この記事でわかること
- 「この条件では無理かも」と自己判断しなくてよい理由
- 湿った粉体を搬送するときの確認ポイント
- 塊や異物を含む材料を搬送するときの考え方
- 100mを超える長距離搬送を検討するときのポイント
- 高所・地下など高低差がある現場での搬送方法
- 狭所や重機が入れない場所から回収する方法
- 工場内エアーを利用できる可能性
- 難しい搬送条件で実物テストが有効な理由
- エコワークへ相談するときに分かる範囲で伝えたい情報
はじめに
粉体・粒体搬送について調べていると、
「うちの材料は少し湿っているから難しいだろう」
「数cmくらいの塊が混ざっている」
「100m以上離れているから無理かもしれない」
「搬送先がかなり高い場所にある」
「機械を置ける場所が狭い」
などの理由から、問い合わせる前に設備導入を諦めてしまうことがあります。
しかし粉体・粒体搬送では、
一つの条件だけを見て搬送可否を判断できない
ケースが少なくありません。
例えば同じ100mの搬送でも、
- 搬送物
- 粒径
- 比重
- 水分
- 必要搬送量
- 高低差
- ホース径
- 圧縮空気供給能力
によって結果は変わります。
そのため、
「条件が厳しい=搬送できない」
と自己判断するのではなく、
実際の搬送物と現場条件を確認して判断する
ことが重要です。
本記事では、粉体・粒体搬送で判断が難しくなりやすい条件と、設備検討時に確認したいポイントについて解説します。
まず結論|難しい条件ほど現場ごとの確認が重要
例えば、
- 湿っている
- 塊がある
- 距離が長い
- 高低差が大きい
- 狭い
- 工場エアーしか使えない
といった条件があっても、
それだけで、
「空気搬送できない」
と決まるわけではありません。
重要なのは、
どの程度その条件があるか
です。
「湿っている」にも程度がある
例えば、
材料表面が少し湿っている
場合と、
水分を多く含み強い粘着性がある
場合では条件が大きく異なります。
同じように、
「塊がある」
場合でも、
数mm程度なのか、
数cm程度なのか、
非常に硬い固結物なのか
によって判断は変わります。
条件を一つずつ分解して考える
設備検討では、
「難しい材料」
とまとめるのではなく、
- 粒径は?
- 最大粒径は?
- 水分は?
- 付着性は?
- 搬送量は?
- 距離は?
- 高低差は?
と分解して確認します。
これによって設備化できる可能性を具体的に検討できます。
難しい条件① 湿った粉体
粉体へ水分が加わると、
- 流れにくくなる
- ホース内部へ付着する
- 塊になりやすい
- 吸引口へ安定供給しにくい
など、乾燥粉体とは異なる挙動をする場合があります。
そのため湿粉では、実際の状態確認が特に重要です。
「湿っている」という情報だけでも相談できる
例えば、
「含水率は分からないけれど、握ると少し固まります」
「有機溶剤でwet状態です」
「雨の後は少し湿っています」
といった情報でも、初期検討の参考になります。
最初から正確な含水率が分からなくても、
現場で実際にどのような状態なのか
を教えていただくことが重要です。
写真や動画でも状態を共有できる
例えば、
- 材料をすくった状態
- 手で握った状態
- フレコンから排出している様子
- 現在の作業風景
を撮影すると、材料状態を伝えやすくなります。
文章で説明しにくい材料ほど、写真・動画が有効です。
湿粉では搬送テストが有効
湿った粉体の場合には、
実際の材料で、
- 安定して吸引できるか
- ホースへ付着しないか
- 必要搬送量が出るか
- 詰まりが発生しないか
を確認する方法があります。
机上だけで判断しにくい材料ほど、実物確認の価値が高くなります。
難しい条件② 塊が混ざっている
粉体・粒体の中に、
- 固結物
- 材料同士が固まった塊
- 大きな粒
- 異物
が混ざることがあります。
この場合、
平均粒径だけでは設備選定できない
ことがあります。
最大粒径を見る
例えば、
平均粒径1mm
でも、
ときどき30mm程度の塊が混ざる
のであれば、その30mmも確認する必要があります。
そのためご相談時には、
「普段は細かいけれど、大きいものはこれくらいあります」
という情報が重要です。
塊の硬さも重要
例えば、
手で簡単に崩れる塊
と、
石のように硬い塊
では条件が異なります。
必要に応じて、
ほぐす
↓
吸引できる状態にする
↓
搬送
という方法を検討する場合もあります。
「塊があるから無理」と判断しない
実際に確認したいのは、
- 塊の大きさ
- 発生頻度
- 硬さ
- 全体に占める割合
