この記事でわかること
- バキューム車を回収場所まで近づけられない現場の課題
- 水・砂・土砂を回収する主な方法
- 液体回収でバキューム車が適しているケース
- ジェクターを中継搬送設備として使う方法
- ジェクターで液体を回収できる条件
- ヘドロ状の資材で注意が必要な理由
- 液体と一緒に少量のエアーを吸わせる方法
- 吸引側と排出側のホース配置
- 地下・建屋内から離れた回収車両まで搬送する方法
- 現場に適した回収方法を判断するポイント
はじめに
工場やプラント、地下設備などで、
「水と土砂をバキューム車で回収したい」
と思っても、
バキューム車を回収場所まで近づけられない
ことがあります。
例えば、
- 工場建屋内
- 地下ピット
- 狭い構内
- 設備が密集している場所
- 車両進入禁止区域
- 高低差のある設備
- 建物の奥にある水槽
などです。
バキューム車は液体や汚泥などを大量に吸引し、そのまま車両タンクへ回収・搬出できる非常に便利な設備です。
しかし車両そのものが大型であるため、
「回収能力は十分だが、対象物まで近づけない」
という問題が発生することがあります。
そこで検討できるのが、
回収物の近くに空気搬送機「ジェクター」を配置し、離れた場所に停車したバキューム車までホースで搬送する方法
です。
本記事では、バキューム車が入れない場所から水・土砂などを回収する方法と、ジェクターを中継搬送設備として使用する考え方について解説します。
バキューム車は液体・汚泥回収に強い
バキューム車は、
大型タンク
+
強力な吸引設備
を搭載した車両です。
例えば、
- 排水槽
- 汚泥
- スラリー
- 廃液
- 泥水
などの回収に利用されています。
回収物を車両内部へ直接取り込み、そのまま処理場所まで運搬できることが大きなメリットです。
車両を横付けできるなら非常に効率がよい
例えば、
排水槽
↓
すぐ横にバキューム車
↓
吸引
↓
車両タンクへ回収
とできる現場なら、バキューム車は非常に合理的な選択肢です。
特に、
大量の液体や高含水率の回収物を短時間で処理したい
場合には有効です。
問題は「車両が近づけない現場」
一方、実際の設備では必ずしも回収場所へ車両を横付けできるとは限りません。
例えば、
道路
↓
工場入口
↓
建屋内
↓
設備の奥
↓
地下ピット
という現場です。
バキューム車を置けるのは屋外。
しかし回収対象は数十m先の地下にある。
こうしたケースがあります。
工場建屋内では大型車両を入れにくい
工場内部には、
- 生産設備
- 配管
- 柱
- フォークリフト通路
- 安全柵
などがあります。
そのため、そもそも大型車両が通れないことがあります。
また、車両を建屋内部へ入れること自体が運用上難しい現場もあります。
地下設備ではさらに難しくなる
例えば、
地上
↓
階段
↓
地下設備
↓
排水ピット
という場所です。
当然、バキューム車そのものを地下へ持ち込むことはできません。
そのため、
地上に停車した車両と地下の回収対象をどうつなぐか
を考える必要があります。
ホースを長くすれば解決するとは限らない
バキューム車から長い吸引ホースを伸ばす方法もあります。
しかし距離や高低差、回収物などによっては、吸引条件が厳しくなることがあります。
そこで、
回収物の近くに別の搬送設備を配置する
という考え方があります。
ジェクターを中継搬送設備として使う
空気搬送機「ジェクター」は、圧縮空気を利用して資材を吸引・搬送する設備です。
基本構成は、
回収物
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
回収先
です。
この「排出側で搬送できる」特徴を利用します。
ジェクターからバキューム車まで送る
例えば、
地下ピット
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース50m
↓
屋外のバキューム車
という構成です。
つまり、
ジェクターを回収場所とバキューム車の間に入れる
という方法です。
役割を分担する
この構成では、
ジェクター
回収物の近くで吸引し、離れた場所まで搬送。
バキューム車
搬送されてきた回収物を受け入れ、車両タンクへ回収・搬出。
という役割分担になります。
「どちらが優れているか」ではなく組み合わせる
ジェクターとバキューム車は、必ず競合する設備ではありません。
現場によっては、
両方を組み合わせることで、それぞれの強みを活かせる
場合があります。
例えば、
バキューム車
→ 大量回収・そのまま搬出できる
ジェクター
→ 狭所へのアクセス・長距離搬送がしやすい
という特徴を組み合わせます。
実際の揚水ポンプ施設でも採用
エコ・ワークでは、鹿児島県の揚水ポンプ施設でジェクターを使用した事例があります。
この現場では、
揚水時に流入する土砂等の回収
にJT75を使用しました。
排出ホースを真空吸引車へ直接接続
設備構成は、
回収物
↓
吸引ホース
↓
JT75
↓
排出ホース
↓
真空吸引車
です。
ジェクターの排出ホースを真空吸引車へ直接接続して回収しました。
ジェクターから吸引車まで約55m
この現場では、
JT75から真空吸引車まで約55m
の距離がありました。
吸引側は5m強です。
使用したコンプレッサーは190PSクラスでした。
つまり、
回収対象の近く
↓
JT75
↓
約55m搬送
↓
吸引車
という配置です。
ジェクターは液体も回収できる?
