この記事でわかること
- 粉体搬送設備の調子が悪いときに確認したいポイント
- 搬送量が低下する主な原因
- 配管・ホースの詰まりや摩耗を確認する方法
- コンプレッサー・圧縮空気で確認したい項目
- 搬送物の状態変化が設備へ与える影響
- ジェクターの吸引力が低下したときの確認方法
- 修理・メンテナンス・設備改善を判断する考え方
はじめに
粉体・粒体を搬送する設備を長期間使用していると、
- 搬送量が以前より減った
- 配管が詰まりやすくなった
- 材料を吸い込みにくくなった
- 同じ量を運ぶのに時間がかかる
- ホースや配管の交換頻度が増えた
といった変化が現れることがあります。
このような場合、
「設備本体が故障したのでは?」
と考えがちですが、原因は設備本体とは限りません。
粉体搬送では、
搬送物
+圧縮空気
+ホース・配管
+搬送経路
+排出先
が組み合わさって搬送状態が決まります。
そのため、設備の調子が悪いと感じたら、一つずつ条件を切り分けて確認することが重要です。
この記事では、粉体搬送設備の性能低下を感じたときの設備診断と、空気搬送機「ジェクター」を使用している場合の確認ポイントを解説します。
実際のジェクターによるPKS回収・搬送動画
タンカー船内|PKS(ヤシ殻)回収・搬送作業
→ タンカー船内に残ったPKSをジェクターで吸引し、ホースを通して搬送している実際の作業事例です。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
そのため、一般的な機械設備のようなモーター・ベアリング・チェーン・ベルトなどの駆動部品はありません。
一方で、搬送能力はジェクター本体だけではなく、
- 搬送物
- ホース・配管
- 圧縮空気
- 搬送距離
- 高低差
- 曲がり
- 排出条件
などにも左右されます。
調子が悪いと感じた場合には、搬送システム全体を確認することが重要です。
まず「いつから調子が悪くなったか」を確認する
設備診断で最初に確認したいのが、
いつから状態が変化したのか
です。
例えば、
昨日までは正常だった
↓
今日から急に搬送できない
という場合と、
数か月かけて徐々に搬送量が低下した
という場合では、考えられる原因が異なります。
急激な変化なら、
- ホースの詰まり
- 異物混入
- 空気漏れ
- コンプレッサー条件の変化
- ホースの潰れ
などを確認します。
一方、徐々に性能が低下している場合には、
- 配管内部への付着
- 摩耗
- ホースの劣化
- 原料条件の変化
なども考えられます。
診断ポイント1.搬送量・搬送時間を確認する
「なんとなく搬送能力が落ちた気がする」だけでは、設備状態を判断しにくくなります。
可能であれば、
何kgを何分で搬送できているか
を確認します。
例えば、
以前:500kgを30分
現在:500kgを45分
であれば、搬送性能に変化が生じていることが分かります。
搬送量や搬送時間を記録しておけば、
- いつから能力が低下したか
- メンテナンス後に改善したか
- 材料によって差があるか
なども判断しやすくなります。
診断ポイント2.搬送物の状態が変わっていないか
設備条件が同じでも、材料条件が変化すれば搬送状態も変わります。
確認したいのは、
- 粒径
- かさ密度
- 水分
- 付着性
- 微粉量
- 塊の有無
- 異物の有無
などです。
特に水分は重要です。
乾燥状態では問題なく搬送できていた材料でも、湿気を含むことで、
付着する
↓
塊になる
↓
ホース・配管へ堆積する
↓
搬送量が低下する
場合があります。
設備に異常が見つからない場合には、原料条件も以前と比較します。
診断ポイント3.吸引口まで材料が供給されているか
搬送設備が正常でも、材料が吸引口まで流れてこなければ搬送できません。
例えばホッパーやサイロでは、
- ブリッジ
- ラットホール
- 壁面への付着
- 固結
などによって材料供給が止まる場合があります。
この場合、
「ジェクターが吸わない」のではなく「ジェクターまで材料が来ていない」
可能性があります。
まず吸引元の材料状態を確認することが重要です。
固結している場合は崩してから回収する
ホッパーや設備内部で材料が固結している場合には、そのまま大きな塊を吸引するのではなく、
固結物を崩す
↓
吸引できる状態にする
↓
ジェクターで回収・搬送する
という方法があります。
固結物を崩す作業では、圧縮空気を利用する「エアースコップ」とジェクターを組み合わせることもできます。
特にホッパー・サイロ・設備下などで固結した材料を処理する場合に検討できます。
診断ポイント4.吸引ホースを確認する
ジェクターの吸引能力が低下したと感じた場合には、吸引ホースを確認します。
例えば、
- ホースが潰れている
- 急角度で折れている
- 内部へ材料が付着している
- 異物が詰まっている
- 亀裂が入っている
- 継手が緩んでいる
といった状態です。
吸引側で空気漏れや閉塞が発生すると、材料を十分に吸い込みにくくなる場合があります。
