この記事でわかること
- 工場内エアーとは何か
- 空気搬送機に工場内エアーを利用できるのか
- 既設エアーを活用するメリット
- 使用前に確認したい圧力・空気量
- 工場エアー利用時に起こりやすい注意点
- ジェクターで工場内エアーを活用する方法
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
製造工場やプラントでは、
- エアーツール
- エアーシリンダー
- 計装機器
- 清掃設備
などを使用するため、工場内に圧縮空気の配管が整備されていることがあります。
こうした現場で空気搬送機を検討すると、
「新しくコンプレッサーを用意する必要があるのか?」
「工場にあるエアー配管をそのまま使えないのか?」
という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
空気搬送機「ジェクター」は圧縮空気を動力として使用するため、必要な圧力・空気量を確保できる条件であれば、コンプレッサーだけでなく工場内に整備された既設エアーを利用することも可能です。
既存の圧縮空気設備を活用できれば、新たな動力設備の準備を減らせる可能性があります。
本記事では、工場内エアーを利用して粉体・粒体を搬送する際のメリットと、事前に確認しておきたいポイントについて解説します。
工場内エアーとは?
工場内エアーとは、工場やプラントに設置されたコンプレッサーで作られた圧縮空気を、配管を通じて各設備へ供給する仕組みです。
工場によっては建屋全体にエアー配管が設置され、
必要な場所にある取り出し口へホースを接続することで圧縮空気を使用できます。
このような既設設備がある現場では、新たな機械を導入する際にも工場エアーを利用できる可能性があります。
ジェクターは工場内エアーでも使用可能
ジェクターは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機です。
圧縮空気の供給源は、
単独のコンプレッサーでなければならないわけではありません。
必要な条件を満たしていれば、
工場内の既設エアー配管から圧縮空気を供給して使用することも可能です。
そのため、既に十分な圧縮空気設備が整っている工場では、設備導入の選択肢が広がります。
工場内エアーを利用するメリット
別途コンプレッサーを準備しなくてよい可能性がある
空気搬送機を使用するために、毎回コンプレッサーを現場へ搬入すると、
- 車両による搬送
- 設置場所の確保
- 配管・ホース接続
- 撤去作業
などが必要になります。
工場内エアーを利用できれば、こうした準備を減らせる可能性があります。
設置スペースを減らしやすい
工場内では、
- 生産設備
- 通路
- 原料置き場
- フォークリフト動線
などがあり、大型設備を追加するスペースが限られていることがあります。
既設のエアー取り出し口を使用できれば、コンプレッサーそのものを作業場所付近へ設置する必要がないため、現場レイアウトの自由度が高まります。
日常的な搬送作業へ導入しやすい
定期修繕などの一時的な作業だけでなく、
- 原料投入
- 設備間搬送
- 粉体回収
- 清掃
などを日常的に行う場合、工場エアーを活用できると運用しやすくなります。
必要なときにジェクターを接続して使用できる環境を構築できれば、外部設備の手配を減らせる可能性があります。
工場内エアーなら何でも使えるわけではない
ここで重要なのが、
「エアー配管がある=そのままジェクターを使用できる」
とは限らないことです。
ジェクターを運転するには、機種や搬送条件に応じた、
- 圧力
- 空気量
が必要になります。
工場エアーの供給能力が不足すると、十分な搬送性能を発揮できない場合があります。
確認ポイント① エアー圧力
まず確認したいのが、圧縮空気の圧力です。
工場内のエアー配管には一定の圧力が供給されていますが、
- 配管距離
- 設備の使用状況
- 圧力損失
などによって、実際の取り出し口での圧力が変わる場合があります。
そのため、コンプレッサーの設定値だけでなく、ジェクターを接続する場所でどの程度の圧力を確保できるかを確認することが重要です。
確認ポイント② 空気量
圧力と同じくらい重要なのが、供給できる空気量です。
圧力が確保できていても、必要な空気量が不足すると、
- 吸引力が安定しない
- 搬送量が低下する
- 長距離搬送が難しくなる
場合があります。
ジェクターの機種によって必要となるエアー量が異なるため、設備選定時に確認する必要があります。
確認ポイント③ 他設備との同時使用
工場エアーは、ジェクターだけが使用するとは限りません。
同じ系統で、
- エアーツール
- シリンダー
- 生産設備
- 清掃機器
などが稼働している場合があります。
他設備が大量の圧縮空気を使用した瞬間に、
エアー圧力や供給量が低下する
可能性があります。
その結果、ジェクターの搬送能力が一時的に低下することも考えられます。
そのため、
ジェクター運転中にどの設備が同時稼働するのか
も確認したいポイントです。
確認ポイント④ エアー配管径
