この記事でわかること
- 粉体搬送設備の搬送量が低下する主な原因
- コンプレッサーの圧力・空気量が搬送能力へ与える影響
- 搬送距離・高低差・曲がりによる影響
- ホースや配管の詰まり・付着・摩耗の確認ポイント
- 搬送物の粒径・水分・かさ密度による違い
- ジェクターの搬送能力を安定させるための考え方
- 搬送能力不足を設備改善につなげる方法
はじめに
粉体・粒体を扱う工場やプラントでは、
- 以前より搬送量が減った
- 必要な時間内に搬送が終わらない
- 生産量を増やしたら搬送工程が追いつかなくなった
- 同じ設備なのに日によって搬送量が違う
といった問題が発生することがあります。
粉体搬送設備の能力不足は、単純に「設備が小さい」ことだけが原因とは限りません。
実際には、
搬送物
+コンプレッサー
+搬送距離
+高低差
+ホース・配管
+排出条件
など、複数の条件によって搬送能力が変化します。
そのため、搬送量が不足している場合には、すぐに大型設備へ交換するのではなく、どこが搬送能力を制限しているのかを確認することが重要です。
この記事では、粉体搬送設備の能力が低下する主な原因と、空気搬送機「ジェクター」を使用する場合の改善ポイントを解説します。
実際のジェクターによるPKS回収・搬送動画
タンカー船内|PKS(ヤシ殻)回収・搬送作業
→ タンカー船内に残ったPKSをジェクターで吸引し、ホースを通して搬送している実際の作業事例です。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
そのため構造自体はシンプルですが、実際の搬送能力はジェクター本体だけでは決まりません。
例えば、
- コンプレッサー能力
- 搬送物
- ホース径
- 搬送距離
- 高低差
- 曲がり数
- 吸引側の長さ
などによって搬送状態は変化します。
搬送量が不足している場合には、設備全体の条件を一つずつ確認することが重要です。
原因1.コンプレッサーの空気量が不足している
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
そのため、必要な圧力があっても、十分な空気量を確保できていなければ搬送能力へ影響する場合があります。
例えば、
ジェクターが必要とする空気量
>
実際に供給できる空気量
となっていれば、十分な能力を発揮できません。
特に工場の既設コンプレッサーを使用する場合には、
- コンプレッサー容量
- 使用時の圧力
- 空気量
- 他設備の使用状況
- エアー配管径
などを確認します。
原因2.他設備と圧縮空気を共用している
工場では、1台のコンプレッサーから複数の設備へ圧縮空気を供給していることがあります。
例えば、
午前中はジェクターだけを使用
→ 問題なく搬送できる
一方で、
午後は他のエアー機器も稼働
→ 搬送量が低下する
という場合には、圧縮空気の供給条件が変化している可能性があります。
「同じジェクターなのに時間帯によって能力が違う」
という場合には、他設備の稼働状況も確認します。
原因3.エアー配管が細い・長い
コンプレッサー自体に十分な能力があっても、ジェクターまで圧縮空気を供給する配管条件によっては性能へ影響する場合があります。
例えば、
- エアー配管径が小さい
- コンプレッサーからジェクターまで遠い
- 配管の曲がりが多い
- 接続部からエアーが漏れている
といった条件です。
重要なのは、コンプレッサーの仕様だけを見るのではなく、
実際にジェクターを運転している状態で必要な圧縮空気が届いているか
を確認することです。
原因4.吸引側が長すぎる
ジェクターでは、
吸引側をできるだけ短くし、長距離部分を排出側へ取る
構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場条件によっては10m前後で使用される場合もありますが、吸引側が長くなるほど搬送条件は厳しくなります。
例えば総延長が同じ50mでも、
吸引5m+排出45m
と、
吸引40m+排出10m
では条件が異なります。
ジェクターを材料の近くへ設置できるのであれば、吸引側を短くすることで改善できる場合があります。
原因5.搬送距離が長くなっている