ジェクターでは吸引側をできるだけ短くする
ジェクターでは、
吸引側をできるだけ短くし、長距離部分を排出側へ取る
構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場条件によっては10m前後で使用される場合もありますが、吸引距離が長くなるほど条件は厳しくなります。
例えば、
吸引ホース5m+排出ホース50m
と、
吸引ホース50m+排出ホース5m
では、同じ総延長でも条件が異なります。
「以前より吸引しにくい」と感じた場合には、吸引側の距離や取り回しが変わっていないかも確認します。
診断ポイント5.排出側のホース・配管を確認する
吸引側に問題がなければ、排出側も確認します。
例えば、
- 配管内部への付着
- 部分的な詰まり
- ホースの潰れ
- 急な曲がり
- エルボの増加
- 配管径の変化
などです。
排出側の抵抗が大きくなれば、搬送量へ影響する場合があります。
特に設備改造などによって配管経路が変更されている場合には、
「以前と同じ距離だから問題ない」
とは限りません。
曲がり数まで含めて確認します。
長距離・高所搬送では経路全体を見る
条件が合えば、ジェクターでは排出側で水平約200m程度、高低差では垂直約100m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、搬送能力は距離だけで決まりません。
例えば、
- 材料
- 粒径
- かさ密度
- 水分
- 搬送量
- ホース径
- 曲がり数
- コンプレッサー能力
などによって変化します。
長距離搬送で能力が低下した場合には、ジェクター本体だけでなく搬送経路全体を確認します。
診断ポイント6.接続部から空気が漏れていないか
ホースや配管の接続部も確認します。
例えば、
- 継手
- フランジ
- ニップル
- ボールジョイント
- パッキン
などです。
接続部が緩んでいたり、パッキンが劣化していたりすると空気が漏れる場合があります。
特に吸引側の空気漏れは、吸引性能へ影響する可能性があります。
目視だけではなく、運転時に異常な空気漏れがないか確認します。
診断ポイント7.コンプレッサーの圧力・空気量を確認する
ジェクター本体に問題が見つからない場合には、圧縮空気の供給状態を確認します。
例えば、
- コンプレッサー能力
- 運転時の圧力
- 必要な空気量
- エアー配管径
- 配管距離
- エアー漏れ
- 他設備との同時使用
などです。
工場内の既設コンプレッサーを使用している場合、
他設備の稼働状況によってジェクターへ供給される空気量が変化する
ことがあります。
例えば、
午前中は正常
↓
午後に別設備が稼働
↓
ジェクターの搬送量が低下
という場合には、圧縮空気の供給条件を確認します。
診断ポイント8.摩耗による空気漏れ・性能低下を確認する
砂・ブラスト材・砕石・石粉など、摩耗性のある材料ではホースや配管が徐々に削られます。
摩耗が進むと、
- ホースに穴が開く
- 材料が漏れる
- 搬送空気が漏れる
- 粉じんが漏れる
といった状態になる可能性があります。
特に過去に摩耗した箇所がある場合には、重点的に確認します。
ジェクターでは排出部が最も摩耗しやすい
ジェクターで摩耗性の高い材料を搬送する場合、排出部が最も摩耗しやすい部分です。
摩耗対策として、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースを使用する方法があります。
ただし、摩耗速度は、
- 搬送物
- 粒径
- 搬送量
- 使用時間
- 配管経路
などによって異なります。
一律の交換時期を設定するだけでなく、実際の摩耗状態を確認することが重要です。
診断ポイント9.排出先の状態を確認する
見落としやすいのが排出先です。
ジェクターでは、材料だけでなく搬送に使用した空気も排出されます。
そのため、排出先で空気を適切に処理できなければ、搬送条件へ影響する場合があります。
例えば、
- 密閉容器へそのまま排出している
- 排気経路が不足している
- フィルターが目詰まりしている
- 粉体が排出口付近へ堆積している
といった状態です。
搬送設備の診断では、吸引元から排出先までを見ることが重要です。
微粉体ではジェクロン側も確認する
微粉体をジェクターで搬送し、集粉機「ジェクロン」で回収している場合には、集粉側も確認します。
ジェクロンには、
- 高性能集じんフィルター
- インバーターによる風量調整
- パルスエアーによる自動逆洗
などの機能があります。
一方で、
- フィルターの状態
- 粉体の堆積
- 排出部
- 接続ホース
などの確認は必要です。
搬送側だけではなく、回収側まで含めて設備診断を行うことで原因を特定しやすくなります。
「正常な状態」を記録しておく
設備診断を行いやすくする方法の一つが、正常運転時の状態を記録しておくことです。
例えば、
- 500kg搬送するのに何分かかるか