工場内のコンプレッサーに十分な能力があっても、ジェクターまでつながる配管が細ければ、十分な空気を供給できない場合があります。
例えば、
大型のメイン配管
↓
細い枝管
↓
ジェクター
という構成になっている場合、枝管部分が供給能力の制限になる可能性があります。
そのため、
- コンプレッサー能力
- 配管径
- 配管距離
- 接続口径
を一連のシステムとして確認することが重要です。
確認ポイント⑤ エアー漏れ
工場内エアー配管では、
- 継手
- ホース
- カプラー
- バルブ
などからエアー漏れが発生している場合があります。
小さなエアー漏れでも、複数箇所で発生すると供給能力へ影響する可能性があります。
搬送能力が以前より低下した場合には、ジェクターだけでなくエアー供給系統も確認しましょう。
確認ポイント⑥ 圧縮空気に含まれる水分
粉体搬送では、圧縮空気に含まれる水分も重要です。
既存記事でも、圧縮空気や搬送物が湿気を含むことで粉体が付着・固着しやすくなることを紹介しています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
特に、
- 吸湿性の高い粉体
- 固結しやすい粉体
- 微粉体
などでは、湿気によって搬送状態が変化する場合があります。
そのため必要に応じて、
- エアドライヤー
- ドレン管理
- フィルター
などの状態も確認します。
工場エアーを利用できればランニングコスト面でもメリット
工場内に十分な圧縮空気設備が既にあり、その余力を活用できる場合には、
別途コンプレッサーを、
- レンタル
- 搬入
- 設置
する必要を減らせる可能性があります。
もちろん工場エアーそのものを作るためにも電力コストは発生します。
そのため「無料で動かせる」という意味ではありません。
しかし設備導入を考える際には、
既存インフラを活用できるか
という視点で比較することが重要です。
公開中サイトにはすでに、粉体搬送設備のランニングコストを扱う記事があります。
工場エアーの活用は、その運用コストを検討する際の一つの重要な条件になります。
ジェクターなら設備本体に電動モーターが不要
ジェクターは圧縮空気を利用するため、本体内部に電動モーターや回転部などの駆動装置を持たないシンプルなストレート構造です。
これにより、
- モーター用電源の確保
- ベアリングなど駆動部の保守
- チェーン・ベルト類の調整
といった機械式搬送設備とは異なる運用が可能です。
既存記事でも、ジェクターは駆動部を持たない構造によってメンテナンス負担を抑えやすい設備として紹介しています。
工場内エアー+ホースで柔軟な設備配置が可能
工場エアーの取り出し口が近くにあれば、
圧縮空気配管 ↓ ジェクター ↓ 搬送ホース ↓ 目的地
というシンプルな構成を検討できます。
固定コンベアの設置が難しい現場でも、ホースを利用することで、
- 既存設備を避ける
- 柱の間を通す
- 建屋内を移動する
- 高所まで伸ばす
といった搬送ルートを構築できる可能性があります。
ジェクターでは排出側200m程度の長距離搬送も可能
ジェクターでは搬送物やエアー供給能力、ホース径、搬送ルートなどの条件によって、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
工場エアーを利用する場合でも、
十分な圧力・空気量を確保できるか
が非常に重要です。
長距離搬送では空気供給不足による影響が大きくなるため、事前に条件を確認します。
条件によっては高さ100m程度の搬送にも対応
ジェクターでは条件によって、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
例えば、
- 高所ホッパーへの投入
- サイロへの供給
- 建屋上部への搬送
- プラント上層階への投入
などです。
ただし、
- 水平距離
- 高低差
- 搬送物
- 必要搬送量
- エアー供給能力
によって搬送条件は大きく変わります。
ジェクターでは吸引側5m程度を推奨
ジェクターでは、吸引側と排出側で考え方が異なります。
吸引側については、5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、基本的にはジェクター本体を材料の近くへ配置します。
そして、
搬送物 ↓ 短い吸引ホース ↓ ジェクター ↓ 長い排出ホース ↓ 搬送先
という配置にします。
工場内エアーの取り出し位置と、ジェクター本体の設置位置を合わせて検討することがポイントです。
工場エアーを利用するときの設備配置例
例えば、
原料置き場
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↑
工場内エアー配管
↓
排出ホース
↓
高所ホッパー
という設備構成が考えられます。
この構成であれば、材料の近くへジェクターを設置しながら、工場に整備された圧縮空気を動力として利用できます。
工場内の原料投入作業にも活用できる
工場では、
フレコンバッグ
↓
人力・フォークリフト
↓
ホッパー
という投入作業が行われることがあります。
空気搬送を利用できれば、
