焼却施設や製造工場、発電所、プラント設備などでは、定期的に粉体・粒体の回収作業が発生します。
その際、
「専門業者へ外注した方がよいのか?」
「自社で設備を導入して内製化した方がよいのか?」
と悩むケースがあります。
外注と内製化には、それぞれメリット・デメリットがあります。
例えば、年に1回程度しか発生しない特殊作業であれば、設備を購入せず専門業者へ依頼する方が合理的な場合があります。
一方、
・毎月同じ回収作業が発生する
・外注費が継続的にかかっている
・業者の手配待ちで設備停止時間が長くなる
・人力作業を減らしたい
といった現場では、自社設備を導入して内製化することで改善できる可能性があります。
この記事では、粉体回収作業における「外注」と「内製化」の違いを、コスト・安全性・作業効率・柔軟性などの観点から比較します。
粉体回収で発生する代表的な作業
粉体や粒体の回収作業は、さまざまな現場で発生します。
例えば、
・焼却灰
・フライアッシュ
・ブラスト材
・木質ペレット
・PKS(ヤシ殻)
・パーライト
・溶接砂
・工場内に堆積した粉体・粒体
などです。
こうした作業は、
・発生する頻度
・1回あたりの処理量
・作業場所
・必要人数
・搬出方法
などによって適した運用方法が異なります。
そのため、
「外注が良い」
「内製化が良い」
と一律に決めることはできません。
粉体回収を外注するメリット
① 初期投資を抑えられる
外注の大きなメリットは、設備を自社で購入する必要がないことです。
粉体回収設備を自社保有する場合は、
・搬送機
・コンプレッサー
・ホース
・集粉設備
・周辺機器
などの導入費が必要になる場合があります。
作業頻度が低い場合は、設備を購入するより必要なときだけ専門業者へ依頼する方が合理的なケースがあります。
② 専門的な設備・ノウハウを自社で持つ必要がない
特殊な回収作業では、
・設備選定
・機器操作
・安全管理
・メンテナンス
などのノウハウが必要になる場合があります。
専門業者へ依頼すれば、自社で設備操作の教育や運用ノウハウを蓄積する必要がありません。
③ 突発的・単発の作業に向いている
普段は発生しない清掃作業や、数年に一度だけ行う設備メンテナンスなどでは、外注が有効です。
設備を所有していても使用頻度が極端に低ければ、投資効率が悪くなる可能性があります。
④ 大型・特殊設備を必要なときだけ利用できる
大量の汚泥回収や特殊作業では、バキューム車などの大型設備が必要になる場合があります。
こうした設備を自社で所有・管理するのではなく、必要なときだけ手配できるのも外注のメリットです。
粉体回収を外注するデメリット
① 作業のたびに費用が発生する
外注では、作業するたびに費用が発生します。
例えば、
1回20万円
×
年間10回
であれば、
年間200万円
の費用になります。
作業が毎年継続するのであれば、
「設備を購入した場合とどちらが安いか」
を一度計算してみる価値があります。
② 希望日時に作業できない場合がある
外注では、業者側とのスケジュール調整が必要です。
特に繁忙期や定修シーズンなどでは、
「設備を止めたい日に業者を手配できない」
という可能性もあります。
回収作業を行うまで設備を停止する必要がある現場では、手配待ち時間も大きなコストになる場合があります。
③ 急な作業へ対応しにくい
例えば、
・突然材料がこぼれた
・設備内に粉体が大量に堆積した
・ライン停止中に急いで清掃したい
といった場合、自社設備があればすぐに作業を始められる可能性があります。
外注の場合は、業者の手配が必要です。
④ 現場条件の変化に柔軟に対応しにくい場合がある
実際の作業中に、
「もう少し奥まで清掃したい」
「別の設備も続けて回収したい」
といった追加作業が発生することがあります。
契約内容や作業時間によっては、追加対応が難しい場合があります。
粉体回収を内製化するメリット
① 必要なタイミングで作業できる
設備を自社保有していれば、業者の手配を待たずに作業できます。
例えば、
設備停止
↓
粉体回収
↓
清掃
↓
設備再稼働
までを自社のスケジュールで管理できます。
設備停止時間が生産へ大きく影響する現場では、大きなメリットになる場合があります。
② 長期的なコスト削減につながる可能性がある
定期的な回収作業を外注している場合、設備導入によって長期的な費用を削減できる可能性があります。
例えば、
外注費:年間200万円
設備導入費:200万円
だったとしても、単純に「1年で元が取れる」とは限りません。
実際には、
・作業員の人件費
・コンプレッサー費用
・消耗品
・メンテナンス
・保管場所
なども考慮する必要があります。
それでも数年間継続して使用する場合は、内製化の方が経済的になる可能性があります。
③ 作業ノウハウを社内へ蓄積できる
自社で回収作業を行うことで、
・どの機種が適しているか
