粉体や粒体の搬送設備として、工場やプラントで広く使用されているのがベルトコンベアです。
一方、
「決まったルートではなく複数箇所から材料を回収したい」
「設備や配管の隙間を通して搬送したい」
「粉体を吸引しながら別の場所へ運びたい」
といった現場では、空気搬送機が選択肢になります。
どちらも材料を運ぶ設備ですが、搬送方法や得意な用途は大きく異なります。
簡単に整理すると、
ベルトコンベア
→ 大量の材料を一定ルートで連続搬送するのが得意
空気搬送機
→ 材料を吸引し、ホースや配管を使って柔軟なルートで搬送するのが得意
という違いがあります。
この記事では、空気搬送機とベルトコンベアの仕組み、メリット・デメリット、それぞれが向いている現場について解説します。
ベルトコンベアとは?
ベルトコンベアとは、ローラーの上を循環するベルトに材料を載せて搬送する設備です。
工場や物流施設、発電所、採石場など、さまざまな場所で利用されています。
例えば、
原料置場
↓
ベルトコンベア
↓
製造設備
というように、決められたルートを連続的に搬送します。
粉体だけでなく、
・粒体
・木質チップ
・鉱石
・箱
・製品
など幅広い対象物を搬送できます。
ベルトコンベアの主なメリット
① 大量の材料を連続搬送しやすい
ベルトコンベアの大きなメリットは、大量の材料を継続的に搬送できることです。
例えば、
「毎時間大量の材料をA地点からB地点へ送り続ける」
といった用途に適しています。
生産ラインや常設設備として使用する場合に大きな強みがあります。
② 搬送能力を確保しやすい
ベルト幅や速度、設備仕様によって搬送能力を設計できます。
大量処理が必要な現場では有力な選択肢です。
③ 消費エネルギーを抑えやすい場合がある
一定ルートを大量搬送する用途では、空気によって材料を搬送する方式と比較して、エネルギー効率で有利になる場合があります。
特に常時大量搬送する設備では、運用コストを含めた比較が重要です。
④ 対象物の種類が広い
粉体・粒体だけでなく、比較的大きな材料や製品そのものを運べる点も特徴です。
ベルトコンベアのデメリット
① 搬送ルートが固定される
ベルトコンベアは常設設備として使用されることが多く、搬送ルートは基本的に固定されます。
例えば、
「今日はA地点、明日はB地点から材料を回収する」
といった作業には向いていません。
搬送先を変更する場合は設備改造が必要になることがあります。
② 設置スペースが必要
搬送区間そのものに設備を設置する必要があります。
工場内に、
・通路
・既設設備
・柱
・配管
・高低差
などがある場合、設置ルートの確保が難しいことがあります。
③ 粉体では飛散・こぼれへの対策が必要になる場合がある
ベルト上で粉体を搬送すると、対象物や搬送速度、設備構造によっては、
・こぼれ
・粉じん飛散
・設備周辺への堆積
などが発生する場合があります。
カバーや集じん設備などを組み合わせることもあります。
④ ベルトやローラーなどのメンテナンスが必要
長期間運用する場合は、
・ベルト
・ローラー
・軸受
・モーター
・テンション機構
などの点検・交換が必要になります。
空気搬送機とは?
