製造工場や焼却施設、発電所、プラント設備などでは、粉体・粒体の回収や搬送作業が日常的に行われています。
しかし現場によっては、
・スコップやバケツによる人力作業が多い
・複数人で作業する必要がある
・回収や搬送に時間がかかる
・粉じんが発生する
・清掃作業の負担が大きい
・重い材料を繰り返し運ぶ必要がある
といった課題があります。
人手不足や作業員の高齢化が進むなか、こうした作業を従来通り人力だけで続けることが難しくなっている現場もあります。
そこで検討されるのが、粉体・粒体搬送設備を活用した作業の機械化・省力化です。
この記事では、粉体搬送設備を導入することで何が変わるのか、作業時間・必要人員・コスト・作業環境などの観点から解説します。
粉体搬送作業でよくある課題
粉体や粒体を扱う現場では、単に「材料を運ぶ」だけでも多くの作業が発生します。
例えば、
スコップで集める
↓
バケツや一輪車へ入れる
↓
人が運ぶ
↓
フレコンやホッパーへ投入する
という作業です。
一回あたりの量が少なくても、これを何十回、何百回と繰り返すと大きな作業負担になります。
課題① 作業人数が多い
人力搬送では、
・材料を集める人
・運搬する人
・投入する人
など、複数の作業員が必要になる場合があります。
特に大量の材料を短時間で処理する必要がある現場では、人員を増やして対応しているケースもあります。
設備を使用して、
「吸引地点から排出地点まで直接搬送する」
ことができれば、中間の運搬作業を減らせる可能性があります。
課題② 作業時間が長い
粉体回収では、材料を実際に運んでいる時間だけでなく、
・袋詰め
・積み替え
・台車移動
・仮置き
・清掃
などにも時間がかかります。
搬送設備を使って工程をまとめることで、作業全体の時間短縮につながる場合があります。
課題③ 身体的な負担が大きい
砂やブラスト材、焼却灰などをスコップで繰り返し扱う作業は、作業者の身体的負担が大きくなります。
特に、
・中腰での作業
・重量物の持ち運び
・階段や高低差のある場所での運搬
・高温環境
・狭い場所
などでは負担がさらに大きくなります。
ホースによる吸引・搬送へ置き換えることで、持ち上げる・運ぶといった作業を減らせる可能性があります。
課題④ 粉じんが発生する
粉体を、
・スコップですくう
・袋へ入れる
・別容器へ移し替える
・高所から投入する
といった作業では、粉じんが発生する場合があります。
粉じんが設備周辺へ飛散すると、
・作業環境の悪化
・清掃工数の増加
・周辺設備への堆積
などにつながります。
ホースや配管を利用した密閉搬送や、集粉設備との組み合わせによって粉じん対策を検討できる場合があります。
粉体搬送設備を導入すると何が変わる?
設備導入の効果は現場によって異なりますが、主に次のような改善が期待できます。
① 人による運搬作業を減らせる
大きな効果の一つが、
「材料を人が持って運ぶ工程を減らせる」
ことです。
例えば、
従来
スコップ
↓
バケツ
↓
台車
↓
フレコン
だった作業を、
吸引
↓
ホース搬送
↓
フレコン
という構成にできれば、中間運搬を減らせる可能性があります。
特に搬送距離が長い現場では効果が大きくなる場合があります。
② 必要な作業人数を減らせる可能性がある
従来3~4人で行っていた作業でも、設備化によって必要人員を減らせる場合があります。
ただし、
「設備を導入すれば必ず1人で作業できる」
というわけではありません。
対象物や作業場所、安全管理、設備構成などによって必要人数は異なります。
重要なのは、
「現在どの作業に何人必要なのか」
を分解して考えることです。
③ 作業時間を短縮できる可能性がある
搬送設備によって、
回収
+
運搬
+
投入
を連続して行えるようになると、工程間の積み替えを減らせます。
例えば、
「材料を一度仮置きしてから別の場所へ運ぶ」
という工程をなくせれば、その分だけ作業時間を短縮できます。
④ 長距離・高所搬送を機械化できる
人力作業では特に負担が大きいのが、
・長距離運搬
・階段
・高所
・地下から地上
・設備内部から屋外
などへの搬送です。
空気搬送方式では、ホースや配管を使用して離れた場所へ材料を搬送できるため、こうした現場で有効な場合があります。
⑤ 重機が入れない場所でも作業できる場合がある
工場設備内部や船倉、橋梁、地下設備などでは、大型車両や重機を対象物の近くまで持ち込めないことがあります。
この場合、本体を離れた場所へ設置し、ホースだけを作業地点まで延長できる設備が有効です。
⑥ 粉じん対策につながる
