この記事でわかること
- 粉体搬送設備で発生する主なランニングコスト
- 設備価格だけで比較すると見落としやすいコスト
- 人力による清掃・運搬作業を見直す考え方
- コンプレッサーの圧縮空気を利用する際のポイント
- 摩耗・部品交換・メンテナンス費用を抑える方法
- 材料ロスや清掃時間を減らす方法
- ジェクターを活用した搬送・回収作業の省力化
はじめに
粉体・粒体搬送設備を導入するとき、最初に目につきやすいのが「設備本体の価格」です。
しかし、設備は導入して終わりではありません。
実際には、
- 電力・圧縮空気などのエネルギー
- 点検・メンテナンス
- 摩耗部品の交換
- 清掃・運搬に必要な人員
- 搬送中に発生する材料ロス
- 設備停止による作業時間
など、運用を続けるためのコストが発生します。
そのため粉体搬送設備を比較するときは、購入価格だけではなく、導入後にどのような費用や作業が発生するかまで考えることが重要です。
この記事では、粉体搬送設備のランニングコストを構成する要素と、空気搬送機「ジェクター」を活用して搬送・回収作業を省力化する考え方を解説します。
実際のジェクターによるPKS回収・搬送動画
タンカー船内でのPKS(ヤシ殻)回収・搬送
→ タンカー船内に残ったPKSを、ジェクターで吸引・搬送している実際の作業動画です。
このように、材料が残っている場所からホースで直接吸引し、離れた回収場所まで搬送することができます。
空気搬送機「ジェクター」は、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
粉体・粒体の搬送そのものだけでなく、これまで人力で行っていた「集める・運ぶ・投入する」といった工程まで含めて見直すことで、ランニングコスト削減につながる可能性があります。
粉体搬送設備のランニングコストとは?
設備を運用すると、さまざまな費用が発生します。
代表的なものは、
- エネルギーコスト
- メンテナンス費用
- 消耗品・交換部品
- 人件費
- 清掃費
- 材料ロス
です。
さらに現場によっては、設備の故障や配管閉塞などによる停止時間も無視できません。
重要なのは、機械そのものの維持費だけでなく、その設備を使うために必要な作業まで含めて考えることです。
1.エネルギーコスト
粉体搬送設備では、方式によって電力や圧縮空気などを使用します。
空気搬送の場合、
- 搬送物
- 搬送距離
- 高低差
- 配管径
- 曲がり
- 必要搬送量
- 運転時間
などによって必要な空気量が変わります。
そのため、必要以上に大きな設備を選べばよいとは限りません。
ジェクターでは既設の圧縮空気を利用できる場合がある
工場やプラントにコンプレッサー設備があり、必要な圧力・空気量・配管条件を満たしている場合には、既設の圧縮空気をジェクターへ利用できることがあります。
新たに動力設備をすべて用意するのではなく、現在使用している設備を活用できるか確認することも設備計画のポイントです。
ただし、既設コンプレッサーであれば必ず使用できるわけではありません。
必要な圧力や空気量を確認したうえで機種を選定します。
2.人件費
粉体・粒体を扱う現場では、機械による搬送以外の作業に多くの人手がかかっていることがあります。
例えば、
床にこぼれた材料をほうきで集める
↓
スコップですくう
↓
袋・一輪車・台車へ入れる
↓
人が運ぶ
↓
回収容器へ投入する
という作業です。
この場合、単純な「搬送」だけでなく、
- 清掃
- 集積
- 積み込み
- 運搬
- 荷下ろし
まで人が担当しています。
ランニングコストを考えるときは、何人で、何時間、その作業を行っているのかを確認すると改善ポイントを見つけやすくなります。
3.ジェクターで「回収+運搬」をまとめる
ジェクターを利用すると、
材料のある場所
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
回収場所
という流れを構築できます。
例えば床面に堆積した材料を吸引し、そのまま離れたフレコンバッグや回収設備まで搬送できれば、
集める → 容器へ入れる → 台車で運ぶ
といった工程を減らせる可能性があります。
特に、
- 搬送距離が長い
- 高低差がある
- 階段がある
- 狭所から搬出する
- 重機を入れにくい
- 同じ清掃作業を繰り返している
といった現場では、人力作業との比較が重要になります。
4.メンテナンス費用
設備を長期間使用するためには、点検や部品交換が必要です。
一般的に、
- モーター
- ベアリング
- 回転体
- 駆動ベルト
- ギア
などの機構を持つ設備では、それぞれの状態を確認する必要があります。
ジェクターは、駆動部を持たないシンプルなストレート構造です。
そのため、構造が複雑な搬送設備とはメンテナンスの考え方が異なります。
ただし、ジェクターもメンテナンス不要というわけではありません。
搬送物によっては、本体やホースなどの摩耗状態を定期的に確認する必要があります。
5.摩耗部品の交換費用
砂・砕石・ブラスト材・灰など、摩耗性のある材料を搬送すると、材料との接触部分が徐々に摩耗します。
ジェクターでは、特に排出部が最も摩耗しやすいため注意が必要です。
摩耗性の高い材料では、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースを使用するなど、対象物に合わせた摩耗対策を検討します。
また、
- 搬送速度
- ホース・配管径
- 曲がり
- 搬送距離
- 材料の粒径・硬さ
などによって摩耗状態は変わります。
「搬送できるか」だけでなく、長期間運用したときにどこが摩耗するかまで考えて設備を構成することが重要です。
6.配管レイアウトを見直す
搬送ルートもランニングコストへ関係します。
空気搬送では、
- 不要に長い配管
- 多すぎる曲がり
- 急な曲げ
- 大きな高低差
- ホースのたるみ
などが搬送状態へ影響する場合があります。
ジェクターでは、基本的に吸引側を短くし、長距離部分を排出側に取る構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨していますが、現場条件によっては10m前後で使用されるケースもあります。
