この記事でわかること
- 船舶修繕現場でジェクターを検討するときの確認項目
- ブラスト材の種類・粒径・比重を確認する理由
- 塗膜片・サビ・ワイヤ等の混入物を確認する理由
- 船底・ドック・足場など作業場所ごとの考え方
- 搬送距離・高低差・ホースルートの確認方法
- 回収量・必要処理時間から設備を検討する方法
- コンプレッサー・既設エアーの確認ポイント
- 分別・再利用まで行う場合の設備構成
- 実物テストをおすすめするケース
- 問い合わせ時に準備しておくと検討が早い情報
はじめに
船舶の修繕・塗装・ブラスト工事では、
- 使用済みブラスト材
- 塗膜片
- サビ
- スケール
- ステンレスワイヤ等
- 船体付着物の破片
などを回収する作業が発生します。
こうした回収作業について、
「ジェクターで省力化できないか?」
と検討する場合があります。
しかし、
ブラスト材だからジェクターで搬送できる
という情報だけでは、実際の機種や設備構成を決めることはできません。
例えば、
同じブラスト材でも、
- 粒径
- 比重
- 使用後の状態
- 異物の量
- 水分
- 搬送距離
- 高低差
によって条件が変わります。
また、
船底
ドック床面
足場上
では、本体の配置方法やホースルートも異なります。
ジェクターを有効に活用するには、
「何を、どこから、どこまで、どれくらいの量を運ぶのか」
を整理することが重要です。
本記事では、船舶修繕現場でジェクターによるブラスト材回収を検討するときに確認したいポイントをまとめます。
確認ポイント① 何を回収するのか
最初に確認したいのは、
実際の回収物
です。
例えば、
使用済みブラスト材
だけなのか、
ブラスト材
+
塗膜
+
サビ
なのかで条件が変わります。
「ブラスト材」という名称だけでは判断しない
同じブラスト材でも、
- 材質
- 粒径
- 比重
などが異なります。
そのため、
「船舶用ブラスト材です」
だけでなく、具体的な種類を確認します。
使用前と使用後でも状態が違う
新品のブラスト材は比較的均一でも、
使用後は、
ブラスト材
↓
摩耗・破砕
さらに、
塗膜
サビ
粉じん
が混ざります。
実際に吸うのは「使用後の状態」
導入検討では、
新品の材料
よりも、
実際の施工後に床面へ落ちている回収物
を見ることが重要です。
確認ポイント② 粒径・最大サイズ
ブラスト材の粒径を確認します。
さらに重要なのが、
混入物を含めた最大サイズ
です。
例えばブラスト材は数mmでも
混入物として、
10cm程度の塗膜片
が入る場合があります。
最大サイズが閉塞原因になることも
大部分が細かくても、
一部の大きな異物
がホースや接続部へ引っ掛かる可能性があります。
確認ポイント③ ステンレスワイヤ等の線状物
船体の付着物除去等では、ステンレスワイヤなどの線状物が混ざる場合があります。
確認するのは最大長
例えば、
数cm
なのか、
数十cm
なのかで搬送性が変わります。
長いワイヤは絡む可能性
線状物は、
- ホースの曲がり
- 接続部
- ジェクター内部
などで絡む可能性があります。
事前除去も選択肢
例えば、
長いワイヤ
↓
人力で除去
ブラスト材主体
↓
ジェクター
とすることで、安定運用しやすくなる場合があります。
確認ポイント④ 塗膜片の状態
塗膜も、
粉状
小片
大きな薄片
など状態が異なります。
大きなシート状塗膜は注意
薄くても面積が大きい塗膜片は、
ホース内部へ張り付く
曲がりに引っ掛かる
可能性があります。
確認ポイント⑤ サビ・スケール
細かなサビだけでなく、
大きなスケール片
が混ざる場合があります。
大物異物だけ先に取る方法
すべてを人力で選別するのではなく、
明らかに大きなもの
↓
事前除去
残り
↓
ジェクター
という方法もあります。
確認ポイント⑥ フジツボ・牡蠣等の付着物
船体付着物除去後には、
- フジツボ
- 牡蠣殻
- その他付着物
の破片が混ざる場合があります。
大きさ・水分・形状を確認
これらはブラスト材と違い、
- 不定形
- 大きい
- 湿っている
- 硬い
場合があります。
大きな付着物は別回収になる場合も
例えば、
大きな殻
↓
人力
細かな破片
+
