この記事でわかること
- 電源を確保しにくい現場で起こる粉体搬送の課題
- 電動搬送設備を導入するときに必要となる準備
- 圧縮空気を動力とする空気搬送機の特徴
- コンプレッサーや工場内エアーを活用する方法
- ジェクターによる長距離・高所搬送
- 仮設・狭所・既存工場で空気搬送機が活躍する理由
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
工場やプラント、港湾施設、橋梁工事などで粉体・粒体を搬送しようとした際、
- 作業場所の近くに電源がない
- 電源容量が不足している
- 新しく電源工事を行う必要がある
- 仮設作業のため大掛かりな電気設備を設置したくない
- 高所や狭所まで電源ケーブルを引き回しにくい
といった問題が発生することがあります。
粉体・粒体搬送設備には、
- ベルトコンベア
- スクリューコンベア
- バケットエレベーター
- 電動式の集じん・搬送設備
などさまざまな方式があります。
これらは適した現場では非常に有効ですが、モーターなどを使用する設備では、当然ながら動力となる電源が必要です。
一方、搬送設備には圧縮空気を動力として使用する方式もあります。
空気搬送機「ジェクター」は、コンプレッサーや工場内に整備されたエアー配管などから供給される圧縮空気を利用して粉体・粒体を搬送します。
そのため、条件によっては作業場所にジェクター本体用の電動モーター電源を準備せずに粉体・粒体搬送を行うことができます。
本記事では、電源を確保しにくい現場における粉体・粒体搬送の課題と、圧縮空気を利用する空気搬送機のメリットについて解説します。
粉体搬送設備では「動力をどこから取るか」も重要
粉体・粒体搬送設備を選定するとき、
- 搬送能力
- 搬送距離
- 処理量
- 設備価格
などへ目が向きがちです。
しかし、実際に設備を導入するためには、
「その設備を現場でどう動かすのか」
も確認する必要があります。
例えば電動モーターを使用する設備では、
- 必要電圧
- 電源容量
- ケーブル
- 制御盤
- 電源工事
- 配線ルート
などを検討する必要があります。
既設工場では、搬送設備そのものは設置できても、
「そこまで電源を持っていくのが難しい」
というケースもあります。
電源を取りにくい代表的な現場
既存工場の設備内部
既存工場では、
- 生産設備
- タンク
- 配管
- 柱
- 通路
などがすでに配置されています。
そのため、新たな設備用の電源ケーブルや制御盤を設置しようとすると、既存設備を避けながら配線ルートを構築しなければならない場合があります。
また、生産設備を止めなければ工事できないケースでは、設備導入そのものよりも工事計画が大きな問題になることがあります。
タンカー・船倉
タンカーの船倉では、荷揚げ後に、
などが船倉内部へ残ることがあります。
こうした場所では大型設備を簡単に持ち込むことができず、作業場所も一定ではありません。
電源設備を船倉内部まで準備するより、ホースを伸ばして作業できる設備の方が運用しやすいケースがあります。
橋梁・足場上
橋梁塗装工事では、
- ブラスト材
- 研削材
- 塗膜片
などを足場上から回収する必要があります。
高所の足場へ搬送設備を設置する場合、
- 設備重量
- 設置スペース
- 電源ケーブル
- 作業員の動線
なども考慮する必要があります。
設備そのものを大型化しないことが重要な現場の一つです。
地下ピット・設備下部
地下ピットや機械設備の下部などでは、
「粉体は回収したいが、電動設備を設置するスペースがない」
というケースがあります。
こうした狭い場所では、機械本体ではなく吸引ホースだけを作業場所へ持ち込む方法が有効です。
定期修繕・仮設工事
年間を通して使用するわけではなく、
など、一時的に搬送設備が必要になる現場もあります。
こうした作業のためだけに固定設備や専用電源を新設することが合理的とは限りません。
必要なときだけ搬入し、作業終了後に撤去できる設備が適する場合があります。
圧縮空気を動力として使うという選択肢
工場やプラントでは、さまざまな用途で圧縮空気が使用されています。
例えば、
- エアーツール
- エアーシリンダー
- 計装設備
- 清掃作業
などです。
空気搬送機ジェクターは、この圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する設備です。
ジェクター本体内部には、電動モーターや回転部などの駆動装置を持ちません。
そのため、作業場所にジェクター本体を駆動するための電動モーター用電源を準備する必要がありません。
ジェクターはコンプレッサーだけでなく工場内エアーも使用可能
ジェクターへ圧縮空気を供給する方法として、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 工場内の既設エアー
などがあります。
つまり、
ジェクターを使用するために、必ず専用コンプレッサーを新しく購入する必要があるわけではありません。
すでに工場内に十分な圧縮空気設備が整備されている場合には、条件次第でその既存インフラを利用できます。
工場内エアーを活用できるメリット
既設エアーを使用できれば、
- コンプレッサーを現場へ搬入する作業
- コンプレッサーの設置場所
- 新しい動力設備の準備
などを減らせる可能性があります。
例えば、
工場エアー取り出し口 ↓ ジェクター ↓ 搬送ホース ↓ ホッパー
といった比較的シンプルな設備構成を検討できます。