ジェクターは粉体・粒体を扱う空気搬送機ですが、条件によっては液体回収にも使用できます。
ポイントになるのが、
液体が十分にある状態かどうか
です。
池のようにジャブジャブある状態なら使用可能
例えば、
ピット内部に水が十分にあり、
その底に砂や土砂が沈んでいる
という状態です。
このように液体がジャブジャブ存在し、流動性がある場合には、
水
+
砂・土砂
を一緒に吸引できます。
液体と資材が分かれているイメージ
例えば、
水
水
水
水
────
砂・土砂
のような状態です。
底の砂を水と一緒に吸い込むイメージになります。
注意したいのはヘドロ状
同じ「水+土砂」でも、
水分と土砂が完全に混ざり合って、
ドロドロ
になっている場合には注意が必要です。
ヘドロ状では閉塞する可能性がある
例えば、
水分
+
大量の細かな土砂
によって粘性が高くなると、
- ホース内壁へ付着する
- 曲がりへ堆積する
- 材料がまとまる
- 流れにくくなる
などによって、
ホース内部で閉塞が発生する可能性があります。
「液体が吸える」=「汚泥なら何でも吸える」ではない
ここは特に重要です。
液体が十分にある
流動性が高い。
→ ジェクターで回収を検討しやすい。
ヘドロ・スラリー状
粘性が高い。
→ 閉塞などの事前確認が必要。
という違いがあります。
汚泥・高粘度材料ではバキューム車が適する場合もある
粘性の高い汚泥や大量の泥水などでは、バキューム車の方が適している場合があります。
つまり、
バキューム車が入れないから必ずジェクターへ置き換えられる
わけではありません。
搬送物の状態を確認したうえで判断します。
液体をジェクターで効率よく吸う方法
液体回収では、吸引方法にもポイントがあります。
単純に、
吸引ホース
↓
水中へ完全に浸ける
だけではなく、
液体と一緒に少量のエアーを吸わせる
方法があります。
吸引ホースにエアー用ホースを沿わせる
使用するのは、
- 吸引用ホース
- 細いエアー用ホース
です。
2本を沿わせて使用します。
エアー用ホースを少し長くする
ポイントは、
エアー用ホースを吸引ホースより少し長くすること
です。
イメージとして、
吸引ホース
==========
エアー用ホース
===========
と配置します。
先端から少量のエアーを出す
エアー用ホース先端から少量の空気を出します。
その状態で、
液体
+
資材
+
空気
を吸引ホースへ取り込みます。
水と一緒に空気を吸わせる
イメージは、
エアー用ホース
↓
少量の空気
水・砂・土砂
+
空気
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
です。
吸引ホースを完全に液体だけで満たすのではなく、空気を適度に取り込ませながら吸引します。
なぜ空気を入れる?
ジェクターは空気搬送を利用した設備です。
そのため液体回収でも、
少量の空気を一緒に取り込むことで吸引・搬送効率が良くなる場合があります。
現場条件に合わせてエアー量などを調整します。
ここに比較イラストを入れると分かりやすい
この記事では、
「吸引ホースだけを液体へ入れた場合」
と、
「補助エアーを一緒に吸わせる場合」
の比較イラストを入れると、運用方法を直感的に伝えやすくなります。
なぜジェクターを回収物の近くへ置く?