粉体を開放状態で何度も積み替えると、そのたびに粉じんが発生する可能性があります。
吸引した粉体をホース・配管内で搬送し、集粉設備やフレコンへ直接排出することで、積み替え回数を減らせる場合があります。
エコ・ワークでは、空気搬送機「ジェクター」と集粉機「ジェクロン」を組み合わせた設備構成も取り扱っています。
⑦ 回収物をそのまま次工程へ送れる
搬送設備のメリットは、単に清掃を機械化できることだけではありません。
例えば、
回収
↓
分別
↓
フレコン
あるいは、
回収
↓
ホッパー
↓
次工程
というように、回収した材料をそのまま次の工程へ搬送できる場合があります。
再利用するブラスト材や製造原料などでは、この点も設備導入のメリットになります。
コスト削減は「人件費」だけで考えない
設備導入を検討するとき、
「設備価格はいくらか?」
だけで判断しがちです。
しかし、本来は現在の作業にかかっているコスト全体と比較する必要があります。
例えば、
・作業人数
・作業時間
・年間作業回数
・外注費
・重機費
・バキューム車などの手配費
・清掃時間
・設備停止時間
・消耗品
・メンテナンス
などです。
現在の作業コストを計算してみる
例えば、ある回収作業で、
4人
×
6時間
×
年間20回
必要だとします。
この場合、
4人 × 6時間 × 20回
=年間480人時
の作業が発生しています。
仮に設備導入によって、
2人
×
3時間
×
年間20回
まで減らせれば、
年間120人時
となります。
差は、
年間360人時
です。
実際の効果は現場によって異なりますが、このように現在の作業を数字にすると、設備投資を判断しやすくなります。
外注費も確認する
粉体回収を、
・バキューム車
・吸引車
・清掃業者
・専門工事会社
などへ定期的に外注している場合は、年間の外注費も確認します。
例えば、
1回20万円
×
年間10回
であれば、年間200万円です。
この作業が毎年発生するのであれば、自社設備を導入して内製化した方が長期的には合理的になる可能性があります。
一方、数年に1度しか発生しない作業であれば、外注の方が合理的な場合もあります。
設備導入が必ず正解というわけではありません。
設備導入が向いている現場
次のような現場では、粉体搬送設備を検討する価値があります。
同じ作業を定期的に繰り返している
毎日・毎週・毎月・定修ごとなど、同じ粉体回収作業が繰り返し発生する場合です。
作業頻度が高いほど、省力化効果を回収しやすくなります。
複数人で人力作業をしている
スコップ・バケツ・台車などを使い、複数人で搬送している場合です。
作業者の確保が難しくなっている
人手不足や高齢化によって、
「これまで通りの人数を確保できない」
という現場では、設備化の重要性が高くなります。
重量物を繰り返し運んでいる
砂、ブラスト材、灰類など、重量のある材料を人力で搬送している場合です。
搬送距離や高低差がある
人が材料を何十mも運んだり、階段を上り下りしたりしている場合です。
外注費が継続的に発生している
バキューム車などを年間複数回手配している場合は、自社設備とのコスト比較をしてみる価値があります。
逆に設備導入を急がなくてもよいケース
すべての現場で設備購入が合理的とは限りません。
例えば、
・作業が数年に1回しか発生しない
・処理量が非常に少ない
・人力でも短時間で完了する
・対象物や作業内容が毎回大きく変わる
といった場合は、外注や短期使用の方が合理的なケースがあります。
設備導入は、
「機械化できるか」
だけではなく、
「機械化する価値があるか」
という視点で判断することが重要です。
導入効果を確認するときの5つの指標
設備を導入する前に、現在の状態を記録しておくと効果を比較しやすくなります。
確認したいのは、
1.作業人数
2.作業時間
3.年間作業回数
4.年間コスト
5.処理量
です。
例えば、
導入前:4人・5時間・2t
導入後:2人・3時間・2t
となれば、人員と時間の両方で改善したことが分かります。
逆に処理量が増えている場合は、
「同じ人数でより多く処理できるようになった」
という生産性向上として評価できます。
空気搬送機「ジェクター」による省力化
エコ・ワークが取り扱う空気搬送機「ジェクター」は、コンプレッサーから供給される圧縮空気を動力として、粉体・粒体を吸引・搬送します。
これまで、
・ブラスト材
・焼却灰
・フライアッシュ
・木質ペレット
・PKS
・パーライト
・溶接砂
・セラミックボール
・土砂
などの回収・搬送に使用されています。
ホースを使用するため、
・人が材料を持って運んでいる
・車両が対象物の近くまで入れない
