この記事でわかること
- 粉体搬送設備を導入する前に確認したい項目
- 搬送物の性状を確認する理由
- 搬送距離・高低差の考え方
- コンプレッサー・工場内エアーの確認ポイント
- ホース・配管レイアウトで注意したいこと
- 運用人数やメンテナンスまで含めて検討する理由
- ジェクター導入時にエコワークが確認しているポイント
はじめに
粉体・粒体搬送設備を導入するとき、
「どの機種を選べばいいか」
という点に注目しがちです。
しかし実際には、設備本体だけを見て選定すると、
- 思ったほど搬送量が出ない
- 配管やホースが詰まる
- 搬送距離が足りない
- エアー供給能力が不足する
- ホースがすぐ摩耗する
- 現場で使いにくい
といった問題が発生する可能性があります。
粉体搬送設備では、
搬送物 + 搬送距離 + 高低差 + エアー供給 + ホースレイアウト + 運用方法
まで含めて、一つのシステムとして考えることが重要です。
本記事では、粉体・粒体搬送設備を導入する前に確認しておきたいポイントについて解説します。
確認ポイント① 何を搬送するのか
最初に確認するのが、搬送する資材です。
同じ「粉体・粒体」でも、
などでは性質が大きく異なります。
設備選定では、材料名だけでなく、
- 粒径
- 比重
- 形状
- 含水率
- 流動性
- 摩耗性
- 固結しやすさ
まで確認することが重要です。
最大粒径や塊の有無も確認する
粉体の中に、
- 数cm程度の塊
- 固結物
- 異物
などが含まれている場合、設備内部やホースを通過できるか確認する必要があります。
例えば、
「基本的には粉体だが、一部に固まった塊が混ざっている」
という現場では、平均粒径だけでは設備選定できません。
最大粒径も重要な条件です。
確認ポイント② どこからどこまで搬送するのか
次に確認したいのが搬送距離です。
例えば、
- 5m
- 30m
- 100m
- 200m
では、搬送条件が異なります。
また、
「水平に100m」
と、
「50m先まで水平搬送して、その後30m上げる」
場合でも条件は変わります。
そのため、
- 水平距離
- 垂直距離
- 総延長
を分けて確認します。
ジェクターでは排出側200m程度の長距離搬送も可能
空気搬送機「ジェクター」では、搬送物やエアー供給能力、ホース径、搬送ルートなどの条件によって、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
そのため、
- 工場の反対側
- 別棟
- 離れた設備
- タンカー船倉から岸壁側
などへ搬送できる可能性があります。
ただし、
200mという距離だけで搬送可否を判断することはできません。
条件によっては高さ100m程度の高所搬送にも対応
ジェクターでは条件によって、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
例えば、
- サイロ
- 高所ホッパー
- 建屋上部
- プラント上層階
などへの投入です。
高所搬送では、
- 水平距離
- 高低差
- 搬送量
- 搬送物の比重
なども確認する必要があります。
確認ポイント③ 吸引側と排出側を分けて考える
ジェクターでは、
吸引側と排出側で考え方が異なります。
吸引側については、5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、基本的にはジェクター本体を搬送物の近くへ配置します。
そして、
搬送物 ↓ 短い吸引ホース ↓ ジェクター ↓ 長い排出ホース ↓ 搬送先
という配置にします。
つまり、
遠くから吸うのではなく、近くで吸ってから遠くへ送る
という考え方です。
確認ポイント④ 必要な搬送量
設備導入では、
「送れるかどうか」
だけでなく、
どれくらいの量を、どれくらいの時間で送りたいか
も重要です。
例えば、
- 1時間に数百kg
- 1t/h
- 数t/h
では必要となる設備条件が変わります。
また、
「8時間かけて搬送してもよい」
のか、
「設備停止中の2時間で終わらせたい」
のかによっても必要能力は異なります。
確認ポイント⑤ 圧縮空気をどこから供給するのか
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
圧縮空気の供給方法としては、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 工場内の既設エアー
などがあります。
そのため、
コンプレッサーを新しく用意しなければ使用できない設備ではありません。