搬送距離が長くなれば、その分だけ搬送抵抗も増えます。
例えば設備改造によって、
以前:30m
現在:80m
へ変更している場合には、以前と同じ搬送量を確保できるとは限りません。
条件が合えば、ジェクターでは排出側で水平約200m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、これはすべての材料で200m搬送できるという意味ではありません。
材料・搬送量・ホース径・曲がり・コンプレッサー能力などによって変化します。
原因6.高低差が大きい
粉体・粒体を上方向へ搬送する場合には、高低差も重要です。
例えば、
水平50m
と、
垂直方向へ50m上げる搬送
では条件が異なります。
条件によっては、ジェクターで垂直約100m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、
- 材料
- 粒径
- かさ密度
- 水分
- 必要搬送量
- ホース径
- 曲がり
- コンプレッサー能力
などによって搬送可能条件は変わります。
高所搬送では距離だけでなく、高低差も含めて検討します。
原因7.配管・ホースの曲がりが多い
搬送距離が同じでも、配管レイアウトによって搬送抵抗は変わります。
例えば、
直線100m
と、
90度エルボを複数含む100m
では同じ条件ではありません。
曲がりが増えることで、
- 搬送抵抗が増える
- 材料が壁面へ衝突する
- 摩耗が増える
- 材料が滞留しやすくなる
場合があります。
搬送能力が不足している場合には、不要な曲がりを減らせないか確認します。
原因8.ホース・配管内部へ材料が付着している
設備を長期間使用している場合には、配管内部への付着も確認します。
例えば、
内径100mmの配管
↓
内壁へ粉体が付着
↓
有効な搬送断面が小さくなる
↓
搬送抵抗が増える
という状態です。
特に、
- 湿った粉体
- 粘着性のある粉体
- 油分を含む材料
- 微粉
などでは注意します。
新品時には問題なく搬送できていた設備で徐々に搬送量が低下している場合には、内部への付着も疑います。
原因9.部分的な詰まりが発生している
完全に配管が詰まっていなくても、部分的な閉塞によって搬送能力が低下する場合があります。
例えば、
通常100%の断面積
↓
付着・固結によって70%
↓
搬送量低下
という状態です。
この段階では材料がまだ流れているため、異常に気づきにくい場合があります。
「搬送はできるが、以前より時間がかかる」
という状態は、完全閉塞の前兆である可能性もあります。
原因10.材料の水分が増えている
粉体搬送では、水分によって材料の流動性が大きく変化する場合があります。
乾燥状態では問題なく搬送できていた材料でも、水分を含むことで、
- 付着する
- 塊になる
- ホース内部へ堆積する
- 流れにくくなる
ことがあります。
特に、
- 梅雨時期
- 屋外保管
- 雨天後
- 湿度の高い工程
などで搬送量が変化する場合には、材料の含水状態を確認します。
原因11.粒径・かさ密度が変化している
同じ名称の材料でも、粒径やかさ密度が変化すれば搬送条件も変わります。
例えば、
- 原料の仕入先が変わった
- 粒径分布が変わった
- 微粉量が増えた
- 大きな粒が増えた
- かさ密度が変わった
といったケースです。
設備側を変更していないのに搬送量が変化した場合には、搬送物の状態も比較します。
原因12.材料が吸引口まで流れていない
搬送能力不足に見えても、実際には供給側に問題がある場合があります。
例えばホッパー内部で、
- ブリッジ
- ラットホール
- 壁面付着
- 固結
が発生している状態です。
この場合、ジェクターが吸引できる状態でも、吸引口へ十分な材料が供給されません。
その結果、
「ジェクターの搬送能力が低い」
ように見える場合があります。
固結している場合は崩してから吸引する
材料が固結している場合には、大きな塊をそのまま吸い込ませるのではなく、
固結物を崩す
↓
吸引可能な状態にする
↓
ジェクターで搬送する
方法を検討します。
固結物を崩す作業では、圧縮空気を利用する「エアースコップ」と組み合わせることもできます。