ブラスト材
↓
ジェクター
という使い分けです。
確認ポイント⑦ 水分
船舶修繕現場では、回収物が湿っている場合があります。
水分が増えると搬送性が変わる
例えば、
乾燥したブラスト材
↓
流動性が高い
一方、
湿ったブラスト材
↓
付着
↓
固まり
が発生する可能性があります。
「濡れている」の程度も確認
例えば、
軽く湿っている
のか、
水と混ざっている
のかでも条件が異なります。
確認ポイント⑧ どこから回収するのか
船舶修繕では、回収場所によって設備配置が変わります。
ケース① ドック床面
比較的広い床面へブラスト材が堆積している場合です。
吸引ホースを操作しながら回収できます。
ケース② 船底周辺
船体と床面の間など、
大型設備を動かしにくい場所
の場合です。
ホースでアクセス
ジェクター本体を比較的動かしやすい位置へ置き、
吸引ホースだけを船底側へ入れる方法を検討できます。
ケース③ 足場上
足場上へブラスト材が残る場合です。
高所から搬送
足場
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
地上
とすることで、容器を何度も地上へ下ろす作業を減らせる可能性があります。
確認ポイント⑨ ジェクターをどこに置くか
ジェクターでは、
吸引側をできるだけ短くする
ことが基本です。
吸引側は5m程度を推奨
ジェクターでは、吸引側5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用されるケースもあります。
資材の近くへ本体を配置
例えば、
ブラスト材
↓
吸引3m
↓
ジェクター
とします。
長い距離は排出側で送る
その後、
ジェクター
↓
排出ホース
↓
回収先
へ搬送します。
確認ポイント⑩ 水平搬送距離
例えば、
10m
50m
100m
などです。
条件によって排出側200m程度
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度
の長距離搬送が可能なケースがあります。
ただし一律ではない
実際の搬送能力は、
- ブラスト材
- 混入物
- 搬送量
- ホース径
- 曲がり
- 高低差
- 圧縮空気
などによって変わります。
確認ポイント⑪ 高低差
例えば、
ドック底
↓
地上
足場
↓
地上
などです。
条件によって高さ100m程度
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度
の搬送が可能なケースがあります。
水平+垂直で考える
例えば、
水平80m
+
高さ20m
など、実際の搬送ルート全体を確認します。
確認ポイント⑫ ホースルート
船舶修繕現場では、
- 足場
- 船体
- 仮設設備
- 他の配管
- 作業通路
などがあります。
直線距離だけでは足りない
例えば、
直線50m
でも、
障害物を避ける
↓
実際のホース長70m
になる場合があります。
曲がりの数も重要
特に、
ワイヤ
塗膜片
などが混ざる場合、曲がりが多いほど閉塞リスクが高くなる可能性があります。
確認ポイント⑬ 1回の回収量
例えば、
500kg
5t
10t
などです。
回収量で必要機種が変わる
単に、
吸えるか
だけではなく、
必要な時間内に処理できるか
を確認します。
確認ポイント⑭ 必要処理時間
例えば、
5t
↓
2時間以内
という条件です。
「吸える」と「間に合う」は別
ジェクターで搬送可能でも、
必要な処理速度が出ない
なら、現場設備として適さない場合があります。
1時間あたりの処理量を確認
例えば、
kg/h
t/h
などで考えます。
確認ポイント⑮ 現在の作業人数
設備導入効果を見るために、
今何人で回収しているか
を確認します。
例えば5人
ブラスト材回収
↓
5人
↓
3時間
なら、
15人時
です。
人時で比較すると分かりやすい
導入後、
2人
↓
2時間
になれば、
4人時
です。
※あくまで計算例です。
確認ポイント⑯ 現在の回収方法
例えば、
- ほうき
- スコップ
- フレコン
- バキューム車
- フォークリフト
などです。
中間工程を確認
例えば、
床面
↓
スコップ
↓