空気搬送機とは、空気の流れを利用して粉体・粒体をホースや配管内部で搬送する設備です。
エコ・ワークが取り扱う空気搬送機「ジェクター」は、コンプレッサーから供給される圧縮空気を利用して対象物を吸引・搬送します。
例えば、
床に堆積した材料
↓
ジェクターで吸引
↓
ホース搬送
↓
フレコンへ排出
といった使い方ができます。
これまで、
・木質ペレット
・PKS
・ブラスト材
・焼却灰
・フライアッシュ
・パーライト
・溶接砂
・セラミックボール
・土砂
などの回収・搬送に使用されています。
空気搬送機の主なメリット
① 材料を直接吸引できる
ベルトコンベアでは、基本的に材料をベルト上へ供給する必要があります。
一方、空気搬送機では、
・床
・フレコン
・船倉
・地下ピット
・設備内部
などから直接材料を吸引できます。
そのため、
「材料をコンベアまで運ぶ工程」
そのものを省力化できる場合があります。
② 搬送ルートの自由度が高い
ホースや配管を使用するため、
・既設設備を避ける
・狭い通路を通る
・高所へ上げる
・地下から地上へ出す
といった搬送ルートを構成できます。
設備レイアウトが複雑な現場では大きなメリットになります。
③ 長距離・高所へ搬送できる
ジェクターでは条件によって、
水平最大200m
垂直最大100m
の搬送に対応します。
ただし、実際の搬送能力は、
・対象物
・粒径
・比重
・含水率
・搬送距離
・高低差
・ホース構成
・コンプレッサー能力
などによって変化します。
④ 搬送地点を変更しやすい
ホースを移動することで、
「複数地点から材料を回収する」
という運用ができます。
固定ラインではなく、清掃・回収作業などに向いている特徴です。
⑤ 密閉された経路で搬送できる
粉体をホース・配管内部で搬送するため、開放状態で材料を移動させる工程を減らせます。
粉じん対策を重視する現場では有効な場合があります。
ただし、排出時の粉じん対策として集粉設備が必要になる場合があります。
空気搬送機のデメリット
① コンプレッサーなどの動力が必要
ジェクターは圧縮空気を使用するため、機種に応じたコンプレッサー能力が必要です。
② 大量の連続搬送では別方式が有利な場合がある
毎日24時間、大量の材料を決まったルートへ搬送する用途では、ベルトコンベアなど固定設備の方が合理的なケースがあります。
搬送量や運転時間まで含めて比較する必要があります。
③ 搬送能力が対象物によって変わる
空気搬送では、
・比重
・粒径
・水分
・付着性
などによって搬送性能が変化します。
そのため、設備選定では実際の対象物・現場条件を確認することが重要です。
④ 摩耗対策が必要になる場合がある
ブラスト材や砂など摩耗性の高い材料では、
・ホース
・曲管
・排出部
などが摩耗する場合があります。
空気搬送機とベルトコンベアの違い① 搬送原理
ベルトコンベアは、
材料をベルトに載せる
↓
ベルトが移動
↓
材料を搬送
という方式です。
一方、空気搬送機は、
材料を吸引
↓
空気流に乗せる
↓
ホース・配管内部を搬送
という方式です。
この違いによって、それぞれが適する作業も変わります。
違い② 大量連続搬送
大量の材料を同じルートへ長時間搬送する場合は、ベルトコンベアが有力です。
例えば、
原料置場
↓
製造設備
へ毎日大量に材料を供給するような用途です。
一方、空気搬送機は、
「必要なときに対象物を吸引・搬送する」
用途や、作業地点が変化する現場でメリットが出やすくなります。
違い③ 搬送ルート
ベルトコンベアは、設備そのものが搬送ルートになります。
そのため、設備を設置するスペースが必要です。
空気搬送機はホースや配管を利用するため、既設設備の隙間などを通して搬送できる場合があります。
違い④ 吸引回収
ベルトコンベアは、
「材料をベルトへ載せる工程」
が必要です。
一方、空気搬送機では対象物を直接吸引できます。
例えば、
船倉底部の木質ペレット
↓
ジェクターで吸引
↓
船外方向へ搬送
という使い方ができます。
人力で材料をコンベアまで集める工程を減らせる可能性があります。
違い⑤ 粉じん対策
ベルトコンベアで粉体を搬送する場合、設備構造によっては材料が開放状態になるため、
・飛散
・こぼれ
・周辺への堆積
などの対策が必要になる場合があります。
空気搬送では材料をホース・配管内部で運ぶため、搬送中の飛散を抑えやすい特徴があります。
ただし、排出部分では集粉機などとの組み合わせを検討する場合があります。
違い⑥ 高低差
ベルトコンベアは、急な角度での搬送には制約があります。
大きな高低差がある場合は、別設備を組み合わせることがあります。
一方、空気搬送ではホースや配管を立ち上げることで、高所搬送にも対応できる場合があります。
違い⑦ メンテナンス
ベルトコンベアでは、
・ベルト
・ローラー
・モーター
・軸受
などの点検が必要です。
ジェクター本体にはモーターや回転機構などの駆動部がありません。
ただし、空気搬送でもホースや接続部分、摩耗箇所などの点検は必要です。
空気搬送機とベルトコンベアの比較表
| 比較項目 | 空気搬送機 | ベルトコンベア |
|---|---|---|