特にホッパー・サイロ・設備下などで固まった材料の回収に活用できます。
原因13.接続部から空気が漏れている
ホース・配管の接続部から空気が漏れることでも搬送状態へ影響します。
確認したいのは、
- ホース
- ジョイント
- フランジ
- パッキン
- ニップル
- ボールジョイント
などです。
特に吸引側で大きな空気漏れがある場合には、材料を十分に吸い込みにくくなる可能性があります。
「突然搬送能力が落ちた」という場合には、接続部の状態も確認します。
原因14.摩耗によってホース・配管へ穴が開いている
砂・砕石・ブラスト材など摩耗性のある材料を扱う場合には、ホース・配管の摩耗にも注意します。
摩耗によって穴が開くと、
搬送空気が漏れる
↓
搬送能力が低下する
↓
さらに摩耗すると材料も漏れる
という状態になる可能性があります。
過去に摩耗した箇所や曲がり部分を重点的に確認します。
ジェクターでは排出部が最も摩耗しやすい
ジェクターで摩耗性の高い材料を搬送する場合、排出部が最も摩耗しやすい部分です。
摩耗対策として、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースを使用する方法があります。
ただし、摩耗速度は、
- 搬送物
- 粒径
- 搬送量
- 使用時間
- 搬送経路
などによって異なります。
定期的に状態を確認します。
原因15.排出先で空気を処理できていない
ジェクターでは、材料と一緒に搬送空気も排出されます。
そのため、排出先の状態も重要です。
例えば、
密閉容器へ材料と空気を送り込む
↓
空気の逃げ場がない
↓
排出側の条件が悪化
する場合があります。
排出先では、搬送した材料だけではなく空気をどのように処理するかも確認します。
微粉体ならジェクロンとの組み合わせも検討する
微粉体では、排出先で粉じんが発生しやすくなります。
この場合には、ジェクターと集粉機「ジェクロン」を組み合わせ、
ジェクターで吸引・搬送
↓
ジェクロンで集粉
↓
粉体を回収
という構成を検討できます。
ジェクロンには、
- 高性能集じんフィルター
- インバーターによる風量調整
- パルスエアーによる自動逆洗
などの機能があります。
搬送能力だけでなく、排出先の粉じん処理まで含めて設備構成を検討します。
まず「いつから搬送量が落ちたか」を確認する
搬送能力不足を調べる場合には、
最初から能力が足りなかったのか
それとも、
以前は足りていたのに途中から低下したのか
を分けて考えることが重要です。
最初から能力が不足している場合
- 機種選定
- コンプレッサー能力
- ホース径
- 搬送距離
- 高低差
- 必要搬送量
など、設備設計条件を確認します。
途中から能力が低下した場合
- 配管への付着
- 部分的な詰まり
- 空気漏れ
- 摩耗
- 材料状態の変化
- コンプレッサー条件の変化
などを確認します。
この切り分けだけでも原因を絞り込みやすくなります。
搬送能力は「kg/h」で把握する
搬送能力を改善するには、まず現在の状態を数値化します。
例えば、
500kgを30分で搬送
なら、
約1,000kg/h
という目安になります。
一方、
500kgを45分
かかるようになれば、
約667kg/h
まで低下しています。
「最近遅くなった気がする」ではなく、
どのくらい搬送量が変化したのか
を記録すると原因調査や設備改善を行いやすくなります。
必要搬送量から逆算して設備を考える
新しく設備を導入する場合には、
「ジェクターで搬送できるか」
だけではなく、
必要な時間内に必要量を搬送できるか
を確認します。
例えば、
1日5tを搬送したい
という条件でも、
8時間かけて5t
なのか、
1時間で5t
なのかでは必要な設備能力が大きく異なります。
そのため、
- 1回の搬送量
- 1日の搬送量
- 希望搬送時間
- 連続運転か間欠運転か
などを整理します。
大きな機種にすれば必ず解決するとは限らない
搬送能力が不足すると、
「もっと大きなジェクターへ変更すればよい」
と考えることがあります。
しかし、ボトルネックが、
- コンプレッサー
- 細い配管
- 長すぎる吸引側
- 多数の曲がり
- 材料供給不足
- 排出先