既存設備をできるだけ活用したい工場では、大きなメリットになる可能性があります。
工場エアーなら何でも使用できるわけではない
ただし、
「エアー配管があるからジェクターを使える」
とは限りません。
ジェクターの運転には、使用する機種や搬送条件に応じた、
- 圧力
- 空気量
が必要です。
さらに、
- エアー配管径
- 配管距離
- 取り出し口径
- 他設備との同時使用
などによって、実際に供給できる能力が変わります。
そのため、既設エアーを使用する場合には事前確認が重要です。
「圧力」だけではなく「空気量」も重要
工場エアーについて、
「○MPaあるから大丈夫」
と判断することはできません。
空気搬送では、圧力と空気量の両方が重要です。
例えば、十分な圧力があっても、
- 配管が細い
- 枝管が長い
- 他の設備が大量にエアーを使用している
などの理由で必要な空気量を確保できない場合があります。
公開中の記事でも、コンプレッサー能力だけでなく、搬送物・搬送距離・高低差・必要搬送量・ホース径・配管レイアウトを総合的に確認する必要があると解説しています。
電源不要=エネルギーを使わない、ではない
ここは誤解しやすいポイントです。
ジェクター本体に電動モーターがないからといって、
運転エネルギーが不要という意味ではありません。
ジェクターで使用する圧縮空気を作るためには、コンプレッサー側で、
- 電力
- 燃料
などが使用されます。
そのため、
電源不要=ランニングコストゼロ
ではありません。
正確には、
「ジェクター本体を使用する作業場所で、電動モーター用電源を必要としない」
という特徴です。
ジェクターはシンプルなストレート構造
ジェクターは、本体内部に、
- モーター
- ベルト
- チェーン
- 回転羽根
などの駆動機構を持たないシンプルなストレート構造です。
このため、
- 駆動部の保守項目を減らしやすい
- 設備構成がシンプル
- 可搬式設備として使用しやすい
という特徴があります。
ただし、搬送物そのものが内部を通過するため、摩耗性の高い資材を扱う場合には摩耗対策が必要です。
ホースを利用して作業場所だけへアクセスできる
ジェクターを使用する場合、機械本体を必ず作業地点の内部まで持ち込む必要はありません。
例えば、
ジェクター本体
↓
吸引ホース
↓
地下ピット
という構成で、作業員がホース先端を操作しながら資材を回収できます。
つまり、
「設備を作業場所へ入れる」のではなく、「ホースを作業場所へ伸ばす」
という使い方です。
これにより、
- 狭所
- 高所
- 設備内部
- タンカー船倉
などでも運用しやすくなります。
吸引側は5m程度を推奨
ジェクターでは、吸引側と排出側で考え方が異なります。
吸引側については、5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、基本的にはジェクターを搬送物の近くへ配置します。
そして、
搬送物 ↓ 短い吸引ホース ↓ ジェクター ↓ 長い排出ホース ↓ 搬送先
という配置にします。
排出側なら200m程度の長距離搬送も可能
ジェクターでは、搬送物やホース径、圧縮空気供給能力、搬送ルートなどの条件によって、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
例えば、
- 工場内の離れた設備
- 別棟
- 屋外ヤード
- 広いプラント構内
- タンカーから離れた回収場所
などへの搬送です。
このため、電源の取りにくい場所から資材を回収し、離れた場所まで一気に送るという設備構成も検討できます。
条件によっては高さ100m程度の搬送も可能
ジェクターは水平搬送だけでなく、高所への搬送にも使用できます。
搬送条件によっては、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
例えば、
- 高所ホッパー
- サイロ
- 建屋上部
- プラント上層部
などへの投入です。
そのため、
「電源がない」+「搬送先が高い」
という現場でも検討できる可能性があります。
長距離・高所搬送ではエアー供給能力が特に重要
ただし、200mや高さ100mという数字は、すべての条件で保証されるものではありません。
実際の搬送能力は、
- 搬送物
- 粒径
- 比重
- 含水率
- 必要搬送量
- ホース径
- 水平距離
- 高低差
- 曲がり
- 圧縮空気供給能力
などによって変わります。
特に工場内エアーで長距離・高所搬送を検討する場合には、十分な圧力・空気量を確保できるか確認することが重要です。
電源を取りにくい現場での活用例
タンカー船倉の残留物回収
タンカー船倉内へ吸引ホースを伸ばし、荷揚げ後に残った木質ペレットやPKSなどを回収します。
ジェクター本体を作業しやすい位置へ設置し、回収した資材を排出側ホースで離れた場所へ搬送できます。
橋梁塗装工事でのブラスト材回収
足場上へホースを伸ばし、ブラスト材を吸引・搬送します。
大型搬送設備を足場上へ設置する必要を減らせるため、高所作業で活用できます。
工場設備内部の清掃
コンベア下や設備内部へ堆積した、
- 砂
- 粉体
- 粒体
- 原料
などを吸引し、離れた回収場所へ搬送します。
工場内エアーが十分に利用できる現場であれば、既存インフラを利用した設備構成も検討できます。
定期修繕での資材回収・投入
炉や設備内部にある、
- セラミックボール
- パーライト
- 各種粉粒体
などの回収・再投入にも使用できます。
常設設備を新設せず、必要な期間だけジェクターとホースを配置する運用も可能です。