・どのホース構成が使いやすいか
・どの位置から吸引すると効率が良いか
・どの程度の時間で作業できるか
といったノウハウを蓄積できます。
同じ作業を繰り返す現場ほど、この蓄積が作業効率向上につながります。
④ 作業工程を改善しやすい
内製化すると、
「回収だけ」
ではなく、その前後工程まで含めて改善を検討できます。
例えば、
吸引
↓
搬送
↓
分別
↓
フレコンへ投入
までを一連の工程として設備化することも可能です。
外注作業では回収だけを依頼していた場合でも、自社設備なら生産工程全体を見直せる可能性があります。
⑤ 人力作業を減らせる可能性がある
内製化=人が作業する、という意味ではありません。
むしろ設備を導入することで、
スコップ
↓
バケツ
↓
台車
↓
フレコン
といった人力工程を、
吸引
↓
ホース搬送
↓
フレコン
などへ変えられる場合があります。
人手不足や作業員の高齢化への対応としても検討できます。
内製化のデメリット
① 初期投資が必要
当然ですが、自社設備を導入するには費用がかかります。
設備費だけでなく、
・コンプレッサー
・ホース
・集粉設備
・保管設備
・周辺機器
などが必要になる場合があります。
そのため、使用頻度が低い現場では外注の方が合理的です。
② 操作教育が必要
設備を安全に使用するためには、作業員への教育が必要です。
特に、
・設備の接続方法
・ホースの取り扱い
・始業前点検
・停止手順
・異常時の対応
などを社内で共有する必要があります。
③ メンテナンスが必要
設備を所有すると、
・ホース点検
・摩耗確認
・部品交換
・フィルター清掃
・保管
などの管理が必要になります。
導入時には、設備価格だけでなくメンテナンス性も確認しておくことが重要です。
④ 使用頻度が低いと設備が遊ぶ
年間1回しか使用しない設備を自社保有すると、それ以外の期間はほとんど使用しないことになります。
このような場合は、設備購入よりも外注や短期間の使用を検討した方が合理的な場合があります。
外注と内製化を比較するときのポイント
外注と内製化を比較する際は、単純に設備価格と外注費だけを見るのではなく、次の項目を確認します。
① 年間の作業回数
まず確認したいのが、年間何回作業するかです。
作業頻度が少ないほど外注が有利になりやすく、頻度が高くなるほど内製化を検討する価値が高まります。
② 1回あたりの作業時間
1回の作業が30分なのか、丸1日なのかでも判断は変わります。
特に複数人が長時間作業している場合は、設備化による効果が大きくなる可能性があります。
③ 現在の外注費
年間の外注費を把握します。
例えば、
外注費
+
車両費
+
オペレーター費
+
運搬費
などを含めて考えます。
④ 設備停止時間
見落とされやすいのが設備停止時間です。
例えば、粉体回収が終わるまで生産設備を止める必要がある場合、
作業時間が1時間短くなる
こと自体に大きな価値がある場合があります。
設備停止による機会損失まで含めて比較することが重要です。
⑤ 作業人数
現在、
・何人で
・何時間
・どのような作業をしているか
を確認します。
例えば、
4人 × 5時間
必要だった作業が、
2人 × 3時間
になれば、必要な人時は、
20人時
↓
6人時
になります。
こうした数字を使うと、省力化効果を判断しやすくなります。
⑥ 急な作業がどれくらい発生するか
通常作業だけでなく、
・こぼれ
・詰まり
・設備トラブル
・緊急清掃
などが頻繁に発生する場合、自社設備を持っていること自体がメリットになる可能性があります。
⑦ 作業場所
外注設備が現場へ入れるかも重要です。
例えば、
・船倉
・工場建屋内
・狭所
・高所
・地下ピット
・設備内部
など、大型車両や重機が入りにくい場所では、ホースを利用した設備が有効な場合があります。
外注が向いている現場
例えば次のような現場では、外注が合理的な可能性があります。
・作業頻度が低い
・単発の作業
・大量の汚泥・液体を搬出したい
・大型特殊設備が必要
・社内に作業員を確保できない
・設備保管場所がない
・設備管理をしたくない
特に数年に1回程度の作業であれば、無理に設備を購入する必要はありません。
内製化が向いている現場
一方、次のような現場では内製化を検討する価値があります。
・毎月・毎週など定期的に作業がある
・外注費が継続的に発生している
・設備停止時間を短縮したい
・業者手配待ちを減らしたい
・人力回収を省力化したい
・粉じん対策を改善したい
・大型車両が作業場所へ入れない
・同じ対象物を繰り返し回収する
このような場合は、設備導入による費用対効果を計算してみることをおすすめします。
「完全内製化」だけでなく外注と設備を使い分ける方法もある
実際には、
「100%外注」
か
「100%内製化」
の二択にする必要はありません。
例えば、
日常清掃・小規模回収
自社の空気搬送機で対応
大規模定修・特殊作業
