この記事でわかること
- 水と土砂が混在する現場で使われる主な回収方法
- 排水ポンプが向いている作業
- バキューム車が向いている作業
- 空気搬送機ジェクターが向いている作業
- 水を抜いた後に土砂だけ残る理由
- 液体が十分にある状態ならジェクターを使用できる理由
- ヘドロ状の資材で閉塞に注意したい理由
- 液体回収時に少量のエアーを一緒に吸わせる方法
- 車両が近づけない場所から回収する方法
- 現場に合った回収方法を選ぶポイント
はじめに
工場やプラント、排水設備などでは、
水
+
砂
+
土砂
+
沈殿物
が一緒に溜まることがあります。
例えば、
- 排水ピット
- ポンプ施設
- 水槽
- 地下設備
- 集水設備
- 雨水が流入する設備
などです。
こうした現場では、
「排水ポンプを使えばいい?」
「バキューム車を呼んだ方がいい?」
「ジェクターでも水と土砂を一緒に吸える?」
と回収方法に迷うことがあります。
重要なのは、
水があるからすべて同じ方法で回収できるわけではない
ということです。
例えば、
大量の水の中に砂が沈んでいる状態
と、
少量の水分と大量の土砂が混ざったヘドロ状
では、適した回収方法が異なる可能性があります。
空気搬送機「ジェクター」も、液体がジャブジャブ存在する状態なら使用できる場合があります。
一方で、水分と資材が混ざり合って粘性の高いヘドロ状になっている場合には、ホース内で閉塞する可能性があります。
そのため、
液体の量・固形物の状態・搬送距離・作業場所・排出先
まで確認して回収方法を選ぶことが重要です。
本記事では、排水ポンプ・バキューム車・ジェクターの特徴と、水・土砂を回収するときの使い分けについて解説します。
水と土砂が一緒に溜まる現場とは?
例えば排水ピットには、周辺から水だけでなくさまざまな資材が流入します。
水
+
砂
+
土砂
+
粉体
+
小さな異物
などです。
水は流れても、比重の大きな資材は徐々に底へ沈みます。
その結果、
水面
↓
水
↓
水
↓
底に砂・土砂
という状態になります。
時間が経つほど沈殿物が増える
1回あたりの流入量はわずかでも、
流入
↓
沈殿
↓
流入
↓
沈殿
を長期間繰り返すと、底には大量の資材が溜まることがあります。
そのため、
水を排出する作業
だけでなく、
底へ堆積した固形物を回収する作業
が必要になります。
水と土砂の回収方法は大きく3つ考えられる
現場条件によりますが、代表的な方法として、
① 排水ポンプ
水を中心に排出する。
② バキューム車
液体や汚泥などを吸引して車両タンクへ回収する。
③ ジェクター
圧縮空気によって吸引し、ホースを通して離れた回収場所まで搬送する。
などがあります。
それぞれ得意な作業が異なります。
方法① 排水ポンプ
水の排出で最もイメージしやすいのが排水ポンプです。
例えば、
ピット
↓
排水ポンプ
↓
排水
という方法です。
水量が多く、
まず大量の液体を移動させたい
場合には非常に合理的です。
排水ポンプが向いているケース
例えば、
- 水が大量にある
- 主に液体を排出したい
- 固形物が少ない
- 排水先を確保できる
といったケースです。
大量の水を処理するだけなら、最初からジェクターですべて吸引するより排水ポンプの方が合理的な場合もあります。
排水ポンプで問題になる「最後の土砂」
一方、ピット清掃でよく問題になるのが、
水
↓
ポンプで排出
↓
水位が下がる
↓
底に土砂だけ残る
という状態です。
つまり、
水の処理は終わったが、清掃作業は終わっていない
ということです。
最後だけ人力作業になることがある
ポンプでは処理しにくい土砂が残ると、
作業員がピットへ入り、
スコップ
↓
バケツ
↓
地上へ搬出
という作業になることがあります。
特に水分を含んだ土砂は重く、何度も運ぶと作業負担も大きくなります。
「水を全部抜いてから清掃」が最適とは限らない
ここで一度考えたいのが、
土砂が水中にあるうちに回収できないか
という方法です。
例えば、
水が十分にある
+
底に砂が沈んでいる
のであれば、
水と砂を一緒に吸引する
方法を検討できます。
方法② バキューム車
バキューム車は、強力な吸引力によって回収物を車両のタンクへ回収します。
液体や高含水率の材料を大量に回収するときには非常に有効な方法です。
例えば、
- 排水槽清掃
- 汚泥回収
- 液体回収
- スラリー回収
などです。
バキューム車の大きなメリット
バキューム車の場合、
吸引
↓
車両タンクへ回収
↓
そのまま搬出
できます。
特に、
大量の液体や泥水を短時間で回収したい
場合には有力な選択肢です。
バキューム車は車両を配置する必要がある
一方で、バキューム車は大型車両です。
そのため、
- 工場建屋内
- 狭い構内
- 地下設備
- 山間部
- 車両進入禁止区域
- 設備が密集した場所
などでは、回収場所の近くまで車両を配置できない場合があります。
回収場所と車両の距離が問題になる
例えば、
地下ピット
↓
工場建屋
↓
狭い通路
↓
屋外
↓
バキューム車
という配置です。
バキューム車そのものは優れた回収設備でも、
回収対象までアクセスしにくい
という問題が起こることがあります。
方法③ 空気搬送機ジェクター
ジェクターは、圧縮空気を利用して資材を吸引・搬送する設備です。
基本構成は、
回収物
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
回収先
となります。
ジェクターは「吸った後に送れる」
ジェクターの特徴の一つが、
吸引した資材を、そのまま排出側で離れた場所へ搬送できること
です。
例えば、
地下ピット
↓
ジェクター
↓
50m搬送
↓
建屋外
という使い方を検討できます。
液体がジャブジャブある状態なら使用できる
ジェクターは粉体・粒体だけでなく、
