粉体・粒体を扱う工場やプラントでは、ホッパーやサイロに貯蔵された材料を、次の工程へ安定して供給する必要があります。
そこで利用される代表的な設備の一つが「ロータリーフィーダー」です。
ロータリーフィーダーは内部のローターを回転させることで、粉体・粒体を一定量ずつ排出する装置です。
粉体搬送設備では、
- ホッパーから粉体を安定して排出する
- 空気搬送ラインへ材料を供給する
- 供給量の急激な変動を抑える
- 圧送ラインで空気の逆流・漏れを抑える
といった役割を担います。
一方で、内部に回転するローターを持つため、材料によっては噛み込み・摩耗・シール劣化・異物による停止などが発生することがあります。
この記事では、ロータリーフィーダーの仕組みや役割、粉体搬送設備で使用される理由、代表的なトラブル、設備選定時のポイントまで解説します。
ロータリーフィーダーとは?
ロータリーフィーダーとは、ホッパー・サイロなどから粉体や粒体を一定量ずつ排出・供給する装置です。
「ロータリーバルブ」「ロータリーエアロック」などと呼ばれる装置と近い構造・用途で使用されることもあります。
内部には複数枚の羽根を持つローターがあり、ローターが回転することで材料を一定量ずつ下流側へ送ります。
基本的には、
ホッパー・サイロ
↓
ロータリーフィーダー
↓
搬送設備・製造設備
という位置に設置されます。
連続的に材料を排出できるため、粉体・粒体を扱うさまざまな設備で使用されています。
ロータリーフィーダーの仕組み
ロータリーフィーダーの内部には、複数の羽根で区切られたローターがあります。
ホッパーなどから落下した材料がローターの羽根と羽根の間に入り、ローターが回転することで下部へ運ばれます。
イメージとしては、
材料が羽根の間へ入る
↓
ローターが回転する
↓
材料が下側へ移動する
↓
下流設備へ排出される
という流れです。
ローターの回転速度や容積などによって供給量を調整します。
ただし、実際の供給量は材料のかさ密度、流動性、充填状態などによって変化します。
ロータリーフィーダーの主な役割
粉体・粒体を連続的に供給する
ロータリーフィーダーの基本的な役割は、ホッパーやサイロ内の材料を下流設備へ連続して供給することです。
材料を一気に落下させるのではなく、ローターの回転に合わせて排出するため、供給量の急激な変動を抑えやすくなります。
供給量を安定させる
粉体搬送設備では、供給量が多すぎても少なすぎても安定した運転が難しくなる場合があります。
例えば空気搬送では、材料を一度に大量投入すると、
- 配管内の材料濃度が高くなる
- 搬送速度が低下する
- 材料が堆積する
- 配管閉塞が発生する
といった問題につながることがあります。
ロータリーフィーダーなどを利用して供給量を安定させることは、搬送設備を安定運転するうえでも重要です。
→ 粉体搬送で配管が詰まる原因とは?現場でよくあるトラブルと対策を解説
空気搬送ラインの圧力を維持する
圧送式の空気搬送設備などでは、搬送配管内部に圧力がかかっています。
単純にホッパーと配管を開放状態で接続すると、搬送用空気が供給側へ漏れたり逆流したりする可能性があります。
ロータリーフィーダーは内部の隙間をできるだけ小さくすることで、材料を供給しながら空気漏れを抑えるエアロックとして利用されることがあります。
ただし完全に空気を遮断する装置ではなく、クリアランスなどから一定の漏れが発生するため、設備設計ではその影響も考慮します。
ロータリーフィーダーとロータリーバルブの違い
「ロータリーフィーダー」と「ロータリーバルブ」は、現場によってほぼ同じ意味で使われることがあります。
ただし用途に着目すると、
- ロータリーフィーダー:材料の供給・排出量をコントロールする目的
- ロータリーバルブ・ロータリーエアロック:材料を排出しながら圧力差を維持する目的
というように呼び分けられる場合があります。
実際には同じような構造の装置が両方の役割を兼ねるケースもあるため、名称だけではなく「その設備で何を目的として使用するのか」を確認することが重要です。
ロータリーフィーダーが使われる場所
ロータリーフィーダーは、粉体・粒体を扱うさまざまな設備で利用されています。
例えば、
- ホッパーの排出口
- サイロの排出口
- 集塵機・バグフィルター下部
- 空気搬送ラインへの材料供給部
- 混合設備への原料供給部
- 製造ラインへの原料投入部
などです。
対象物も、
- 樹脂ペレット
- 穀物・飼料
- セメント系材料
- 化学原料
- 各種粉体
- 灰・粉じん
など幅広くあります。
ロータリーフィーダーで起こりやすいトラブル
粉体・粒体の噛み込み
ロータリーフィーダーはローターとケーシングの間に材料を通して運転するため、材料や異物が隙間へ噛み込むことがあります。
特に、
- 硬い粒体
- 大きな異物を含む材料
- 固結した粉体
- 形状が不均一な材料
などでは注意が必要です。
噛み込みが大きい場合には、モーターへの負荷増加や設備停止につながる可能性があります。
ローター・ケーシングの摩耗
砂や鉱物粉など摩耗性の高い材料を扱う場合、ローターやケーシングが徐々に摩耗します。
摩耗によって隙間が広がると、
- 空気漏れが増える
- 供給量が安定しにくくなる
- エアロック性能が低下する