ジェクターでは、
吸引側を短くすること
が基本です。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で利用されるケースもあります。
長い距離は排出側で搬送する
例えばバキューム車まで100mある場合、
100m吸引する
のではなく、
回収物
↓
吸引5m
↓
ジェクター
↓
排出100m
↓
バキューム車
という配置を検討します。
ジェクターは排出側で約200m搬送できるケースもある
搬送条件によっては、
排出側200m程度
の長距離搬送が可能です。
そのため、
建屋内部
↓
ジェクター
↓
屋外
だけでなく、
離れた車両停車場所まで送れる可能性があります。
高低差がある現場にも対応できる可能性
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度
の搬送が可能なケースもあります。
例えば、
地下
↓
地上
という搬送です。
地下ピットなどでは、この高低差への対応が重要になります。
ただし距離・高さだけでは判断できない
例えば、
水平100m
でも、
水だけ
なのか、
水+砂
なのか、
ヘドロ
なのかで搬送状態は異なります。
また、
- ホース径
- 曲がり
- 高低差
- 圧縮空気
- 固形物量
などでも条件が変わります。
活用例① 地下排水ピット
例えば、
地下5m
↓
水+砂
↓
ジェクター
↓
地上
↓
50m先
↓
バキューム車
という設備構成です。
バキューム車は屋外へ停車したまま、地下側でジェクターによる吸引作業を行います。
活用例② 工場建屋の奥
例えば、
バキューム車
↓
建屋入口
回収場所
↓
建屋奥50m
という現場です。
建屋内部へ大型車を入れず、
回収場所
↓
ジェクター
↓
ホース
↓
屋外のバキューム車
とできます。
活用例③ 車両進入できない設備周辺
例えば、
- 配管が密集している
- 通路が狭い
- 重量制限がある
- 車両進入禁止
といった場所です。
ジェクター本体とホースを使用することで、大型車両を直接回収対象へ近づけなくても作業できる可能性があります。
活用例④ 水槽・タンク周辺
設備内部へ水と沈殿物がある場合にも、
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
離れた回収設備
という方法を検討できます。
大型回収設備そのものをタンク周辺へ置く必要がありません。
バキューム車を呼ばずジェクターだけで回収する方法もある?
排出先によっては可能です。
例えば、
水・土砂
↓
ジェクター
↓
別の回収槽
などです。
つまり、必ずバキューム車とセットでなければならないわけではありません。
最終処理方法から設備を考える
例えば、
そのまま搬出したい
ジェクター
+
バキューム車
工場内の処理槽へ送りたい
ジェクター
↓
処理槽
一時タンクへ回収したい
ジェクター
↓
回収タンク
など、最終処理から設備構成を考えます。
「吸引できるか」だけでなく「どこへ送るか」を決める
設備検討では、
水・土砂を吸える?