・搬送距離が長い
・高低差がある
といった現場でも、設備化を検討できる場合があります。
実際の改善例① ブラスト材の回収・分別
橋梁塗装などで使用されたブラスト材は、施工後に回収作業が必要です。
人力で回収する場合、
・スコップ作業
・運搬
・分別
・フレコン投入
など複数工程が発生します。
ジェクターでブラスト材を吸引し、分別機・集粉設備と組み合わせることで、
回収
↓
集粉
↓
分別
を連続して行う設備構成を検討できます。
実際の改善例② タンカー船内の木質ペレット回収
タンカー船内では、荷役後に木質ペレットなどが船倉内へ残る場合があります。
船倉内部は大型車両が直接入れる場所ではなく、残留物を人力で集めて搬出する作業は負担が大きくなります。
ホースを船倉内へ持ち込み、空気搬送機で船外方向へ搬送することで、人による持ち運び作業を減らせる可能性があります。
実際の改善例③ 吸引車と組み合わせた土砂回収
空気搬送機とバキューム車は、必ずしもどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。
例えば、大型吸引車が作業地点まで入れない場合、
作業地点
↓
ジェクターで吸引・搬送
↓
離れた場所に配置した吸引車
↓
搬出
という構成も可能です。
現場条件に合わせて複数の設備を組み合わせることで、既存設備を活用しながら作業を改善できる場合があります。
導入前に実際の対象物でテストする
設備投資を行う前には、
「実際に搬送できるか」
を確認することが重要です。
粉体・粒体は、
などによって搬送性が変わります。
エコ・ワークでは、実際の対象物を使用したジェクターの搬送テストについてもご相談いただけます。
テストによって、
・搬送可否
・搬送量
・必要機種
・必要なコンプレッサー
・詰まりや付着
・ホース構成
などを確認できます。
設備導入を検討するときに伝えてほしい情報
設備についてご相談いただく際は、
・何を搬送するか
・現在何人で作業しているか
・1回の作業時間
・1回あたりの処理量
・年間何回作業するか
・搬送距離
・高低差
・現在の作業方法
などが分かると、改善方法を検討しやすくなります。
すべて分からなくても問題ありません。
現場写真や現在の作業内容から検討を始めることもできます。
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よくある質問
粉体搬送設備を導入すると必ず人員を削減できますか?
必ず削減できるとは限りません。
対象物や作業工程、安全管理などによって必要人数は異なります。
現在の作業工程を分解し、どの工程を設備化できるか確認することが重要です。
設備導入の費用対効果はどう計算すればいいですか?
現在の作業人数、作業時間、年間作業回数、外注費などを整理し、設備導入後にどれだけ削減できるか比較します。
人件費だけでなく、清掃時間や設備停止時間なども考慮すると判断しやすくなります。
作業頻度が少なくても設備を導入した方がいいですか?
作業頻度が低い場合は、外注や短期使用の方が合理的な場合があります。
年間作業回数と現在のコストを確認して判断します。
粉じんも減らせますか?
密閉されたホース・配管で搬送したり、集粉設備を組み合わせたりすることで、粉じん対策につながる場合があります。
実際の効果は対象物や排出方法によって異なります。
導入前に試すことはできますか?
空気搬送機「ジェクター」について、実際の対象物を使用した搬送テストをご相談いただけます。
特殊な材料や搬送条件の場合は、導入前の確認をおすすめします。
まとめ
粉体搬送設備の導入によって期待できる効果には、
・人力運搬の削減
・作業人数の見直し
・作業時間の短縮
・身体的負担の軽減
・粉じん対策
・長距離・高所搬送の機械化
・回収から次工程までの連続化
などがあります。
ただし、設備を導入すれば必ずコストが下がるわけではありません。
重要なのは、
「現在の作業にどれだけ人・時間・費用がかかっているのか」
を把握したうえで、
「設備導入によってどの工程を改善できるのか」
を比較することです。
作業頻度が高く、複数人で同じ回収・搬送作業を繰り返している現場では、設備化による効果が大きくなる可能性があります。
一方、作業頻度が低い場合は、外注や短期使用を含めて検討した方が合理的な場合もあります。
エコ・ワークでは、対象物や搬送距離、現在の作業方法を確認したうえで、空気搬送機「ジェクター」を活用した省力化方法をご提案しています。
実際の対象物を使った搬送テストについてもご相談いただけます。