といった問題が発生する場合があります。
シール部の劣化
ロータリーフィーダーは回転軸を持つため、軸部にはシールなどが使用されています。
長期間使用するとシールが摩耗・劣化し、粉体漏れなどにつながることがあります。
そのため定期的な点検・交換が必要です。
粉体の付着・固結
付着性の高い粉体や水分を含む粉体では、ローター内部やケーシングへ材料が付着することがあります。
付着が進むとローター内部の有効容積が小さくなり、供給能力が低下する可能性があります。
異物による停止・損傷
材料中に金属片などの異物が混入すると、ローターへ噛み込み、装置を停止させたり損傷させたりする可能性があります。
異物混入の可能性がある工程では、ロータリーフィーダーだけでなく上流側での異物対策も重要です。
ロータリーフィーダーの供給能力が低下する原因
以前と同じ回転速度で運転しているのに供給量が減少した場合、設備だけではなく材料側にも原因がある可能性があります。
例えば、
- ローター内部への粉体付着
- ローター・ケーシングの摩耗
- ホッパーから材料が正常に流れていない
- 粉体の含水率が変化した
- 粉体が固結している
- ブリッジやラットホールが発生している
- 材料のかさ密度が変化した
などです。
つまり、ロータリーフィーダーの供給不良に見えても、実際には上流側のホッパーで材料が供給されていない場合もあります。
→ ブリッジ現象とは?ホッパー内で粉体が流れなくなる原因と対策
ロータリーフィーダーを選定するときのポイント
ロータリーフィーダーは、単純にサイズだけで選ぶ設備ではありません。
少なくとも次のような条件を確認します。
対象物の性状
- 粒径・粒度分布
- かさ密度
- 含水率
- 付着性
- 流動性
- 摩耗性
- 異物の有無
必要な供給量
1時間あたりにどの程度の材料を供給する必要があるのか確認します。
必要量に応じてローターサイズや回転速度などを検討します。
上流・下流の圧力条件
空気搬送設備へ接続する場合は、上流側と下流側の圧力差も重要です。
エアロックとして使用する場合には、空気漏れ量を考慮した設備選定が必要です。
摩耗・メンテナンス性
摩耗性の高い材料を扱う場合には、内部材質や交換部品、メンテナンス方法についても確認します。
設備停止が生産に大きく影響する工程では、清掃・点検・部品交換にかかる時間も重要です。
ロータリーフィーダーと空気搬送の関係
ロータリーフィーダーは、空気搬送設備そのものではありません。
主な役割は材料を一定量ずつ搬送ラインへ供給することです。
例えば圧送式空気搬送では、
ホッパー
↓
ロータリーフィーダー
↓
空気搬送配管
↓
サイロ・製造設備
という構成があります。
ロータリーフィーダーで材料供給量を調整し、その後の配管内を空気によって搬送します。
つまり、「供給装置」と「搬送装置」は別の役割として考える必要があります。
ロータリーフィーダーと空気搬送機「ジェクター」の違い
ロータリーフィーダーと空気搬送機は役割が異なるため、単純にどちらが優れているとは比較できません。
ロータリーフィーダーが得意なこと
- ホッパー・サイロからの連続排出
- 材料供給量の調整
- 圧力差がある設備間での材料供給
- エアロック機能
空気搬送機ジェクターが得意なこと
- 材料をホースから吸引する
- 離れた場所まで搬送する
- 高所へ材料を送る
- 設備内部や床面から材料を回収する
- 搬送した材料を別設備へ投入する
そのため、定量供給やエアロックが必要な工程ではロータリーフィーダーが適しています。
一方、「材料を取り出して離れた場所へ運ぶ」こと自体が目的であれば、空気搬送機を利用できる場合があります。
また、ロータリーフィーダーから排出された材料を、その後ジェクターで搬送するといった組み合わせも検討できます。
→ 空気搬送機とロータリーフィーダーの違いとは?役割・用途を比較
空気搬送機「ジェクター」で粉体・粒体を搬送
エコ・ワークでは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機「ジェクター」を取り扱っています。
ジェクターは本体内部にモーターや回転部などの駆動装置を持たないシンプルなストレート構造です。
ロータリーフィーダーのような定量供給装置ではありませんが、
- 粉体・粒体の吸引
- 長距離搬送
- 高所への投入
- 設備内残留物の回収
- フレコンからの材料取り出し
などに利用できます。
例えば、既存設備から排出された材料を別の場所まで搬送する工程や、人力・台車で行っている中間搬送を省力化したい場合などに活用を検討できます。
ロータリーフィーダー周辺で起きる搬送トラブルも設備全体で確認する
搬送設備でトラブルが発生した場合、ロータリーフィーダーだけを確認しても原因が見つからない場合があります。
例えば、供給量が低下した場合でも、
- 上流ホッパーでブリッジが発生している
- 粉体が固結している
- 下流配管が詰まっている
- 粉体の水分量が増えている
- 搬送空気量が不足している
といった可能性があります。
そのため、
貯留 → 排出 → 供給 → 搬送 → 回収
まで設備ライン全体を確認することが重要です。
よくある質問
ロータリーフィーダーとは何をする装置ですか?