条件が合えば、工場内のエアー配管から圧縮空気を供給して使用することも可能です。
工場内エアーを利用する場合に確認したいこと
既設エアーを使用する場合には、
- 圧力
- 供給可能な空気量
- 配管径
- 取り出し口径
- 他設備との同時使用
- エアー漏れ
- 水分
などを確認します。
工場全体のコンプレッサー能力が十分でも、ジェクターまでつながる枝管が細ければ必要な空気量を確保できない場合があります。
「圧力がある」だけでは十分ではない
工場エアーでは、
「○MPaあるから使える」
と判断してしまうことがあります。
しかし重要なのは、
圧力と空気量の両方
です。
圧力が確保されていても、供給できる空気量が不足すると、十分な搬送能力を発揮できない場合があります。
そのためジェクター導入時には、使用する機種に応じたエアー供給条件を確認します。
確認ポイント⑥ ホースをどこへ通すのか
空気搬送機のメリットの一つが、ホースを利用して柔軟に搬送ルートを構築できることです。
例えば、
- 柱を避ける
- 設備の間を通す
- 壁沿いに通す
- 高所へ伸ばす
- 別棟へ伸ばす
といった使い方ができます。
しかし自由に曲げられるからといって、どのようなルートでもよいわけではありません。
曲がりはできるだけ少なくする
ホースや配管の曲がりでは、搬送物が内壁へ衝突します。
そのため曲がりが増えると、
- 搬送抵抗
- 摩耗
- 閉塞
が増える場合があります。
特に長距離搬送では、一つ一つの曲がりによる影響が積み重なります。
そのため、
できるだけ直線的で、急激な曲がりの少ないルート
を検討します。
確認ポイント⑦ 摩耗性は高くないか
ブラスト材や焼却灰、スラグなどを搬送する場合には、ホース摩耗も重要な確認項目です。
ジェクターでは、排出側が特に摩耗しやすい箇所となります。
そのためエコワークでは、摩耗性の高い資材に対して、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
ホース交換費用まで考える
設備価格だけでなく、
- ホース寿命
- 交換頻度
- 交換作業
- 予備部品
まで含めて検討することが重要です。
摩耗性の高い材料を大量に搬送する場合には、長期的なランニングコストにも影響します。
公開中には、粉体搬送設備のランニングコストを解説した記事もあります。
確認ポイント⑧ 粉じん対策が必要か
焼却灰やフライアッシュなどの微粉体では、排出時の粉じん飛散も考慮する必要があります。
その場合には、ジェクターだけでなく集粉機「ジェクロン」と組み合わせることで、
- 搬送物と空気の分離
- フィルターによる集粉
- フレコンへの回収
を行うことができます。
設備導入時には、
搬送できるか
だけではなく、
搬送後にどう回収するか
まで考えることが重要です。
確認ポイント⑨ 回収物をその後どうするのか
搬送後の資材を、
- 廃棄する
- フレコンへ回収する
- 再利用する
- 別工程へ投入する
- サイロへ貯蔵する
など、目的によって設備構成は変わります。
例えばブラスト材では、
回収 → 分別 → 再利用
という工程を構築する場合があります。
一方、焼却灰では、
回収 → 集粉 → フレコン
という構成が適する場合があります。
確認ポイント⑩ 何人で運用するのか
設備選定では、搬送能力だけでなく作業人数も重要です。
例えば、
- ホース操作
- フレコン交換
- 原料供給
- 設備監視
など、どの作業に何人必要なのかを確認します。
人手不足が進む現場では、
少人数で運用できるか
という点も設備導入の重要な判断材料です。
専門オペレーターが必要かどうかも確認する
設備を導入しても、
「特定の担当者しか使えない」
状態では、現場の属人化が進む可能性があります。
ジェクターはシンプルな構造で、基本操作を習得すれば自社スタッフでも運用しやすいことが特徴です。
そのため、
- 教育時間
- 担当者の確保
- 技術継承
まで含めて設備を比較することが重要です。
確認ポイント⑪ メンテナンス方法
設備は導入後、何年も使用します。
そのため、
- 消耗部品
- 点検項目
- 清掃方法
- 部品交換
- 故障時の対応
なども確認しておく必要があります。
ジェクターは、本体内部にモーターや回転部などの駆動装置を持たないシンプルなストレート構造です。
そのため、機械式搬送設備とは異なる保守方法になります。
確認ポイント⑫ 常設か仮設か
搬送設備を、
- 毎日使用する
- 定期修繕時のみ使用する
- 数か月に一度使用する