条件が合えば、排出側で水平約200m、垂直約100m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、これらは保証値ではありません。
搬送物・粒径・水分・かさ密度・必要搬送量・配管径・曲がり・コンプレッサー能力などによって搬送条件は変わります。
7.材料ロスを減らす
粉体・粒体を扱う現場では、
- 搬送途中でこぼれる
- 粉じんとして飛散する
- 設備周辺へ堆積する
- 容器の積み替え時にこぼれる
といった材料ロスが発生することがあります。
一回あたりの量が少なくても、毎日繰り返されれば年間では無視できない量になる可能性があります。
また、こぼれた材料を処理するためには清掃作業も必要になります。
つまり材料ロスは、
材料そのものの損失+清掃に必要な人件費
として考える必要があります。
8.発生した材料をその場で吸引・搬送する
材料ロスや清掃作業を減らす方法の一つが、材料を一度床へ落としてから回収するのではなく、発生場所から直接回収することです。
例えば、
設備から排出
↓
床や容器へ一時保管
↓
人力で回収
↓
別工程へ運搬
となっている工程を、
設備から排出
↓
ジェクターで吸引・搬送
↓
次工程・回収設備
へ変更できれば、中間工程を減らせる場合があります。
既存設備の条件によっては、フランジ・ニップル・ボールジョイントなどを利用してジェクターを接続することも検討できます。
9.粉じん回収が必要な場合はジェクロンを組み合わせる
微粉や粉じんを含む材料では、搬送先で空気と材料をどのように分離するかも重要です。
その場合には、ジェクターと集粉機「ジェクロン」を組み合わせる方法があります。
ジェクロンはサイクロン方式を利用した粉体回収装置で、
- 搬送物と空気の分離
- 高性能集じんフィルター
- インバーターによる風量調整
- パルスエアーによる自動逆洗
などの機能を備えています。
設備構成によっては、フレコンバッグへ連続的に材料を回収することもできます。
粉じんを含む材料では、ジェクターだけでよいのか、ジェクロンを組み合わせるのかを現場条件に合わせて検討します。
10.設備価格ではなく「作業全体」で比較する
例えば、設備Aが設備Bより安かったとしても、
設備Aでは毎回3人必要で、設備Bでは1人で対応できるのであれば、長期的な費用の考え方は変わります。
設備を比較するときは、
設備価格
だけではなく、
設備価格
+エネルギー
+メンテナンス
+交換部品
+人件費
+清掃
+材料ロス
まで含めて考えることが重要です。
特に長期間使用する設備では、導入後の作業時間や必要人員が大きな差になる可能性があります。
現在の作業時間を数字にすると改善効果を考えやすい
設備導入前には、現在の作業を一度数字にしてみるのがおすすめです。
例えば、
- 作業員:3人
- 作業時間:1回2時間
- 作業回数:週3回
であれば、
3人 × 2時間 × 週3回 = 週18人時
の作業が発生しています。
ここに、
- 材料の運搬
- 清掃
- 容器の交換
- フォークリフト作業
などが加わっていないかも確認します。
このように整理すると、単純な機械価格だけでは見えなかった設備導入効果を比較しやすくなります。
ジェクター導入前に確認したい条件
ランニングコストを抑えるためには、現場に合った設備を選ぶことが前提です。
お問い合わせ時には、
- 搬送したい材料
- 粒径
- 水分
- かさ密度
- 1時間あたりの必要搬送量
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- 曲がり
- コンプレッサー能力
- 現在の作業人数
- 現在の作業時間
などが分かると、設備構成を検討しやすくなります。
現場写真や動画も、搬送ルートや作業状況を確認するための参考になります。
よくある質問
ジェクターは電気を使わないのですか?
ジェクター本体は圧縮空気を動力として使用します。
ただし、圧縮空気をつくるコンプレッサーにはエネルギーが必要です。
そのためランニングコストを比較するときは、ジェクター本体だけでなくコンプレッサーを含めた設備全体で考える必要があります。
工場にあるコンプレッサーを使えますか?
必要な圧力・空気量・配管条件を満たしていれば、既設のコンプレッサーを利用できる場合があります。
現在使用しているコンプレッサーの仕様を確認したうえで判断します。
ジェクターはメンテナンス不要ですか?
いいえ。
ジェクターは駆動部を持たないシンプルな構造ですが、搬送物によって本体やホースなどは摩耗します。
特に摩耗性の高い材料では定期的な確認が必要です。
省人化できるか事前に判断できますか?
現在の作業方法、作業人数、作業時間、搬送物、搬送距離などを確認することで、ジェクターへ置き換えられる工程を検討できます。
必要に応じて実際の搬送物による搬送テストを行い、必要な処理量を確保できるか確認することも重要です。
まとめ
粉体搬送設備のランニングコストを考えるときは、設備本体の価格だけでなく、
- エネルギーコスト
- メンテナンス費用
- 部品交換費用
- 人件費
- 清掃時間
- 材料ロス
まで含めて比較することが重要です。
特に人力で「集める・積み込む・運ぶ・投入する」という工程を繰り返している現場では、搬送設備によって作業工程そのものを見直せる可能性があります。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
シンプルなストレート構造で駆動部を持たないため、搬送作業だけでなく、メンテナンス性まで含めた設備選定を検討できます。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
現在の作業人数・作業時間・搬送物・搬送距離・高低差・コンプレッサー条件などを確認し、現場に適した機種・設備構成をご提案します。
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