です。
これらを確認したうえで、搬送方法を検討します。
難しい条件③ 100mを超える長距離
工場やプラントでは、
「搬送元と搬送先が遠すぎる」
というケースがあります。
例えば、
- 工場の反対側
- 別棟
- 建屋内から屋外
- 船倉から陸上側
などです。
ジェクターでは排出側200m程度の搬送が可能なケースもある
空気搬送機「ジェクター」では、条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送が可能なケース
があります。
そのため、
100m離れている
↓
空気搬送では無理
と単純に判断する必要はありません。
長距離搬送では吸引側と排出側を分けて考える
ジェクターでは、
吸引側を短くし、長距離は排出側で送る
という考え方が重要です。
吸引側については5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいます。
例えば、
材料
↓
吸引5m
↓
ジェクター
↓
排出150m
↓
搬送先
という構成です。
「150m先から吸う」のではない
搬送先が150m離れている場合、
ジェクターを150m先へ置いて吸う
のではなく、
搬送物の近くへジェクターを設置して、排出側を長くする
方法を基本に考えます。
この本体配置によって搬送条件は大きく変わります。
長距離では曲がりも重要
同じ150mでも、
直線150m
と、
何度も曲がる150m
では条件が異なります。
曲がりが増えると、
- 搬送抵抗
- 摩耗
- 材料滞留
などが増える可能性があります。
そのため、
距離+実際のホースルート
を確認します。
難しい条件④ 高い場所へ搬送したい
例えば、
- 高所ホッパー
- サイロ
- 上階設備
- タンク
- プラント上部
へ材料を投入したいケースです。
高所だから、
「クレーンやバケットエレベーターしかない」
と考える場合もあります。
ジェクターでは高さ100m程度の搬送が可能なケースもある
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度の高所搬送が可能なケース
があります。
例えば、
地上の材料
↓
ジェクター
↓
高所ホッパー
という構成です。
高さ100mなら必ず送れるという意味ではない
実際には、
- 搬送物
- 搬送量
- 水平距離
- 高低差
- 曲がり
- ホース径
- 圧縮空気
などを合わせて確認します。
例えば、
高さ30m
+
水平150m
と、
高さ30mのみ
では条件が異なります。
難しい条件⑤ 地下・ピットから回収したい
逆に、
低い場所から上へ回収したい
ケースもあります。
例えば、
- 地下ピット
- 設備下部
- 炉内部
- タンク底部
などです。
人が入る代わりにホースを伸ばせないか検討する
例えばピット内部に材料がある場合、
作業員が降りる
↓
スコップで回収
↓
バケツへ入れる
↓
地上へ上げる
という作業になることがあります。
条件が合えば、
ピット内部
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
地上の回収先
という構成を検討できます。
「本体が入らない=使えない」ではない
空気搬送では、
本体そのものではなく、吸引ホースを回収物まで届かせる
ことができれば対応できる場合があります。
大型設備を搬入できない場所でも、ホースを利用できる可能性があります。
難しい条件⑥ 狭い場所・設備が密集している
既存工場では、
- 配管
- 柱
- 製造設備
- ダクト
- 通路
が密集し、新しい設備を置けるスペースが少ない場合があります。
ホースで既存設備を避ける
ジェクターではホースを利用して搬送するため、
既存設備を避けながら、
搬送元
↓
ジェクター
↓
搬送先
をつなげられる場合があります。
固定式コンベアを新設しにくい現場でも検討できる可能性があります。
本体を置く場所だけ確保できればよいケースもある
例えば、
吸引場所そのものは非常に狭い
一方、
数m離れた場所ならジェクターを置ける
という場合です。
吸引ホースを使って回収場所まで届かせることで対応できる可能性があります。
難しい条件⑦ 電源を取りにくい
設備を使いたい場所に、
- 電源がない
- 電源工事が難しい
- 電気設備を増やしたくない
というケースもあります。
ジェクターは圧縮空気を動力として使用
ジェクター本体は、圧縮空気によって作動します。
本体内部に、
- 電動モーター
- ベルト
- チェーン
- 回転羽根
などの駆動部を持たないシンプルな構造です。