| 大量連続搬送 | ○ | ◎ |
| 固定ルート搬送 | ○ | ◎ |
| 搬送ルート変更 | ◎ | △ |
| 吸引回収 | ◎ | × |
| 長距離搬送 | ◎ | ◎ |
| 高所搬送 | ◎ | △〜○ |
| 狭所への対応 | ◎ | △ |
| 粉体飛散対策 | ◎ | △〜○ |
| 設備清掃用途 | ◎ | × |
| 設置スペース | 比較的小さい | 搬送区間に必要 |
※実際の適否は搬送物・設備仕様・搬送量・距離などによって異なります。
ベルトコンベアが向いている現場
例えば、
・毎日大量に搬送する
・搬送ルートが固定されている
・長時間連続運転する
・十分な設置スペースがある
・搬送物をベルト上へ安定供給できる
といった現場です。
空気搬送機が向いている現場
例えば、
・床や設備内部から材料を直接吸引したい
・複数の場所から回収したい
・搬送ルートを変更したい
・狭い場所から搬送したい
・高所・地下へ搬送したい
・粉じん飛散を抑えたい
・人力運搬を減らしたい
といった現場です。
ベルトコンベアと空気搬送機は組み合わせられる
両者は競合するだけではなく、役割を分けて使用することもできます。
例えば、
船倉・設備内部
↓
ジェクターで吸引
↓
ホッパー
↓
ベルトコンベア
↓
次工程
という構成です。
この場合、
回収しにくい場所からホッパーまで
→ 空気搬送
大量の材料を一定ルートで次工程まで
→ ベルトコンベア
という使い分けができます。
既存ベルトコンベアを残して前工程だけ省力化する
現在、
材料
↓
人がスコップ・台車で運搬
↓
ベルトコンベア
↓
次工程
という作業の場合、
材料
↓
ジェクターで吸引・搬送
↓
既存ベルトコンベア
↓
次工程
という構成を検討できます。
既存ラインを大きく変更せず、人力部分だけを設備化する考え方です。
空気搬送機「ジェクター」
ジェクターは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機です。
ホースを利用することで、
・吸引
・回収
・搬送
・投入
・排出
・散布
などに使用できます。
→ 空気搬送機「ジェクター」の詳しい情報はこちら

導入前に実際の対象物で搬送テストする
空気搬送が適しているかは、
・粒径
・比重
・含水率
・搬送量
・搬送距離
・高低差
などによって変わります。
エコ・ワークでは、実際の対象物を使用したジェクターの搬送テストについてもご相談いただけます。
「ベルトコンベアまで材料を運ぶ人力作業を減らしたい」
「現在の固定設備では対応できない場所から回収したい」
「既設ベルトコンベアを残しながら改善したい」
といった場合も、現場条件をお知らせください。
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よくある質問
空気搬送機とベルトコンベアはどちらが安いですか?
設備条件によって異なります。
設備価格だけでなく、設置工事、搬送距離、使用時間、必要能力、電力・圧縮空気などの運用コストまで含めて比較する必要があります。
大量搬送ならベルトコンベアの方がいいですか?
大量の材料を固定ルートで常時搬送する用途では、ベルトコンベアが適する場合があります。
ただし、材料の回収場所が変わる場合や人力でベルトまで運んでいる場合は、空気搬送を組み合わせる方法もあります。
ベルトコンベアで粉体を搬送できますか?
可能な設備もあります。
ただし、細かな粉体では飛散・こぼれ対策が必要になる場合があります。
設備仕様や対象物に応じた検討が必要です。
既設のベルトコンベアを残したままジェクターを追加できますか?
現場条件によって可能です。
ベルトコンベアまで材料を運ぶ工程だけをジェクターで省力化する方法などがあります。
長距離ならどちらが適していますか?
どちらも長距離搬送に使用される場合があります。
固定ルートで大量連続搬送する場合と、複雑な経路で吸引・搬送する場合では適する方式が異なります。
導入前にジェクターを試せますか?
実際の対象物を使用した搬送テストについてご相談いただけます。
搬送可否、能力、必要機種などを確認できます。
まとめ
空気搬送機とベルトコンベアは、どちらも材料搬送に使用されますが、得意な現場は異なります。
ベルトコンベアは、
・大量搬送
・固定ルート
・長時間連続運転
・常設生産ライン
などに向いています。
一方、空気搬送機は、
・材料の直接吸引
・搬送ルート変更
・狭所からの回収
・高所・地下搬送
・設備清掃
・粉じん対策
などで有効な場合があります。
そのため、
「空気搬送機とベルトコンベアのどちらが優れているか」
ではなく、
「現在の作業条件にどちらが適しているか」
で判断することが重要です。
また、
空気搬送機
+
ベルトコンベア
という組み合わせもできます。
既存ベルトコンベアを残し、人力で行っている回収・投入工程だけを空気搬送へ変更することで、省力化できる場合があります。
エコ・ワークでは、現在の設備や搬送物、搬送距離などを確認したうえで、空気搬送機「ジェクター」を活用した設備改善をご提案しています。
実際の対象物による搬送テストについてもご相談いただけます。