材料置き場から投入設備までホースで直接搬送する
という方法も検討できます。
これにより、
- 人力運搬の削減
- フォークリフト移動の削減
- 高所投入作業の省力化
につながる可能性があります。
日常清掃・堆積物回収にも活用できる
工場内では、
- コンベア周辺
- 設備下部
- ピット
- 機械周辺
などに粉体・粒体が堆積することがあります。
工場エアーが利用できる環境であれば、ジェクターを必要な場所へ移動させて回収する運用も検討できます。
日常的な清掃作業を設備化することで、作業員の負担軽減につながります。
「工場エアーで動くか?」を確認するために必要な情報
お問い合わせの際には、
- 使用予定のジェクター
- 搬送する資材
- 粒径
- 比重
- 必要搬送量
- 水平搬送距離
- 高低差
- 工場エアーの圧力
- 供給可能な空気量
- エアー配管径
- 取り出し口径
- 他設備の使用状況
などの情報があると、具体的に検討しやすくなります。
工場の設備担当者様にエアー配管仕様をご確認いただくことで、導入判断も進めやすくなります。
工場エアーの能力が不足する場合はコンプレッサーを使用する
既設エアーがあるからといって、必ずそれを使う必要はありません。
供給能力が不足する場合には、
ジェクター専用のコンプレッサーを用意する
という方法もあります。
つまりジェクターでは、
- 工場内エアー
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
など、現場条件に合わせて圧縮空気の供給方法を検討できます。
重要なのは「空気搬送機だけ」を見ないこと
設備導入を検討する際、
「ジェクターは何t/h搬送できるか」
という設備単体の能力だけを確認してしまいがちです。
しかし実際には、
圧縮空気供給源 + ジェクター + ホース + 搬送ルート
が一つの搬送システムです。
どこか一つに能力不足があると、十分な性能を発揮できません。
そのため現場全体を確認したうえで設備構成を考えることが重要です。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
工場エアーを利用する場合には、
- どのエアー取り出し口を利用するか
- ジェクターをどこへ置くか
- 吸引ホースをどの程度にするか
- 排出ホースをどう取り回すか
- 十分なエアー量を確保できるか
などを現場に合わせて検討する必要があります。
エコワークでは、ジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で操作方法や運用方法の指導も行っています。
実際の設備や搬送物を確認しながら、工場内エアーを活用できるかを含めて、現場に合った運用方法をご提案します。
まとめ
空気搬送機ジェクターは、圧縮空気を動力として使用するため、
コンプレッサーだけでなく、条件が合えば工場内の既設エアーを利用して運転することも可能です。
既存の圧縮空気インフラを利用できれば、
- コンプレッサー搬入の削減
- 設置スペースの削減
- 日常的な設備運用
- 既存インフラの有効活用
につながる可能性があります。
ただし、
- 圧力
- 空気量
- 配管径
- 他設備との同時使用
- 湿気
- エアー漏れ
などを確認する必要があります。
また、ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できる可能性があります。
「工場エアーでジェクターを使えるか知りたい」
「コンプレッサーを増設せず粉体搬送を導入したい」
「既設の圧縮空気設備を活用して原料投入を省力化したい」
といったご相談がありましたら、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
工場のエアー供給条件や搬送物、搬送ルートを確認したうえで、最適な設備構成をご提案いたします。
関連動画
タンカー船内 木質ペレット回収・搬送作業
→ 圧縮空気を動力として、木質ペレットをホースで回収・搬送している実際の事例です。
橋梁塗装現場 ブラスト材回収・分別作業
→ ジェクターを使用してブラスト材を回収・搬送している導入事例です。
パーライト保温材回収・投入作業
→ 圧縮空気を利用してパーライトの回収・搬送・投入を行っている事例です。
関連記事
粉体搬送設備のランニングコストを抑えるには?運用コスト削減のポイントを解説
→ 搬送設備を長期運用する際に発生する電力・メンテナンス・人件費などの考え方を解説しています。

粉体搬送設備を長持ちさせるには?設備寿命を延ばす運用・メンテナンスのポイント
→ エアー供給管理や摩耗対策など、設備を長期間安定して使用するためのポイントを紹介しています。

コンプレッサーの湿気が粉体搬送に与える影響とは?梅雨時期に発生しやすいトラブルと対策
→ 圧縮空気に含まれる水分が粉体の付着・固結へ与える影響について解説しています。

粉体・粒体はどこまで搬送できる?搬送距離と設備選定のポイントを解説
→ 長距離・高所搬送で確認したいエアー供給能力や搬送条件について詳しく解説しています。