そのため、
ジェクター本体用のモーター電源を作業場所へ用意しにくい現場
でも検討できます。
難しい条件⑧ コンプレッサーを持っていない
「ジェクターは圧縮空気式だから、コンプレッサーがないと無理」
と思われることがあります。
しかし、工場によっては既設の圧縮空気設備を利用できる可能性があります。
工場内エアーも利用可能
ジェクターへ供給する圧縮空気は、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 条件を満たした工場内エアー
から供給できます。
そのため、
現在使用している工場エアーを活用できないか
検討できます。
「0.7MPaある」だけでは判断できない
工場エアーを利用する場合には、
- 圧力
- 空気量
- 配管径
- 取り出し口径
- 他設備との同時使用
などを確認します。
特に重要なのが空気量です。
工場全体のコンプレッサーに余力があっても、実際に使用する枝管が細ければ必要な空気量を確保できない場合があります。
難しい条件⑨ 粉じんが非常に多い
搬送できるか
だけではなく、
搬送後にどう回収するか
も重要です。
排出先で大量に粉じんが発生すれば、現場改善として十分ではありません。
集粉機ジェクロンとの組み合わせ
微粉体では、
ジェクター
↓
集粉機「ジェクロン」
↓
フレコン
という構成を検討できます。
これによって、
- 吸引
- 搬送
- 空気と資材の分離
- 集粉
- フレコン回収
まで一連の工程として行えます。
難しい条件⑩ 摩耗性が高い
例えば、
- ブラスト材
- 焼却灰
- 鋳物砂
- スラグ
などでは、ホースや設備の摩耗も考える必要があります。
搬送できてもすぐ摩耗しては実用的ではない
設備選定では、
「送れるか」だけでなく「継続して使えるか」
を見ることが重要です。
ジェクターでは特に排出側が摩耗しやすい箇所となります。
そのためエコワークでは、搬送物に応じて排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
難しい条件⑪ 必要搬送量が大きい
例えば、
「とにかく吸えればよい」
のではなく、
1時間に1t必要
など、明確な処理能力が必要な現場があります。
この場合も実際の条件確認が重要です。
「搬送できる」と「必要能力が出る」は別
例えば、
材料自体は問題なく搬送できる
としても、
1t搬送するのに5時間かかる
のであれば、
1t/h必要な現場では採用できません。
そのため、
必要な時間内に必要量を処理できるか
を確認します。
難しい条件ほど実物テストの価値が高い
例えば、
- 湿粉
- 塊あり
- 長距離
- 高所
- 摩耗性材料
- 明確な処理能力
などでは、
実際の搬送物で確認する価値が高くなります。
テストでは何を見る?
例えば、
- 安定して吸引できるか
- ホース内で詰まらないか
- 必要搬送量が出るか
- 粉じんはどうか
- ホース操作はしやすいか
- 適した機種はどれか
などです。
公開済み記事でも、湿った材料、塊や異物を含む材料、長距離・高所搬送、必要搬送量が明確な現場などは、特に事前テストをおすすめしたい条件として紹介しています。
「過去にやったことがない材料」でも相談できる
すべての粉体・粒体について、過去実績があるとは限りません。
しかし、
過去実績がない=検討できない
という意味ではありません。
実際の材料を確認し、必要に応じてテストしながら判断できます。
カタログに材料名がなくても諦めない
例えばジェクターの導入事例に、
自社で扱っている材料名が載っていない
としても、
- 粒径
- 比重
- 水分
- 形状
などから検討できる可能性があります。
設備カタログに材料名がないことだけで、自己判断する必要はありません。
現在失敗している搬送方法がある場合も相談できる
例えば、
「以前別の搬送設備を試したが詰まった」
「既設設備では搬送量が足りない」
「ホース摩耗が激しい」
といったケースです。
この場合、
なぜ現在の設備で問題が起きているか
も重要な情報になります。
「何がうまくいかなかったか」を教えてください
例えば、
- どこで詰まったか
- 搬送距離
- 使用ホース
- 搬送量
- 材料状態
などが分かれば、別方式を検討する材料になります。
すべての難条件にジェクターが対応できるわけではない
もちろん、
相談すれば必ず搬送できる
という意味ではありません。
搬送物や条件によっては、
- 空気搬送に適さない
- 別方式の方が合理的
- 前処理が必要
というケースもあります。