にある場合には、機種だけを大きくしても十分な改善につながらない可能性があります。
重要なのは、
どこが搬送能力を制限しているか
を確認することです。
生産量を増やした場合は搬送工程も見直す
設備導入時には十分だった搬送能力でも、生産量の増加によって不足する場合があります。
例えば、
生産量:1日5t → 10t
になったのに、
搬送設備は以前のまま
というケースです。
この場合、搬送設備が生産工程全体のボトルネックになる可能性があります。
- 必要搬送量
- 稼働時間
- 搬送頻度
- 作業員数
- 前後工程
まで含めて見直します。
人力運搬が残っているなら工程全体を確認する
搬送能力不足を補うために、
- フレコンへ一度入れる
- 台車で運ぶ
- フォークリフトで移動する
- 人が別設備へ投入する
といった作業が増えている場合には、単純な能力改善だけでなく工程そのものを見直せる可能性があります。
例えば、
設備A
↓
容器へ排出
↓
フォークリフトで運搬
↓
設備Bへ投入
という工程を、
設備A
↓
ジェクター
↓
ホース搬送
↓
設備Bへ直接投入
へ変更できれば、中間運搬を減らせる場合があります。
既存設備へ後付けできる場合もある
設備改善では、既存ラインをすべて入れ替える必要があるとは限りません。
設備の構造によっては、
- フランジ
- ニップル
- ボールジョイント
- 各種継手
などを利用してジェクターを既存設備へ接続できます。
必要な搬送工程だけ空気搬送へ変更することで、既存設備を活かしながら改善できる場合があります。
実際の材料で搬送テストを行う
粉体・粒体は材料によって搬送特性が異なります。
そのため、
- 新しい材料を搬送したい
- 必要搬送量を確保できるか確認したい
- 長距離搬送したい
- 高所へ投入したい
- 適した機種を確認したい
という場合には、実際の材料を使った搬送テストをおすすめします。
搬送テストによって、
- 搬送可否
- 搬送量
- 必要機種
- コンプレッサー条件
- ホース径
- 材料への影響
などを確認しやすくなります。
よくある質問
ジェクターの搬送能力は何で決まりますか?
搬送物の粒径・かさ密度・水分、搬送距離、高低差、ホース径、曲がり、コンプレッサー能力など複数の条件によって変化します。
以前より搬送量が減った場合は故障ですか?
必ずしも本体故障とは限りません。
配管への付着、部分的な詰まり、空気漏れ、材料状態やコンプレッサー条件の変化なども考えられます。
大きなジェクターへ変更すれば搬送量は増えますか?
現場条件によります。
コンプレッサー能力や配管条件などがボトルネックになっている場合には、機種変更だけでは十分な改善につながらない可能性があります。
既設コンプレッサーは使用できますか?
必要な圧力・空気量を確保できる場合には使用できる場合があります。
実際の使用時にジェクターまで十分な圧縮空気が供給されるか確認します。
必要な搬送量を満たせるか事前に確認できますか?
搬送物、距離、高低差、必要搬送量、コンプレッサー条件などから検討できます。
材料によっては実物を使った搬送テストをおすすめしています。
まとめ
粉体搬送設備の能力不足は、設備本体だけが原因とは限りません。
主な確認ポイントは、
- コンプレッサーの圧力・空気量
- エアー配管
- 吸引距離
- 排出側の搬送距離
- 高低差
- 曲がり
- ホース・配管への付着
- 部分的な詰まり
- 材料の水分・粒径・かさ密度
- 空気漏れ
- 摩耗
- 排出先
です。
また、
最初から能力が足りないのか
以前は足りていたのに低下したのか
によって、確認すべきポイントも変わります。
空気搬送機「ジェクター」は、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で駆動部を持ちません。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
搬送物、現在の搬送量、必要搬送量、搬送距離、高低差、ホース・配管経路、コンプレッサー条件などを確認し、現場に適した機種・設備構成をご提案します。
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