬式設備であれば、
必要な場所へ1台を移動させながら使用する
ことができます。
可搬式設備が向いているケース② 使用頻度が低い
例えば、
- 月1回
- 数か月に1回
- 年1回
しか行わない作業です。
年1回の設備清掃のためだけに、大型の固定搬送設備を設置することが合理的とは限りません。
XML内の既存記事でも、年1回程度の炉内清掃であれば、大規模な固定設備より可搬式のジェクターとホースが合理的な場合があると整理されています。
可搬式設備が向いているケース③ 定期修繕
発電所や焼却施設、化学プラントでは、定期修繕時に、
などを回収する作業があります。
XML内でも、定修工事ではこうした回収・清掃工程が発生するとされています。
作業期間だけ設備を設置し、終了後に撤去できる可搬式設備は、このような用途に適しています。
可搬式設備が向いているケース④ 工場レイアウトが変わる
生産設備の増設や工程変更によって、
- 搬送元
- 搬送先
- 作業場所
が変わる工場もあります。
固定設備の場合、レイアウト変更に伴って、
- 配管改造
- 架台変更
- 電源工事
などが必要になる場合があります。
可搬式であれば、本体位置やホースルートを変更することで対応できる可能性があります。
可搬式設備が向いているケース⑤ 仮設工事
橋梁工事やプラント定修など、
工事期間中だけ搬送設備が必要
という現場もあります。
固定設備を作る必要がないため、作業終了後に撤去して次の現場へ持ち込めます。
「使用頻度」で考えると判断しやすい
設備選定で迷った場合には、
1年間に何日使うのか
を考えてみると分かりやすくなります。
例えば、
年間300日使用
毎日同じ工程で使用するのであれば、常設化を検討しやすくなります。
月に数回
可搬式で必要なタイミングだけ使用する方法も有力です。
年1~2回
定修・清掃用途であれば、可搬式のメリットがさらに大きくなります。
「1台を何種類の作業に使えるか」も重要
可搬式設備では、
設備価格÷1つの用途
だけで考える必要はありません。
例えばジェクター1台を、
- 原料投入
- 設備間搬送
- 設備清掃
- 堆積物回収
- 定期修繕
へ共用できれば、設備の利用価値を高められます。
XML内の公開記事でも、設備投資では「1回の作業でどれだけ得か」だけでなく、1台を何種類の作業へ利用できるかという視点が示されています。
例えば1台をこう使う
通常運転時
フレコン
↓
ジェクター
↓
ホッパー
として原料投入。
生産終了後
設備下部
↓
ジェクター
↓
フレコン
としてこぼれた材料を回収。
定期修繕
炉内部
↓
ジェクター
↓
回収設備
として残留物を回収。
このように、
同じ設備を用途ごとに使い分ける
ことができます。
ジェクターは可搬式だけでなく常設運用も可能
ジェクターは可搬式として使用されるケースが多いですが、
必ず毎回移動させなければならないわけではありません。
毎日同じ設備で使用する場合には、
- 本体位置
- ホース
- エアー配管
をある程度固定し、常設に近い形で運用することもできます。
つまり、
完全固定設備と完全可搬式の中間
という運用も可能です。
常設と可搬式を組み合わせる方法もある
すべてをどちらか一方へ統一する必要もありません。
例えば、
メイン搬送ライン
→ 固定設備
設備清掃
→ 可搬式ジェクター
定期修繕
→ 可搬式ジェクター
というように役割分担できます。
この方法であれば、
大量・連続搬送は固定設備
不定期・複数場所の作業は可搬式
と、それぞれの長所を活かせます。
工場内エアーがあると可搬式運用がしやすい
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
圧縮空気は、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 条件を満たした工場内エアー
から供給できます。
工場内に複数のエアー取り出し口があれば、
設備Aで使用
↓
ジェクターを移動
↓
設備Bのエアー取り出し口へ接続
という運用も検討できます。
工場内エアーを利用する場合の確認ポイント
ただし、各取り出し口で同じ能力を発揮できるとは限りません。
確認したいのは、
- 圧力
- 空気量
- エアー配管径
- 取り出し口径
- 他設備との同時使用
などです。
工場全体では十分なコンプレッサー能力があっても、枝管が細ければ必要な空気量を確保できない場合があります。
電源を取りにくい場所でも運用しやすい
ジェクター本体は圧縮空気を利用するため、本体内部に電動モーターを持ちません。
そのため、
- 高所
- 狭所
- 仮設現場
- 工場内部
など、作業場所にジェクター本体用のモーター電源を確保しにくい現場でも検討できます。
可搬式設備では、現場ごとに電源条件が変わるため、この特徴は大きなメリットになります。
ホースを交換すれば搬送ルートを変更できる
固定式の配管では、搬送ルートを変更する場合に工事が必要になることがあります。
一方、ホースを利用する可搬式設備では、
- 長さを変更する
- 通す場所を変更する
- 搬送先を変更する
ことができます。
そのため、
今日は設備A
↓
明日は設備B
といった運用が可能です。
長距離搬送でも可搬式を活用できる
「可搬式=短距離専用」
というわけではありません。
ジェクターでは搬送条件によって、
排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケース
があります。
そのため、
- 工場の反対側
- 別棟
- 屋外ヤード
- 離れた回収場所
までホースを伸ばす運用も検討できます。
高所搬送にも対応可能
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度の高所搬送が可能なケース
もあります。
例えば、
- 高所ホッパー
- サイロ
- 上階設備
への投入です。
