焼却施設や廃棄物処理施設、発電設備などでは、燃焼工程によってさまざまな灰が発生します。
その中でも、排ガスとともに移動した微細な灰を集じん設備で捕集したものが「フライアッシュ(飛灰)」です。
フライアッシュは非常に細かな粉体であるため、回収・搬送時には、
- 粉じんが舞いやすい
- 周辺設備へ付着しやすい
- 水分によって固結する場合がある
- ホッパーやサイロでブリッジが発生することがある
- 配管搬送時に詰まりが発生する場合がある
- 人力での回収・袋詰めに負担がかかる
といった課題があります。
そのため、単に灰を集めるだけでなく、「どのように吸引し、どこまで搬送し、どのように集粉・排出するか」まで含めて回収工程を考えることが重要です。
この記事では、フライアッシュの基本的な特徴から焼却灰との違い、回収・搬送時の課題、効率化するための方法まで詳しく解説します。
フライアッシュとは?
フライアッシュとは、焼却炉やボイラーなどで燃焼が行われた際、排ガスとともに移動した微細な灰を、バグフィルターなどの集じん設備で捕集したものです。
日本語では「飛灰(ひばい)」とも呼ばれます。
焼却炉の底に残る比較的大きな灰とは異なり、排ガス中に含まれる細かな粒子であることが特徴です。
乾燥した状態では非常に飛散しやすいため、回収・移し替え・搬送などの工程では粉じん対策が重要になります。
フライアッシュと焼却灰・主灰の違い
「フライアッシュ」と「焼却灰」は同じ意味で使われることもありますが、設備や現場では発生する場所によって区別されることがあります。
主灰(ボトムアッシュ)
主灰は、燃焼後に焼却炉の底部へ残る灰です。
一般的にはフライアッシュよりも粒径が大きく、重量のあるものが含まれます。
炉底灰、ボトムアッシュなどと呼ばれることもあります。
フライアッシュ(飛灰)
フライアッシュは、燃焼ガスとともに移動した微粒子を集じん設備で捕集したものです。
主灰と比較して粒子が細かく、乾燥状態では粉じんとして舞い上がりやすい傾向があります。
そのため、同じ「灰」であっても、回収・搬送方法を検討する際には、粒径・比重・含水率・付着性など実際の性状を確認することが重要です。
フライアッシュはどこで発生する?
フライアッシュは、燃焼を伴うさまざまな設備で発生します。
例えば、
- 一般廃棄物焼却施設
- 産業廃棄物焼却施設
- ボイラー設備
- 発電設備
- バイオマス発電設備
- 各種燃焼炉
などです。
発生した微粒子は排ガス処理設備を通り、バグフィルターなどの集じん設備で捕集されます。
その後、ホッパー・灰貯留設備・サイロ・フレコンなどへ排出され、処理・搬出されます。
フライアッシュ回収で発生しやすい課題
粉じんが飛散しやすい
フライアッシュ回収で特に注意したいのが粉じんです。
粒子が細かいため、
- スコップで掻き出す
- 容器へ移し替える
- 袋へ投入する
- 床へ落ちた灰を掃き集める
といった作業で粉じんが舞う場合があります。
粉じんが飛散すると、作業環境だけでなく周囲の設備への付着や清掃範囲の拡大にもつながります。
そのため、できるだけ開放状態での移し替え回数を減らすことが重要です。
人力での回収・運搬に負担がかかる
設備内や床面に堆積したフライアッシュを人力で回収する場合、
掻き出す → 集める → 容器へ入れる → 運ぶ → フレコンなどへ移す
という複数の工程が必要になることがあります。
一回あたりの回収量が多かったり、回収場所から排出場所まで距離があったりすると、さらに作業負担が大きくなります。
定修工事など限られた期間内で大量の灰を処理する場合には、回収速度も重要です。
ホッパーやサイロでブリッジが発生することがある
フライアッシュの性状によっては、ホッパーやサイロ内部で材料がアーチ状に固まり、排出口へ流れなくなる「ブリッジ現象」が発生することがあります。
特に、
- 水分を含んでいる
- 付着性が高い
- 長期間保管されている
- 圧密されている
といった場合は、流動性が低下することがあります。
ブリッジが発生すると、設備内に灰が残っていても排出口から正常に排出できません。
水分によって固結する場合がある
フライアッシュは状態によっては水分の影響を受け、付着や固結が発生することがあります。
乾燥した状態では吸引・搬送できていた材料でも、保管環境や設備条件の変化によって流動性が変わる場合があります。
そのため、回収設備を検討する際には粒径だけでなく、含水率や付着性も確認する必要があります。