可搬式設備なので複数の場所で利用できる
固定式搬送設備は、一度設置すると基本的には同じ場所で使用します。
ジェクターの場合は、設備やホースを移動させながら使用できます。
例えば、
午前:設備Aの堆積物回収 午後:設備Bへの原料投入
といった運用も検討できます。
既存工場で、
「すべての設備へ専用搬送ラインを設置するのは難しい」
という場合には、1台を複数用途で利用する方法もあります。
既存設備を活かすことも重要
設備改善では、新しい機械を増やすことだけが正解ではありません。
例えば工場に、
- 圧縮空気設備
- ホッパー
- サイロ
- フレコン設備
などがすでにある場合、それらを活用できる可能性があります。
既存の記事でも、設備導入の費用対効果を考える際には、使用可能な既存設備があるか確認することが重要とされています。
既存インフラ+ジェクター
という組み合わせで、必要な工程だけを設備化することも一つの方法です。
摩耗性の高い資材ではホース対策も必要
ブラスト材や焼却灰、スラグなどの摩耗性が高い材料を搬送すると、ホース内部が徐々に摩耗します。
ジェクターでは、排出側が特に摩耗しやすい箇所になります。
そのためエコワークでは、搬送物に応じて、ジェクターの排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
長距離搬送を行う場合には、搬送能力だけでなくホース寿命や点検方法まで考えることが重要です。
粉じんが多い場合はジェクロンとの組み合わせ
焼却灰やフライアッシュなど、微粉体を回収する場合には排出時の粉じん対策も必要です。
その場合には、集粉機「ジェクロン」と組み合わせることで、
ジェクター ↓ ジェクロン ↓ フレコンバッグ
という構成にできます。
ジェクロンによって、
- 搬送物と空気の分離
- フィルターによる集粉
- フレコンへの回収
を行うことで、回収工程まで一連の作業として構築できます。
電源設備だけでなく「総工事量」で比較する
搬送設備を選定する際には、設備本体価格だけで比較しないことも重要です。
例えば固定式設備では、
- 電源工事
- 制御盤
- 架台
- 基礎
- 配管
- 据付工事
などが必要になる場合があります。
空気搬送でも、
- 圧縮空気設備
- ホース
- 接続機器
などは必要ですが、工場内エアーなど既存設備を活用できる場合には、導入方法をシンプルにできる可能性があります。
圧縮空気式がすべての現場に向いているわけではない
圧縮空気式にも適さないケースがあります。
例えば、
- 必要な空気量を確保できない
- 非常に大量の材料を常時搬送する
- 固定式設備の方が合理的
- 搬送物が空気搬送に適していない
などです。
そのため、
「電源がないからジェクター」
と単純に判断するのではなく、
- 搬送物
- 必要搬送量
- 距離
- エアー設備
- 使用頻度
を確認したうえで設備を選定することが重要です。
エコワークでは全国の現場で運用指導を行っています
圧縮空気を利用した搬送では、
- ジェクターをどこへ設置するか
- 圧縮空気をどこから取るか
- 吸引ホースをどう配置するか
- 排出側をどこへ伸ばすか
- どの程度のエアーを使用するか
など、実際の運用方法も重要です。
エコワークではジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で使い方や運用方法の指導を行っています。
コンプレッサーだけでなく、既設の工場エアーを利用できるかも含め、現場条件に合わせた設備構成をご提案します。
お問い合わせ時に確認したい情報
電源を確保しにくい現場でジェクターをご検討の場合には、
- 搬送物
- 粒径
- 最大粒径
- 比重
- 含水率
- 必要搬送量
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- コンプレッサーの有無
- 工場エアーの有無
- エアー圧力
- 供給可能空気量
- エアー配管径
- 現場写真
- 設備図面
などがあると具体的に検討しやすくなります。
まとめ
粉体・粒体搬送設備を選定するときには、
「どこから動力を取るのか」
も重要な条件です。
電源を取りにくい、
- 既存工場
- タンカー船倉
- 高所
- 狭所
- 定期修繕現場
などでは、圧縮空気を動力とする空気搬送機が選択肢になります。
ジェクターは、
コンプレッサーまたは条件を満たした工場内エアー
から圧縮空気を供給して使用できます。
また、条件によっては、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できます。
一方、吸引側は5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用しているお客様もいます。
そのためジェクターでは、
搬送物の近くへ本体を配置し、吸引側を短く、排出側を長くする
ことが基本的な考え方になります。
「作業場所に電源がない」
「電源工事をせず粉体搬送を導入できないか」
「工場の既設エアーを活用したい」
「電源が取れない高所・狭所から資材を回収したい」
といった課題がありましたら、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
現場のエアー供給条件や搬送物、距離、設備レイアウトを確認したうえで、最適な搬送方法をご提案いたします。
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