だけでは不十分です。
確認したいのは、
吸ったあと、どこへ、何m、どのくらいの量を送るのか
です。
これによって必要なジェクターやコンプレッサーも変わります。
圧縮空気はコンプレッサーだけではない
ジェクターは圧縮空気によって作動します。
圧縮空気は、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置コンプレッサー
- 条件を満たした工場内エアー
を利用できます。
工場エアーを利用できる場合もある
例えば工場内部にジェクターを設置し、既設のエアー設備を利用する方法です。
ただし確認したいのは、
- 圧力
- 空気量
- 配管径
- 取り出し口
- 他設備との同時使用
などです。
特に空気量を確認する
ジェクターでは必要な空気量を確保することが重要です。
工場全体ではコンプレッサー容量が十分でも、
使用場所まで伸びた枝管が細い
場合には能力を確保できない可能性があります。
ジェクター+バキューム車を検討するときの確認項目
例えば、
- 回収物
- 水量
- 土砂量
- 粘性
- 最大粒径
- 必要回収量
- 吸引距離
- ジェクターから車両までの距離
- 高低差
- ホースルート
- コンプレッサー
- 工場エアー
- バキューム車の停車位置
などを確認します。
水・土砂の状態を写真や動画で確認する
特に重要なのが、
回収物の状態
です。
「泥水です」
という説明だけでは、
ほぼ水なのか、
ヘドロなのか
判断できません。
スコップですくった状態も参考になる
例えば、
- サラサラ流れる
- 水と砂がすぐ分離する
- ドロッとしている
- 塊になる
などが分かると、初期判断の参考になります。
スマートフォンで撮影した写真や動画でも構いません。
ヘドロ状なら搬送テストを検討
粘性が高い材料では、実際にジェクターで搬送できるか事前確認することが重要です。
テストでは、
- 安定して吸引できるか
- 閉塞しないか
- 補助エアーの効果
- 必要処理量
- 排出状態
などを確認します。
バキューム車を呼ぶ前に相談してもよい
例えば、
「いつもバキューム車を呼んでいるが、車両が遠い」
「ホースを長く伸ばして作業している」
「建屋内なので作業しにくい」
といった場合には、
ジェクターを中継設備として入れることで改善できないか
検討できます。
バキューム車を完全に置き換える必要はない
省力化というと、
「既存設備をやめて新しい設備へ全部変更する」
と考えがちです。
しかし、
今使っているバキューム車を活かしたまま、届かない区間だけジェクターで補う
という方法もあります。
既存設備を活かすという考え方
例えば、
今まで:
バキューム車
↓
長い吸引ホース
↓
地下ピット
から、
改善案:
地下ピット
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
バキューム車
へ変更できないか検討します。
既存の処理・運搬方法はそのまま活かせます。
人力による中継作業も減らせる可能性
車両が遠いことで、
ピット
↓
容器へ回収
↓
台車
↓
車両近くまで運搬
↓
吸引
としている場合もあります。
ジェクターによって直接車両まで送ることができれば、
容器への積み替えや台車運搬を減らせる可能性
があります。
「車が入れないから人力」は見直せる可能性がある
大型設備が入らない場所では、
人しか入れない
↓
人力で回収するしかない
と考えてしまいがちです。
しかし、
人が入れるならホースも入れられる可能性があります。
その場合、材料そのものを人が持ち出すのではなく、ホースで搬送する方法を検討できます。
エコ・ワークでは現場に合わせて運用方法をご提案
ジェクターを中継搬送に使う場合には、
単純な機種選定だけでなく、
- どこへ本体を置くか
- 吸引側を何mにするか
- 排出ホースをどう通すか
- バキューム車へどう接続するか
- 液体回収時に補助エアーをどう入れるか
といった運用方法が重要です。
エコ・ワークでは機器の販売だけでなく、全国の現場でジェクターの使い方や運用方法の指導も行っています。
まとめ
バキューム車は、
- 液体
- 汚泥
- 泥水
- 高含水率の回収物
などを大量に回収し、そのまま搬出できる非常に便利な設備です。
一方、
- 工場建屋内
- 地下設備
- 狭い構内
- 車両進入禁止区域
- 設備が密集した場所
などでは、
バキューム車を回収対象の近くまで配置できない
場合があります。
こうした現場では、
回収物
↓
ジェクター
↓
長い排出ホース
↓
離れたバキューム車
という設備構成を検討できます。
ジェクターでは、池のように液体がジャブジャブある状態であれば、水と資材を一緒に吸引できます。
また液体回収では、
吸引ホースに少し長いエアー用ホースを沿わせ、少量の空気を液体・資材と一緒に吸わせる
ことで効率よく搬送できる場合があります。
一方、水分と資材が混ざり合ったヘドロ状では閉塞する可能性があるため、事前確認が重要です。
「バキューム車を回収場所まで入れられない」
「建屋の奥に水と土砂が溜まっている」
「地下ピットから地上の吸引車まで送りたい」
「長い吸引ホースでの作業を改善したい」
「水と砂を一緒に回収したい」
「今使っているバキューム車を活かしながら省力化したい」
という場合には、お気軽にエコ・ワークまでお問い合わせください。
回収物の状態・車両の停車位置・搬送距離・高低差・エアー条件などを確認し、ジェクター単体またはバキューム車との組み合わせを含めて、現場に合った回収方法をご提案いたします。
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