専門業者へ外注
という使い分けも可能です。
こうすることで、
・日常的な外注費を削減する
・急な清掃へ自社で対応する
・大規模作業は専門業者へ任せる
という運用ができます。
設備導入を検討するときは、
「外注を完全になくす」
ことだけを目的にしない方が現実的です。
空気搬送機「ジェクター」による粉体回収の内製化
エコ・ワークでは、空気搬送機「ジェクター」を活用した粉体・粒体回収作業の省力化をご提案しています。
ジェクターはコンプレッサーから供給される圧縮空気を利用して、粉体・粒体を吸引・搬送する設備です。
これまで、
・焼却灰
・ブラスト材
・木質ペレット
・PKS
・パーライト
・溶接砂
など、さまざまな対象物の回収・搬送に使用されています。
対象物や現場によっては、集粉機「ジェクロン」や分別設備と組み合わせて使用することもできます。
内製化する前に実際の対象物で確認する
設備を購入して内製化する場合、
「購入したものの十分に搬送できなかった」
という状況は避ける必要があります。
そのため、対象物や搬送条件によっては、導入前に実際の材料を使用した搬送テストを行う方法があります。
確認したいのは、
・搬送可否
・必要搬送量
・搬送距離
・ホース構成
・必要なコンプレッサー
・詰まり
・付着
・粉じん
などです。
エコ・ワークでは、実際の対象物を使用したジェクターの搬送テストについてもご相談いただけます。
短期間の使用という選択肢もある
「外注するか、購入するか」
をすぐに決める必要がないケースもあります。
例えば、
・特定の工事期間だけ使いたい
・実際の現場で使用感を確認したい
・購入前に運用方法を確認したい
といった場合です。
使用期間や機種、時期などによって異なりますが、短期間の使用についてもご相談を承っています。
まずは対象物や作業内容をお知らせください。
関連動画
タンカー船内の木質ペレット回収・搬送
船倉内部に残った木質ペレットを空気搬送機で回収している事例です。
ブラスト材回収・分別作業
空気搬送機と集粉・分別設備を組み合わせてブラスト材を回収している事例です。
関連記事
粉体搬送設備の導入で何が変わる?コスト削減と作業効率化の実例
設備導入によって作業人数・時間・コストをどのように改善できるか解説しています。

空気搬送機とバキューム車の違いとは?用途別に徹底比較
外注で使用されることも多いバキューム車と、空気搬送機の特徴・用途を比較しています。

空気搬送機の選び方とは?導入前に確認したい5つのポイント
搬送物、搬送距離、必要能力などから設備を選ぶポイントを解説しています。

粉体搬送設備のテスト導入はできる?デモ機を活用するメリットと確認ポイントを解説
実際の対象物で搬送可否や能力を確認する方法について解説しています。

よくある質問
粉体回収は外注と内製化のどちらが安いですか?
作業頻度や外注費、設備価格などによって異なります。
作業頻度が低ければ外注が合理的なケースが多く、定期的な作業では内製化の方が長期的にコストを抑えられる可能性があります。
年に何回くらいなら内製化した方がいいですか?
一律には決められません。
1回あたりの外注費、作業時間、必要人数、設備費などによって異なります。
年間総コストを算出して比較することをおすすめします。
自社設備を導入すると作業員は何人必要ですか?
対象物、搬送量、現場条件などによって異なります。
設備化によって人力運搬を減らせる場合がありますが、必ず1人で作業できるという意味ではありません。
内製化すると外注は不要になりますか?
必ずしも完全に不要にする必要はありません。
日常作業は自社設備、大規模作業や特殊作業は外注という使い分けも有効です。
購入前に試すことはできますか?
ジェクターについては、実際の対象物を使用した搬送テストをご相談いただけます。
対象物や現場条件を確認したうえで、適した機種・設備構成を検討します。
まとめ
粉体・粒体回収では、
「外注」
と
「内製化」
のどちらが常に優れているということはありません。
外注は、
・初期投資を抑えられる
・専門知識を自社で持たなくてよい
・単発・低頻度作業に向いている
というメリットがあります。
一方、内製化は、
・必要なタイミングで作業できる
・定期作業のコストを削減できる可能性がある
・作業ノウハウを蓄積できる
・人力作業を設備化できる
というメリットがあります。
判断するときは、
・年間作業回数
・年間外注費
・必要人数
・作業時間
・設備停止時間
・緊急対応の頻度
などを数字にして比較することが重要です。
また、
「日常作業は自社設備」
「大規模作業は専門業者」
という組み合わせも有効です。
エコ・ワークでは、対象物や現在の作業方法を確認したうえで、空気搬送機「ジェクター」を活用した内製化・省力化についてご相談いただけます。
実際の対象物を使用した搬送テストについても対応しています。