ホッパーやサイロなどに貯蔵された粉体・粒体を、ローターの回転によって一定量ずつ下流設備へ供給する装置です。
ロータリーフィーダーとロータリーバルブは違いますか?
設備やメーカーによって呼び方が異なり、同じような構造を指す場合があります。供給量の調整を重視して「フィーダー」、圧力差を維持するエアロック機能を重視して「バルブ」と呼ぶこともあります。
ロータリーフィーダーは定量供給できますか?
回転速度などによって供給量を調整できます。ただし、実際の供給量はかさ密度、流動性、ローターへの充填率などの影響を受けるため、高精度な定量供給が必要な場合は目的に適した供給設備を選定する必要があります。
ロータリーフィーダーで噛み込みが起こる原因は?
硬い粒子、大きな塊、異物などがローターとケーシングの間へ入ることで発生する場合があります。また材料の固結状態なども確認する必要があります。
ロータリーフィーダーは空気搬送に必要ですか?
すべての空気搬送設備に必要なわけではありません。圧送式で材料供給とエアロックが必要な設備ではよく利用されますが、吸引式など別の構成では使用しない場合もあります。
ジェクターはロータリーフィーダーの代わりになりますか?
用途によります。ジェクターにはロータリーフィーダーのような定量供給・エアロック機能はありません。そのため、それらが必要な工程の単純な代替にはなりません。一方、目的が材料の吸引・搬送・設備間移送であれば、ジェクターを利用できる場合があります。
関連記事
空気搬送機とロータリーフィーダーの違いとは?
ロータリーフィーダーと空気搬送機の役割・用途の違いを詳しく比較しています。
→ 空気搬送機とロータリーフィーダーの違いとは?役割・用途を比較
粉体搬送で配管が詰まる原因とは?
材料供給量が多すぎる場合などに発生する配管詰まりについて解説しています。
→ 粉体搬送で配管が詰まる原因とは?現場でよくあるトラブルと対策を解説
ブリッジ現象とは?
ロータリーフィーダーへの材料供給を妨げる原因にもなるホッパー内のブリッジについて解説しています。
→ ブリッジ現象とは?ホッパー内で粉体が流れなくなる原因と対策
粉体・粒体の流動性とは?
ロータリーフィーダーの供給能力にも関係する粉体・粒体の流動性について解説しています。
→ 粉体・粒体の流動性とは?搬送効率を左右する重要なポイントを解説
粉体のかさ密度とは?
ロータリーフィーダーの供給量を考えるうえでも重要になる、かさ密度について解説しています。
まとめ
ロータリーフィーダーは、ホッパーやサイロから粉体・粒体を連続的に排出し、下流設備へ供給する装置です。
粉体搬送設備では、
- 材料の安定供給
- 供給量の調整
- 搬送設備への過剰投入防止
- 空気搬送ラインのエアロック
など重要な役割を担います。
一方で、ローターなどの回転部を持つため、噛み込み、摩耗、シール劣化、異物による損傷などにも注意が必要です。
また、供給量の低下や停止が発生した際には、ロータリーフィーダーだけでなく、上流のホッパーや材料の流動性、下流の搬送配管まで含めて確認することが重要です。
空気搬送機「ジェクター」はロータリーフィーダーとは役割が異なりますが、粉体・粒体を吸引して離れた場所まで搬送する工程などに利用できます。
現在の粉体搬送ラインで、材料供給・搬送・配管詰まり・人力運搬などに課題がある場合は、対象物や設備条件をお知らせください。現場に合った搬送方法をご提案します。
