この記事でわかること
- 既存工場へ粉体・粒体搬送設備を後付けできるケース
- 大規模なライン改造を避けるための考え方
- 既設の工場エアーを活用できる可能性
- 搬送距離・高低差・ホースルートの確認ポイント
- ジェクターを既設設備へ組み込む際の考え方
- 長距離・高所搬送への対応
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
工場やプラントで粉体・粒体搬送を改善したいと考えても、
- すでに生産設備が設置されている
- 配管やコンベアが密集している
- 新しい設備を置くスペースがない
- 生産ラインを大きく止められない
- 大規模な改造工事は避けたい
といった理由から、設備導入を諦めているケースがあります。
しかし、粉体・粒体搬送設備は必ずしも新設工場でなければ導入できないわけではありません。
現場条件によっては、
既存設備をそのまま活かしながら、必要な工程だけへ搬送設備を後付けする
ことも可能です。
特にホースを利用する空気搬送設備では、既存設備を避けながら搬送ルートを構築しやすいため、既設工場の改善にも適しています。
本記事では、既存ラインへ粉体・粒体搬送設備を後付けする際に確認したいポイントについて解説します。
既設ラインへの後付けが必要になるのはどんなとき?
例えば工場では、
- 原料投入だけ人力で行っている
- 設備下部の堆積物をスコップで回収している
- フレコンからホッパーへの投入負担が大きい
- 別工程まで台車やフォークリフトで運んでいる
- 定期清掃だけ外注している
といった作業が残っている場合があります。
生産設備そのものには問題がなくても、
設備と設備の間にある「運搬工程」だけが人力
というケースです。
このような場合、ライン全体を入れ替えるのではなく、必要な工程へ搬送設備を追加することで省力化できる可能性があります。
後付け設備で重要なのは「既存設備をどこまで活かせるか」
設備改善では、
「何を新しく導入するか」
だけでなく、
「今ある設備を何に利用できるか」
を見ることが重要です。
例えば、
- コンプレッサー
- 工場内エアー
- ホッパー
- サイロ
- フレコン設備
- 既存配管
- 架台
- 設備スペース
などです。
既存インフラを利用できれば、設備導入のために必要となる追加工事を減らせる可能性があります。
ジェクターなら既設の工場エアーを利用できる場合がある
空気搬送機「ジェクター」は、圧縮空気を動力として使用する搬送設備です。
圧縮空気は、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 工場内に整備された既設エアー
などから供給できます。
つまり、工場に十分な圧縮空気設備が整っている場合には、新たに専用コンプレッサーを用意せず、既存の工場エアーを利用できる可能性があります。
既設工場へ後付けする際には、非常に重要なポイントです。
ただし工場エアーなら何でも使えるわけではない
既設エアーを利用する場合には、
- 圧力
- 供給可能な空気量
- エアー配管径
- 取り出し口径
- 配管距離
- 他設備との同時使用
などを確認する必要があります。
例えば工場のメインコンプレッサーに十分な能力があっても、
ジェクターまでつながる枝管が細い
場合には、必要な空気量を供給できない可能性があります。
そのため、設備導入時にはコンプレッサー能力だけでなく、実際の取り出し口まで含めた供給条件を確認します。
後付けでは「電源工事をどうするか」も課題になる
既存工場へ電動設備を追加する場合、
- 電源容量
- 電圧
- 配線
- 制御盤
- ケーブルルート
などを確認する必要があります。
既存設備が密集している工場では、電源工事そのものが大きな作業になる場合もあります。
ジェクターは圧縮空気を動力とし、本体内部に電動モーターや回転部などの駆動装置を持ちません。
そのため、条件に合った圧縮空気を確保できれば、作業場所にジェクター本体用の電動モーター電源を設けずに使用できます。
後付けでは設置スペースが大きな問題になる
新設工場であれば、搬送設備の設置場所を最初から計画できます。
しかし既存工場では、
- 生産機械
- タンク
- 配管
- 柱
- 通路
- フォークリフト動線
などがすでに決まっています。
そのため、
「ここにコンベアを設置したい」
と思っても、十分なスペースを確保できないケースがあります。
空気搬送なら「機械を置く場所」より「ホースを通す場所」を考えられる
空気搬送設備では、ホースを利用して粉体・粒体を搬送できます。
そのため、
大型設備を搬送ルート全体へ設置する必要がありません。
例えば、
- 生産設備の横を通す
- 柱を迂回する
- 壁沿いに通す
- 高所を通す
- 別棟まで伸ばす
など、既存設備に合わせたルートを検討できます。
既設ラインへ搬送設備を追加する場合には、この柔軟性が大きなメリットになります。
「固定コンベアを置けない=搬送設備を導入できない」ではない