フレコン
↓
フォークリフト
↓
分別設備
です。
どこまで直接つなげられるか
改善案として、
床面
↓
ジェクター
↓
分別設備
を検討します。
確認ポイント⑰ 回収後どうするのか
回収後の目的は重要です。
ケース① 廃棄
ジェクター
↓
廃棄用回収容器
とします。
ケース② 保管
ジェクター
↓
フレコン・サイロ
などです。
ケース③ 分別
ジェクター
↓
分別設備
とします。
ケース④ 再利用
回収
↓
集粉
↓
分別
↓
再利用
です。
最終目的によって設備構成が変わる
例えば再利用する場合、
単純な回収容器へ排出するだけではなく、
分別設備まで直接つなぐ
方が効率的な場合があります。
確認ポイント⑱ 粉じん処理
使用済みブラスト材には、細かな粉じんが含まれる場合があります。
ジェクロンとの組み合わせ
回収・分別工程では、
集粉機「ジェクロン」
を組み合わせる方法があります。
粉じんを回収しながら処理
例えば、
ジェクター
↓
搬送
↓
分別
↓
ジェクロン
など、対象物に応じた構成を検討します。
確認ポイント⑲ 分別設備
ブラスト材を再利用する場合には、
- 塗膜
- サビ
- 粉じん
- その他異物
を分ける必要があります。
ジェクトルなどとの組み合わせ
例えば、
ジェクター
↓
回収・搬送
ジェクトル等
↓
分別
ジェクロン
↓
集粉
という構成を検討します。
回収・搬送だけで終わらせない
再利用目的であれば、
最終的に再使用できる状態になるか
まで確認する必要があります。
確認ポイント⑳ 圧縮空気
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
使用できる供給源
例えば、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 条件を満たした既設エアー
です。
ブラスト作業用コンプレッサーとの兼用
船舶ブラスト現場では、大型コンプレッサーを使用している場合があります。
現場条件によっては、
ブラスト作業終了
↓
ジェクターへ切り替え
という運用を検討できます。
同時使用する場合は能力確認
ブラスト設備とジェクターを同時に使用する場合には、
両方に必要な空気量
を確保する必要があります。
圧力だけでは判断しない
確認するのは、
- 圧力
- 空気量
- 配管径
- ホース径
- 他設備の使用状況
などです。
導入前に実物テストをおすすめする理由
船舶ブラスト後の回収物は、
単一材料ではなく、
混合物になることが多い
ためです。
カタログだけでは判断しにくい
例えば、
ブラスト材
↓
搬送可能
でも、
ブラスト材
+
20cmのワイヤ
では結果が変わる可能性があります。
実際の回収物を使う
可能であれば、
施工後に実際に床面から回収した材料
をサンプルとして使用します。
テストで確認すること
例えば、
- 吸引できるか
- ホースで安定搬送できるか
- ワイヤが絡まないか
- 塗膜片が閉塞しないか
- 必要処理量が出るか
- 長距離・高低差搬送ができるか
- 分別設備へ供給できるか
などです。
実際の搬送距離に近づける
可能であれば、
短いデモ
だけでなく、
実際の現場に近い、
ホース長
高低差
曲がり
で確認します。
処理量も測定
例えば、
100kg
↓
何分
という形で確認します。
現在の人力作業と比較
例えば、
人力
↓
100kg 20分
ジェクター
↓
100kg ○分
と比較できます。
問い合わせ前に準備するとよい情報
初期検討では、次の情報があるとスムーズです。
①回収物
使用済みブラスト材の種類。
②写真
実際の混合状態。
③最大異物
ワイヤ・塗膜片・スケールなど。
④回収量
1回あたり、1時間あたりなど。
⑤現在の作業人数
何人で行っているか。
⑥現在の作業時間
何時間かかるか。
⑦水平距離
回収地点から排出先まで。
⑧高低差
ドック・足場等。
⑨回収後の処理
廃棄・分別・再利用など。
⑩圧縮空気
コンプレッサー能力や工場内・現場エアーの有無。
図面がなくても構わない
例えば、
手書きで、
船体
↓
ドック
↓
50m
↓
分別設備
と描くだけでも初期検討できます。
現場写真も有効
例えば、