- 使用時のコンプレッサー圧力
- ホースの長さ
- 搬送物の状態
- 搬送経路
などです。
正常時の基準があれば、
現在の状態と何が違うのか
を比較できます。
「調子が悪い気がする」という感覚だけではなく、数値や設備条件で比較することが設備診断につながります。
原因を切り分けるなら「材料・空気・経路・排出先」
粉体搬送設備の調子が悪い場合には、次の4つに分けると整理しやすくなります。
1.材料
- 水分
- 粒径
- かさ密度
- 固結
- 異物
- 付着性
2.空気
- コンプレッサー能力
- 圧力
- 空気量
- エアー漏れ
3.搬送経路
- ホース
- 配管
- 詰まり
- 摩耗
- 曲がり
- 搬送距離
- 高低差
4.排出先
- 排気
- フィルター
- 粉体堆積
- 回収容器
この順番で確認すると、原因を絞り込みやすくなります。
メンテナンスで改善するのか、設備を見直すのか
設備診断を行った結果、
ホース交換で改善した
配管清掃で元の搬送量に戻った
のであれば、既存設備を継続使用できます。
一方、
- 同じ場所で何度も詰まる
- 同じエルボが短期間で摩耗する
- 必要搬送量を確保できない
- 人力による補助作業が多い
- 修理頻度が増えている
という場合には、設備構成そのものを見直すことも検討します。
同じトラブルを繰り返すなら設備改善を検討する
例えば、
配管が詰まる
↓
清掃する
↓
再び同じ場所が詰まる
という状態を繰り返している場合には、清掃だけでは根本的な設備改善にならない可能性があります。
- 配管径
- 曲がり数
- 搬送距離
- ホース経路
- 吸引位置
- コンプレッサー能力
などを確認します。
問題のある工程だけ構成を変更することで、トラブルを減らせる場合があります。
既存設備へジェクターを追加する方法もある
設備改善では、既存ライン全体を交換する必要があるとは限りません。
既存設備の構造によっては、
- フランジ
- ニップル
- ボールジョイント
- 各種継手
などを使用してジェクターを接続できる場合があります。
例えば、
既存ホッパー
↓
ジェクター
↓
搬送ホース
↓
次工程
という構成です。
既存設備を活用しながら、問題が発生している搬送工程だけ空気搬送へ変更する方法も検討できます。
新しい材料なら搬送テストを行う
設備診断を行っても、
「そもそもこの材料が現在の設備条件に適しているのか分からない」
という場合があります。
特に、
- 新しい原料へ変更した
- 水分量が変わった
- 粒径が変わった
- 搬送距離を延長したい
- 搬送量を増やしたい
場合には、実際の材料を使用した搬送テストが有効です。
実物を使用することで、
- 搬送できるか
- 搬送量
- 必要な機種
- 必要なコンプレッサー
- ホース径
- 材料への影響
などを確認しやすくなります。
よくある質問
ジェクターの吸引力が弱くなった場合、最初に何を確認すればよいですか?
まず搬送物の状態、吸引ホース、接続部、コンプレッサーの圧力・空気量を確認します。
本体以外の条件によって吸引能力が低下している場合があります。
設備本体に異常がなくても搬送量は低下しますか?
はい。
材料の水分、配管への付着、空気漏れ、ホースの潰れ、圧縮空気不足などでも搬送量は変化します。
配管が頻繁に詰まる場合はどうすればよいですか?
材料状態だけでなく、配管径、曲がり数、搬送経路、空気量などを確認します。
同じ場所で繰り返し詰まる場合には、設備構成の見直しも検討します。
工場の既設コンプレッサーは使えますか?
必要な圧力・空気量を確保できる場合には、既設コンプレッサーを使用できる場合があります。
他設備との同時使用やエアー配管による圧力損失も確認します。
現場条件だけでも相談できますか?
搬送物、搬送距離、高低差、必要搬送量、コンプレッサーなどの情報から設備構成を検討できます。
材料によっては実際の搬送物を使用したテストもおすすめしています。
まとめ
粉体搬送設備の調子が悪いと感じた場合には、設備本体だけを確認するのではなく、
材料
↓
空気
↓
搬送経路
↓
排出先
の順に確認することが重要です。
特に、
- 搬送物の水分・粒径
- ホースの詰まり・潰れ
- 配管内部への付着
- 接続部からの空気漏れ
- コンプレッサーの圧力・空気量
- 排出先の状態
- 摩耗
などが搬送性能へ影響します。
空気搬送機「ジェクター」は、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で駆動部を持ちません。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
現在の搬送物、搬送量、搬送距離、高低差、ホース・配管経路、コンプレッサー条件や発生している症状を確認し、原因の切り分けと現場に適した搬送方法をご提案します。
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