例えば、
A工程
↓
人力運搬
↓
B工程
という作業がある場合、
A工程からB工程まで固定式コンベアを新設するのが難しくても、
A工程
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
B工程
という設備構成を検討できる可能性があります。
つまり、
設備の間をホースでつなぐ
という発想です。
ジェクターでは排出側200m程度の長距離搬送も可能
既設工場では、
「原料置き場と投入設備がかなり離れている」
というケースもあります。
ジェクターでは搬送物やエアー供給能力、ホース径、搬送ルートなどの条件によって、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
そのため、
- 工場の反対側
- 別棟
- 屋外ヤード
- 離れた回収設備
などへの搬送も検討できます。
条件によっては高さ100m程度の搬送にも対応
既存プラントでは、
- 高所ホッパー
- サイロ
- 建屋上部
- 上層階の設備
などへ材料を投入する必要がある場合があります。
ジェクターでは搬送条件によって、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
そのため、
「設備が高い場所にあるから固定式エレベーターを設置するしかない」
と考えていた現場でも、空気搬送を選択肢として検討できる可能性があります。
200m・100mはすべての条件を保証する数字ではない
搬送可能距離や高さは、
- 搬送物
- 粒径
- 比重
- 含水率
- 流動性
- 必要搬送量
- ホース径
- 曲がり
- 水平距離と高低差の組み合わせ
- 圧縮空気供給能力
などによって変わります。
そのため、
「200mだから送れる」
「100mだから上げられる」
という距離だけで設備選定することはできません。
実際の現場条件を確認したうえで判断します。
ジェクターでは吸引側5m程度を推奨
長距離搬送で重要なのが、ジェクター本体をどこへ配置するかです。
ジェクターでは吸引側について、5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、基本的には搬送物の近くへジェクターを置きます。
そして、
搬送物 ↓ 短い吸引ホース ↓ ジェクター ↓ 長い排出ホース ↓ 搬送先
という構成にします。
既存ラインへの後付けでは本体位置が特に重要
例えば、
原料置き場とホッパーが100m離れている場合、
ホッパー側へジェクターを置いて100m吸引するのではなく、
原料置き場の近くへジェクターを置き、吸引側を短くしたうえで排出側を長くする
ことを基本として考えます。
そのため、
- 原料場所
- エアー取り出し口
- ジェクター本体
- 搬送先
の位置関係を確認しながら設備を配置します。
工場エアーの取り出し場所とジェクターの位置を合わせて考える
後付け時には、
「材料の近くへジェクターを置きたい」
一方で、
「エアー取り出し口が遠い」
というケースもあります。
その場合、
工場エアー配管 + エアーホース + ジェクター + 搬送ホース
まで含めてレイアウトを検討します。
空気搬送では、搬送側だけでなく動力となる圧縮空気の供給ルートも重要です。
後付けで活用しやすい代表的な作業
フレコンからホッパーへの投入
フレコンバッグから材料を取り出し、高所や離れたホッパーへ空気搬送します。
これにより、人力運搬やフォークリフト移動を減らせる可能性があります。
設備下部に堆積した資材の回収
コンベア下や機械周辺へ落ちた、
- 粉体
- 粒体
- 原料
などをホースで回収します。
重機や大型設備が入れない場所でも活用できます。
別工程への原料移送
現在、
フレコンへ一度回収
↓
フォークリフトで移動
↓
次工程へ投入
している場合、
回収場所から次工程へ直接空気搬送する
ことで中間工程を減らせる可能性があります。
高所ホッパーへの投入
材料を人やクレーンで高所へ運ぶ代わりに、地上側から直接搬送します。
定期清掃・メンテナンス
年間を通して使用する固定設備ではなく、
- 定期修繕
- 炉内清掃
- 設備清掃
- 原料入れ替え
のときだけジェクターとホースを設置する運用も可能です。
後付けだからこそ可搬式設備が役立つ
既設工場では、生産内容や作業場所が変わることがあります。
固定設備の場合、一度設置すると用途を変更しにくいことがあります。
一方ジェクターは、現場条件に応じて本体やホースを移動できます。
そのため、
- 月曜日は原料投入
- 別の日は設備清掃
- 定修時は回収作業
など、1台を複数用途へ活用することも検討できます。
ホースの曲がりはできるだけ減らす
後付けでは既存設備を避ける必要があるため、ホースルートが複雑になりがちです。
しかし、
- 急激な曲がり
- 多数の方向転換
- ホースの潰れ
などは搬送抵抗を増やします。
特に長距離搬送では、曲がりによる影響が積み重なります。