- ブラスト材が堆積している場所
- ジェクターを置けそうな場所
- 回収設備
- ホースを通したい経路
などです。
作業動画も参考になる
現在、
ほうき
↓
スコップ
↓
フレコン
としている様子を撮影すると、改善可能な工程を確認しやすくなります。
ジェクターが最適とは限らない
ここも重要です。
例えば、
回収量
↓
非常に少量
なら、人力の方が合理的な場合があります。
バキューム車が向く場合もある
例えば、
大量回収
車両アクセス良好
そのまま搬出
という条件なら、バキューム車が適する場合があります。
ジェクターが活きやすい条件
例えば、
- 長距離搬送
- 高低差
- 車両アクセスが悪い
- 狭所
- 足場
- 中間フレコンを減らしたい
- 分別設備へ直接送りたい
といった現場です。
人力+ジェクターという方法もある
例えば、
人
↓
長いワイヤ・大きな異物を除去
ジェクター
↓
大量のブラスト材を回収・搬送
という役割分担です。
現場全体で最も合理的な方法を選ぶ
目的は、
ジェクターを導入することではなく、現在の回収・搬送工程を改善すること
です。
回収費だけでなく工程全体を見る
例えば、
ブラスト
↓
清掃
↓
塗装
という工程なら、
清掃時間の短縮
↓
塗装開始を前倒し
できる可能性があります。
人件費以外の効果も確認
例えば、
- 工期短縮
- 中間搬送削減
- フォークリフト使用削減
- 外注費削減
- ブラスト材再利用
などです。
エコ・ワークでは現場情報から初期検討できます
例えば、
「船底のブラスト材を回収したい」
「現在5人で半日かかっている」
「分別設備まで80mある」
「ワイヤが少し混ざる」
といった情報からでも構いません。
必要に応じて実物テスト
写真・動画だけでは判断しにくい場合には、
実際の使用済みブラスト材
によるテストを行います。
機種だけでなく運用方法をご提案
確認するのは、
ジェクターのサイズ
だけではありません。
例えば、
- 本体配置
- 吸引側
- 排出ホース
- 大物異物の事前除去
- 集粉
- 分別
- 回収先
まで含めて考えます。
全国で運用方法もご案内
船舶修繕では、現場ごとに船体・ドック・足場・設備配置が異なります。
エコ・ワークでは機器の販売だけでなく、全国の現場でジェクター・ジェクロン・分別設備等の使い方や運用方法の指導も行っています。
まとめ
船舶修繕現場でジェクターによるブラスト材回収を検討するときには、
単純に、
「ブラスト材を吸えるか?」
だけを見るのではなく、
回収から最終処理までの条件を整理すること
が重要です。
特に確認したいのは、
- ブラスト材の種類
- 粒径・比重
- 使用後の状態
- 塗膜・サビ・スケール
- ワイヤ等の最大長
- 水分
- 回収量
- 必要処理時間
- 現在の作業人数
- 水平距離
- 高低差
- ホースルート
- 圧縮空気
- 回収後の処理方法
です。
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送、高さ100m程度の搬送
が可能なケースがあります。
そのため、
船底
↓
地上
足場
↓
地上
ドック
↓
離れた回収・分別設備
などの搬送で活用できます。
また回収ブラスト材を再利用する場合には、
ジェクター
↓
回収・搬送
ジェクロン
↓
集粉
ジェクトル等
↓
分別
という設備構成も検討できます。
一方、
長いワイヤ
大きな塗膜片
大きな付着物
などが混ざる場合には、人力で大物だけ事前除去するなど、現場に合わせた役割分担が重要です。
「自社の船舶修繕現場でジェクターが使えるか知りたい」
「現在のブラスト材回収を省力化できるか相談したい」
「人力・バキューム車・ジェクターのどれが向いているか比較したい」
「回収から分別・再利用までまとめて検討したい」
という場合には、お気軽にエコ・ワークまでお問い合わせください。
回収物の写真・作業人数・回収量・搬送距離などの情報をもとに初期検討を行い、必要に応じて実物テストも実施しながら、現場条件に適した回収・搬送方法をご提案いたします。
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