XML内にも、長距離搬送の記事として排出側200m程度、高さ100m程度を目安として扱う公開記事があります。
吸引側は5m程度を推奨
ジェクターを可搬式で使用する大きなメリットの一つが、
本体を搬送物の近くへ持っていけること
です。
吸引側については5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているケースもありますが、
搬送物
↓
短い吸引ホース
↓
ジェクター
↓
長い排出ホース
↓
搬送先
という構成を基本として考えます。
可搬式だから吸引側を短くしやすい
例えば設備下部の材料を回収するとき、
固定設備が50m離れている
場合には吸引距離が長くなります。
一方、ジェクター本体を設備の近くまで移動できれば、
吸引5m
↓
ジェクター
↓
排出50m
という構成に変更できます。
可搬性は単純に「運べる」というだけでなく、
搬送条件を現場ごとに最適化しやすい
というメリットでもあります。
可搬式設備では保管方法も考える
使用しない期間がある場合には、
- 本体
- ホース
- 接続部品
をどこへ保管するかも考えておく必要があります。
特にホースは、
- 直射日光
- 水分
- 潰れ
- 強い折れ
などを避けて保管することが重要です。
搬送物が変わる場合には清掃も必要
1台を複数用途へ使用する場合、
今日は材料A
↓
翌日は材料B
ということがあります。
異なる原料を扱う場合には、
- ホース内の残留
- 本体内部
- 回収設備
などを確認し、必要に応じて清掃します。
特に異物混入を避けたい製造工程では重要です。
摩耗性の異なる材料ではホースを使い分ける
例えば、
- 木質ペレット
- パーライト
と、
- ブラスト材
- 焼却灰
- スラグ
では摩耗条件が異なります。
ジェクターでは排出側が特に摩耗しやすい箇所になるため、エコワークでは搬送物に応じて排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
複数用途へ使用する場合には、材料別にホースを使い分ける方法もあります。
集粉が必要な作業ではジェクロンと組み合わせる
可搬式の回収作業で、
- 焼却灰
- フライアッシュ
- 微粉体
を扱う場合には、集粉機「ジェクロン」と組み合わせることもできます。
ジェクター
↓
ジェクロン
↓
フレコン
とすることで、
- 回収
- 搬送
- 空気と資材の分離
- 集粉
- フレコン回収
まで行うことができます。
常設か可搬式か判断するためのチェックポイント
設備導入前には、次の点を確認します。
- 1年間で何日使用するか
- 1日に何時間使用するか
- 搬送場所は固定か
- 複数工程で使うか
- 必要搬送量はどの程度か
- 自動運転が必要か
- 定修時だけ使うのか
- 工場レイアウトが変更される可能性はあるか
- 工場エアーを利用できるか
- 設備保管場所を確保できるか
これらを整理すると、常設・可搬式のどちらが向いているか判断しやすくなります。
設備価格だけで比較しない
例えば固定設備の方が設備本体価格が高くても、
毎日使用し、
人手作業を大幅に削減できる
のであれば合理的な場合があります。
逆に、
年1回しか使用しない作業に大型固定設備を設置する
場合には、設備稼働率が低くなります。
そのため、
導入価格÷使用回数
という視点も重要です。
可搬式では「稼働率」を高めやすい
例えば1台のジェクターを、
- 原料投入
- 清掃
- 回収
- 定期修繕
で共用すれば、年間の使用回数を増やすことができます。
設備が倉庫に眠る期間を減らし、
1台をできるだけ多く活用する
ことで投資効果を高められる可能性があります。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
可搬式設備では、現場によって、
- ジェクターを置く位置
- エアーを取る場所
- 吸引側の長さ
- 排出側の長さ
- ホースルート
が変わります。
そのため、設備そのものだけでなく運用方法が重要です。
エコワークではジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で使い方や運用方法の指導を行っています。
「常設した方がいいのか」
「1台を持ち回った方がいいのか」
といった段階から、現場条件に合わせて設備構成をご提案します。
まとめ
粉体・粒体搬送設備では、
常設型と可搬式のどちらが優れているというものではありません。
重要なのは、
現場の使用条件に合っているか
です。
常設設備は、
- 毎日使用する
- 大量搬送する
- 搬送ルートが固定
- 自動化したい
現場に向いています。
一方、可搬式設備は、
- 複数箇所で使用する
- 使用頻度が低い
- 定期清掃や定修で使用する
- 仮設現場で使用する
- 工場レイアウトが変わる
現場に適しています。
ジェクターは、
- コンプレッサーまたは条件を満たした工場内エアーを使用可能
- 吸引・搬送・投入・排出に対応
- 可搬式として複数用途へ使用可能
- 条件によって排出側200m程度の長距離搬送
- 条件によって高さ100m程度の高所搬送
に対応できます。
吸引側については5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用されるケースもあります。
「年数回しか使わない作業に固定設備を入れるべきか迷っている」
「1台を複数設備で使いたい」
「工場内エアーを使いながら移動して運用したい」
「常設と可搬式のどちらが費用対効果に優れるかわからない」
といった場合は、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
使用頻度・搬送量・設備配置・エアー条件を確認し、現場に合った設備構成をご提案いたします。
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