配管内で詰まりが発生する場合がある
フライアッシュを配管搬送する場合には、配管内部での堆積・付着・閉塞にも注意が必要です。
例えば、
- 搬送速度が不足している
- 材料供給量が多すぎる
- 配管の曲がりが多い
- 搬送距離が長い
- 材料が水分を含んでいる
- 配管内壁へ材料が付着している
といった条件が重なると、安定した搬送が難しくなる場合があります。
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フライアッシュを回収する代表的な方法
フライアッシュの回収方法は、発生場所・回収量・設備構造・搬送距離などによって異なります。
人力による回収
少量であれば、スコップや清掃器具を使用して容器へ回収する方法があります。
特別な設備を必要としない一方、大量回収では作業員の負担が大きくなり、袋詰めや運搬工程も増えやすくなります。
集じん設備で捕集する
浮遊している微細な粉じんについては、バグフィルターなどの集じん設備によって捕集します。
ただし、集じん設備で捕集した後には、捕集された灰を排出・回収・搬送する工程が残ります。
そのため「集じん」と「回収・搬送」は分けて考える必要があります。
吸引設備・空気搬送機で回収する
設備内部や床面などに堆積したフライアッシュをホースから吸引し、そのまま別の場所へ搬送する方法です。
例えば、
焼却設備内部 → 吸引 → 配管・ホース搬送 → 集粉 → フレコンへ排出
という一連の工程にすることで、灰を何度も積み替える作業を減らせる可能性があります。
フライアッシュ回収を効率化するポイント
回収と搬送を分けずに考える
回収作業の効率化では、「どうやって吸うか」だけを見るのではなく、回収したフライアッシュを最終的にどこへ持っていくかまで考えることが重要です。
吸引した灰をその場の容器へ排出すると、その後に人力や重機による運搬が必要になります。
吸引位置からフレコン・灰サイロ・回収設備などまで直接搬送できれば、中間運搬工程を減らせます。
開放状態での移し替えを減らす
粉じん飛散を抑えるためには、フライアッシュを開放状態で扱う回数を減らすことが有効です。
例えば、
吸引 → 密閉されたホース・配管内を搬送 → 集粉 → フレコンへ排出
という構成にすれば、人がスコップで袋へ投入する工程などを減らせる可能性があります。
搬送物の性状を事前に確認する
フライアッシュと一言でいっても、その性状は現場によって異なります。
設備選定時には、
- 粒径
- かさ密度・比重
- 含水率
- 付着性
- 流動性
- 固結状態
- 異物の有無
- 回収量
などを確認します。
搬送距離と高低差を確認する
吸引位置だけでなく、排出先までの搬送条件も重要です。
- 水平搬送距離
- 垂直方向の高低差
- 配管径
- 曲管・エルボの数
- 排出先設備
などによって必要な設備能力は変わります。
空気搬送機「ジェクター」でフライアッシュを吸引・搬送
エコ・ワークでは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機「ジェクター」を取り扱っています。
ジェクターはホースから対象物を吸引し、排出側のホース・配管を利用して離れた場所まで搬送できます。
フライアッシュ・焼却灰の回収では、例えば、
- 焼却設備内部に残った灰の回収
- 床面に堆積した灰の吸引
- 灰を離れた回収場所まで搬送
- フレコンへの回収
- 定修時の設備清掃
などへの活用を検討できます。
本体内部にモーターなどの駆動部を持たず、圧縮空気を動力として使用するシンプルな構造です。
集粉機「ジェクロン」と組み合わせてフレコンへ回収
フライアッシュのような細かな粉体では、ジェクターで吸引・搬送した後の集粉・排出方法も重要です。
エコ・ワークでは、集粉機「ジェクロン」を組み合わせた構成も取り扱っています。
例えば、
焼却設備内部
↓
空気搬送機ジェクター
↓
排出ホース・配管
↓
集粉機ジェクロン
↓
フレコン
という構成です。
ジェクターで吸引・搬送された灰をジェクロン側で集粉し、フレコンへ回収することで、「吸引 → 搬送 → 集粉 → 袋詰め」までを一連の工程として構成できます。
固結したフライアッシュは崩しながら回収する
フライアッシュが水分や圧密によって固結している場合、そのままでは吸引しにくいことがあります。
この場合には、
固結物を崩す → 吸引する → 搬送する