そのため、既存設備を避けながらも、できるだけ直線的で緩やかな搬送ルートを検討することが重要です。
摩耗性の高い材料ではホース対策も必要
後付け設備でも、
などを扱う場合には摩耗対策が必要です。
ジェクターでは、排出側が特に摩耗しやすい箇所になります。
そのためエコワークでは、搬送物に応じて排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
粉じん対策まで含めて後付けできる
焼却灰やフライアッシュなどの微粉体では、
「搬送できても排出時に粉じんが出る」
という問題があります。
その場合には、集粉機「ジェクロン」と組み合わせ、
ジェクター ↓ ジェクロン ↓ フレコンバッグ
という設備構成にすることで、
- 搬送
- 空気と資材の分離
- 集粉
- フレコン回収
まで行うことができます。
既設設備を全部撤去する必要はない
搬送設備改善というと、
「現在のラインを全部入れ替える」
イメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし実際には、
- 人力作業部分だけ
- 搬送距離の長い区間だけ
- 高所投入部分だけ
- 清掃工程だけ
を設備化する方法もあります。
既存設備に問題がなければ、それを残したままボトルネックとなっている工程だけ改善する方が合理的なケースもあります。
後付けで重要なのは投資額より「何が改善されるか」
設備導入時には、本体価格だけでなく、
- 人件費
- 作業時間
- 外注費
- フォークリフト作業
- クレーン作業
- 清掃時間
- 作業員の身体的負担
がどの程度改善されるかを確認します。
例えば、すでに工場内エアーを利用できる場合には、既存インフラを活用することで追加設備を減らせる可能性があります。
後付け設備の検討時に確認したい情報
設備をご相談いただく際には、
- 搬送物
- 粒径
- 最大粒径
- 比重
- 含水率
- 必要搬送量
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- 現在の作業方法
- 作業人数
- コンプレッサーの有無
- 工場エアーの圧力・空気量
- 現場写真
- 平面図・設備図
などをご共有いただけると、具体的な設備構成を検討しやすくなります。
図面がなくてもまずは相談可能
既設工場の場合、
「古い設備で図面がない」
というケースもあると思います。
最初から詳細なCAD図面がなくても、
- 現場写真
- おおよその距離
- 搬送物
- 現在の作業方法
などからご相談いただくことも可能です。
公開中の技術コラムでも、詳細な図面がなくても現場写真などから改善相談を始められるケースが紹介されています。
エコワークでは全国の現場で運用指導を行っています
後付け設備では、
現場ごとに設備レイアウトが異なる
という特徴があります。
そのため、
- ジェクターをどこへ置くか
- 工場エアーをどこから取るか
- 吸引ホースをどう配置するか
- 排出ホースをどこへ通すか
- どの程度の搬送条件で使用するか
など、現場に合わせた運用方法が重要です。
エコワークでは、ジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で操作方法や運用方法の指導も行っています。
既存設備や実際の搬送物を確認しながら、現場で使いやすい設備配置・運用方法をご提案します。
まとめ
既設工場であっても、粉体・粒体搬送設備を後付けできる可能性があります。
特に空気搬送では、ホースを利用できるため、
- 既存設備を避ける
- 離れた設備へ搬送する
- 高所へ投入する
- 必要な工程だけ設備化する
といった柔軟な設備改善が可能です。
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できる可能性があります。
また圧縮空気についても、コンプレッサーだけではなく、必要な条件を満たせば工場内の既設エアーを利用できます。
一方、吸引側については5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用されているケースもあります。
そのため既設ラインへの導入では、
「どこへジェクターを置くか」 「どこから圧縮空気を取るか」 「どのルートで排出側を伸ばすか」
が重要です。
「今の設備を全部入れ替えずに省力化したい」
「工場エアーを活用して後付けできないか」
「設備間が100m以上離れている」
「高所のホッパーまで送りたい」
「人力で行っている部分だけ設備化したい」
といった課題がありましたら、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
既存設備を確認したうえで、設備・ホース・圧縮空気・運用方法まで含めた改善方法をご提案いたします。
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