だからこそ自己判断せず確認する
例えば、
湿っているから無理
距離が長いから無理
塊があるから無理
と一つの条件だけで判断するのではなく、
現場全体の条件を確認したうえで判断する
ことが重要です。
「できる・できない」を早めに確認することも価値
設備検討では、
何週間も自社で調べたあと、
最終的に条件が合わなかった
となるより、
早い段階で、
「この条件なら検討できそう」
または、
「この方式では難しそう」
と方向性を確認できる方が、その後の検討を進めやすくなります。
詳細な仕様が分からなくても相談できる
例えば最初は、
「湿った粉体です」
「大きい塊で3cmくらいです」
「約120m先まで送りたいです」
「高さは20mくらいあります」
という情報でも構いません。
必要な条件は、その後確認できます。
写真も非常に役立つ
例えば、
材料
湿り具合や粒径。
搬送元
吸引方法や本体設置位置。
搬送先
排出方法。
搬送ルート
距離・曲がり・障害物。
などを確認できます。
スマートフォンで撮影した写真でもよい
設備検討のために、最初から専門的な撮影資料を作る必要はありません。
現在の作業状況が分かる写真があれば、初期検討の材料になります。
問い合わせ時に分かる範囲で教えていただきたいこと
難しい搬送条件をご相談いただく場合には、
- 搬送物
- 粒径
- 最大粒径
- 塊の有無
- 水分
- 比重
- 1回の搬送量
- 必要搬送量
- 水平距離
- 高低差
- ホースを通せそうなルート
- コンプレッサーの有無
- 工場エアーの有無
- 現在の作業方法
- 現在困っていること
- 現場写真
などがあると検討しやすくなります。
すべて揃っていなくても問題ありません。
「この条件でも検討できますか?」だけでもよい
例えば、
「湿った粉体で、数cm程度の塊があります。50mほど搬送したいのですが検討できますか?」
という相談でも構いません。
そこから、
- 材料状態
- 必要搬送量
- エアー条件
- 現場配置
などを確認していきます。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
難しい条件では、
機械を選ぶだけでなく、
どう使うか
が非常に重要です。
例えば、
- ジェクターをどこへ置くか
- 吸引側をどう短くするか
- 排出ホースをどう通すか
- 材料をどう吸引口へ供給するか
- 工場エアーをどこから取るか
などです。
エコワークではジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で使い方や運用方法の指導も行っています。
実際の搬送物や現場条件に合わせて運用方法をご案内します。
「機械選定+使い方」で考える
例えば同じジェクターでも、
設置位置が悪い
ホースルートが複雑
エアー供給が不足
していれば、本来期待していた性能を発揮できない場合があります。
そのため、
機種選定だけでなく現場での使い方まで含めて設備を考える
ことが重要です。
まとめ
粉体・粒体搬送では、
- 湿っている
- 塊がある
- 距離が長い
- 高低差が大きい
- 狭い
- 電源を取りにくい
- 工場エアーしかない
- 粉じんが多い
- 摩耗性が高い
といった条件があると、
「設備化は難しいだろう」
と思うかもしれません。
しかし、
一つの条件だけで搬送可否を判断できない
ケースがあります。
空気搬送機ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できる可能性があります。
吸引側については5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用しているお客様もいます。
圧縮空気についても、
- コンプレッサー
- 条件を満たした工場内エアー
を利用できます。
一方、湿粉や固結物、摩耗性材料などでは実物確認や搬送テストが重要になる場合があります。
「この条件はさすがに無理?」
「過去に別設備でうまく搬送できなかった」
「湿っているので相談していいか迷っている」
「100m以上あるけれど検討できる?」
「塊が混ざっていても大丈夫?」
という段階でも構いません。
難しい条件だからこそ、自己判断する前にエコワークまで一度ご相談ください。
分かる範囲の搬送物・距離・高低差・現場写真などから条件を整理し、ジェクターで検討できるのか、テストが必要なのか、別方式を考えた方がよいのかも含めてご提案いたします。
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