という工程を検討します。
エコ・ワークでは、圧縮空気を利用して固結物を崩すエアースコップも取り扱っています。
例えば、サイロ・ホッパー・設備内部で固まった灰をエアースコップで崩しながら、ジェクターで吸引・搬送するといった組み合わせも可能です。
実際の焼却場でのフライアッシュ回収事例
エコ・ワークでは、実際の焼却施設でジェクターとジェクロンを使用した焼却灰(フライアッシュ)の回収を行っています。
焼却設備内に残った灰を吸引し、ホース・配管を通して搬送した後、ジェクロンで集粉してフレコンへ回収する構成です。
人が灰を掻き出して何度も容器へ移し替える方法と比較して、吸引からフレコン回収までを連続した工程として構成できます。
鹿児島県の焼却場における焼却灰(フライアッシュ)回収事例はこちら
実際のフライアッシュで搬送テストも可能
粉体搬送では、名称やカタログ上の粒径だけで搬送可否を判断することは難しい場合があります。
特にフライアッシュでは、
- 粒度分布
- 比重・かさ密度
- 含水率
- 付着性
- 固結状態
- 回収量
- 搬送距離
- 高低差
などが搬送性能に影響します。
エコ・ワークでは、実際の対象物を使用したジェクターの搬送テストについてもご相談いただけます。
「自社で発生しているフライアッシュを吸引できるか確認したい」
「長距離搬送できるか試したい」
「フレコンまで直接搬送したい」
「人力で行っている灰回収を省力化したい」
といった場合は、対象物と現場条件をお知らせください。
フライアッシュ回収設備を検討するときの確認項目
設備選定の際には、少なくとも次の条件を確認します。
- フライアッシュの性状
- 粒径・かさ密度
- 含水率・付着性
- 固結の有無
- 1回または1時間あたりの回収量
- 吸引する場所
- 水平搬送距離
- 垂直方向の高低差
- 配管の曲がり・エルボ数
- 最終的な排出場所
- 使用可能な圧縮空気量・圧力
特に重要なのは、「吸引できるか」だけでなく「吸引した灰をどこまで、どのように搬送・回収するか」です。
よくある質問
フライアッシュと焼却灰は同じですか?
焼却施設で発生する灰を広く「焼却灰」と呼ぶ場合があります。その中で、排ガスとともに移動し集じん設備で捕集される微細な灰がフライアッシュ(飛灰)、炉底に残る灰が主灰・ボトムアッシュなどと呼ばれます。
フライアッシュは空気搬送できますか?
空気搬送できる場合があります。ただし、粒径・かさ密度・含水率・付着性・搬送距離などによって必要な条件が変わるため、実際の対象物と現場条件を確認することが重要です。
湿ったフライアッシュも吸引できますか?
含水率や付着・固結状態によって異なります。乾燥したフライアッシュと同じ条件で搬送できるとは限らないため、実物テストなどで確認する方法があります。
固結したフライアッシュも回収できますか?
固結状態によっては、そのまま吸引するのが難しい場合があります。その場合には、固結した部分を崩しながら吸引・搬送する方法を検討します。
回収したフライアッシュをフレコンへ直接入れられますか?
現場条件によっては、ジェクターで吸引・搬送し、ジェクロンで集粉した後にフレコンへ排出する構成を検討できます。
長距離でもフライアッシュを搬送できますか?
搬送距離だけでなく、対象物の性状、配管径、高低差、曲管数、供給空気量などによって搬送能力が変わります。具体的な搬送条件を確認したうえで機種や設備構成を選定します。
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まとめ
フライアッシュ(飛灰)は、焼却炉やボイラーの排ガスに含まれる微細な灰を集じん設備で捕集したものです。
主灰・ボトムアッシュと比較して粒子が細かく、回収・搬送時には、
- 粉じん飛散
- 付着
- 固結
- ブリッジ
- 配管詰まり
- 人力作業の負担
などが課題になることがあります。
フライアッシュ回収を効率化するためには、単に材料を吸引するだけでなく、
「吸引 → 搬送 → 集粉 → フレコンなどへの排出」
までを一つの工程として考えることが重要です。
エコ・ワークでは、空気搬送機「ジェクター」、集粉機「ジェクロン」、固結物を崩す「エアースコップ」などを組み合わせ、対象物や現場条件に合わせた回収・搬送方法をご提案しています。
フライアッシュや焼却灰の回収作業を省力化したい場合や、現在の対象物が空気搬送できるか確認したい場合は、お気軽にご相談ください。