- 複数現場で使用する
など、使用頻度も重要です。
例えば年1回の炉内清掃であれば、大規模な固定設備より可搬式のジェクターとホースを使用する方が合理的な場合があります。
一方、毎日同じ工程で使用する場合には、常設レイアウトを検討することもできます。
固定設備を設置できるかどうかも確認する
既存工場では、
- 設備が密集している
- 通路を塞げない
- 建屋を改造できない
- 重機が入れない
などの理由で、固定式コンベアを新設しにくいケースがあります。
空気搬送では、
大型設備を置けるかではなく、ホースを通せるか
という視点で搬送ルートを検討できます。
導入前に現場写真や図面があると検討しやすい
設備選定時には、
- 平面図
- 設備図
- 搬送開始地点の写真
- 搬送先の写真
- 搬送ルートの写真
などがあると、より具体的に検討できます。
特に長距離・高所搬送では、距離だけでなく障害物や曲がりも確認する必要があります。
可能であれば実際の搬送物も確認する
材料名が同じでも、
- 粒径
- 水分
- 微粉の割合
- 固結状態
などは現場によって異なります。
そのため、必要に応じて実際の資材を確認することも有効です。
カタログ上の材料名だけで判断するより、実際の搬送条件に近い情報を集めることで設備選定の精度を高められます。
ジェクター導入前にエコワークが確認する主な内容
ジェクターをご検討いただく際には、主に、
- 搬送物
- 最大粒径
- 比重
- 水分
- 必要搬送量
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- ホースルート
- コンプレッサーまたは工場エアーの条件
- 排出先
- 作業人数
- 現場環境
などを確認します。
設備単体ではなく、実際の現場でどう使うかを考えながら設備構成をご提案します。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
設備導入前には、
「購入しても現場でうまく使えるだろうか」
と不安に感じる方もいると思います。
エコワークでは、ジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で使い方や運用方法の指導も行っています。
現場で、
- ジェクターの設置位置
- 吸引方法
- ホースの取り回し
- 排出方法
- エアー供給方法
- 搬送条件
などをご説明します。
設備を納品することが目的ではなく、実際に現場で活用できる状態をつくることを重視しています。
導入前チェックリスト
設備をご検討の際には、最低限次の項目を確認しておくとスムーズです。
- 搬送物は何か
- 最大粒径はどの程度か
- 湿っているか、乾いているか
- 1時間あたり何kg・何t送りたいか
- 吸引場所からジェクターまで何mか
- ジェクターから搬送先まで何mか
- 高低差は何mか
- ホースの曲がりはいくつあるか
- コンプレッサーまたは工場エアーを使用できるか
- 圧力・空気量はどの程度か
- 搬送後の資材をどうするか
- 何人で運用したいか
- 常設か仮設か
- 粉じん対策は必要か
- 摩耗対策は必要か
これらが分かると、設備選定を大きく進めやすくなります。
まとめ
粉体・粒体搬送設備の導入では、
機械本体のスペックだけで選ばないこと
が重要です。
確認したいのは、
- 搬送物
- 搬送量
- 搬送距離
- 高低差
- ホースレイアウト
- 圧縮空気
- 粉じん
- 摩耗
- 作業人数
- メンテナンス
- 運用方法
です。
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できる可能性があります。
また、圧縮空気についても、
コンプレッサーだけでなく、必要な圧力・空気量を確保できる場合には工場内の既設エアーを利用することも可能です。
一方で、吸引側は5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用されている例もあります。
「この材料を搬送できるかわからない」
「200m近い距離がある」
「工場エアーを使いたい」
「設備を導入したいが、どこから確認すればよいかわからない」
という場合は、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
現場条件を確認したうえで、設備・ホース・エアー供給・運用方法まで含めてご提案いたします。
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