液体が十分にある状態
でも使用できる場合があります。
例えば、
水槽やピットの中に、
大量の水
+
底に砂
がある状態です。
池のように液体がジャブジャブ存在していれば、水と資材を一緒に吸引できます。
「水中に砂がある状態」と「泥」は分けて考える
液体回収で非常に重要なのがこの違いです。
水が十分にある状態
水
+
底に砂
→ 流動性が高い。
ヘドロ状
水分
+
大量の土砂
→ 粘性が高い。
同じ「水と土砂」でも状態が異なります。
ヘドロ状ではジェクターが閉塞する可能性
水分と資材が混ざり合って、
- ドロドロしている
- 粘りが強い
- ホース内壁へ付着する
ような状態になると、搬送中に閉塞する可能性があります。
特に、
- ホースの曲がり
- 長い搬送距離
- 粘着性の高い資材
では注意が必要です。
ジェクターは「汚泥なら何でも吸える設備」ではない
そのため、
「バキューム車が汚泥を吸えるなら、ジェクターも同じように使える」
とは限りません。
ジェクターでは、
液体が十分にあり流動性のある状態
と、
資材と水分が混ざり合った粘性の高い状態
を分けて考える必要があります。
液体回収時には少量のエアーを一緒に吸わせる
ジェクターで水や液体を回収する場合には、運用方法にもポイントがあります。
単純に、
吸引ホース
↓
水の中へザブン
と完全に浸けるより、
少量のエアーを液体と一緒に吸わせる
ことで効率よく回収できる場合があります。
使用するのは吸引ホース+エアー用ホース
イメージは、
太い吸引ホース
+
細いエアー用ホース
です。
2本のホースを沿わせて使用します。
エアー用ホースを少し長くする
ポイントは、
エアー用ホースを吸引ホースより少し長くすること
です。
吸引ホース
==========
エアー用ホース
===========
というように配置します。
エアー用ホースから少量の空気を出す
エアー用ホース先端から、
少量のエアー
を出します。
すると吸引口付近で、
水
+
砂
+
エアー
という状態になります。
これを吸引ホースへ取り込みます。
空気を一緒に取り込むことで効率を上げる
ジェクターは空気搬送機です。
そのため、液体だけをホースいっぱいに吸うよりも、
空気を適度に混ぜながら吸引することで搬送しやすくなる場合があります。
液体や水中の資材回収では有効な運用方法の一つです。
排水ポンプ・バキューム車・ジェクターを簡単に比較
大まかな考え方としては、
大量の水だけを排出したい
→ 排水ポンプ
大量の液体・汚泥・泥水を車両へ直接回収したい
→ バキューム車
水と固形物を回収し、離れた場所までホースで搬送したい
→ ジェクターを検討
という整理ができます。
ただし、実際には現場条件を確認して判断します。
排水ポンプ+ジェクターという組み合わせも考えられる
必ず一つの設備だけで全部処理する必要はありません。
例えば、
大量の上澄み水
↓
排水ポンプ
水位低下
↓
残った水+砂
↓
ジェクター
という方法です。
最後の人力清掃を減らす
この組み合わせの目的は、
ジェクターですべての水を処理すること
ではありません。
排水ポンプが得意な大量排水はポンプで行い、
最後に残った、
水
+
土砂
をジェクターで回収するという考え方です。
設備ごとの得意分野を組み合わせます。
バキューム車+ジェクターという組み合わせもできる
もう一つ考えられるのが、
ジェクター
+
バキューム車
です。
例えばバキューム車を回収場所の近くまで入れられない場合です。
ジェクターを中継搬送設備として使う
設備構成は、
地下ピット
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
離れたバキューム車
です。
つまり、
ジェクターで回収物をバキューム車まで運ぶ
という使い方です。
実際に揚水ポンプ施設で採用した構成
エコ・ワークでは、鹿児島県の揚水ポンプ施設で、
揚水時に流入した土砂等の回収
にJT75を使用した事例があります。
この現場では、
JT75
↓
排出ホース
↓
真空吸引車
という設備構成で回収しました。
ジェクターから吸引車まで約55m
この現場では、
JT75から真空吸引車まで約55m
ありました。
吸引側は5m強。
コンプレッサーには190PSクラスを使用しています。
つまり、
回収物の近く
↓
JT75
↓
約55m搬送
↓
吸引車
という使い方です。
車両を無理に近づけなくてもよい
この方法なら、
バキューム車
↓
回収場所まで無理に進入
させるのではなく、
回収しやすい場所にジェクターを配置
↓
バキューム車まで搬送
できます。
これは、
- 建屋内部
- 狭い設備周辺
- 地下設備
- 車両が進入しにくい場所
で特にメリットがあります。
ジェクターでは吸引側を短くする
ジェクターの配置では、
吸引側を短くすること
が重要です。
推奨は5m程度です。
現場によっては10m程度で使用されているケースもあります。
長い距離は排出側で送る
例えば回収先が100m離れている場合、
100m先から吸う
のではなく、
回収物
↓
吸引5m
↓
ジェクター
↓
排出100m
↓
回収先
とします。
排出側は条件によって200m程度まで搬送可能
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度
の長距離搬送が可能なケースがあります。
そのため、
水・土砂がある場所
↓
ジェクター
↓
離れた処理設備
という搬送も検討できます。
高低差にも対応できる可能性
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度の搬送
が可能なケースもあります。
例えば、
地下ピット
↓
地上の回収設備
という現場です。
ただし液体だから200m送れるとは限らない
水平200m・高さ100m程度というのは、条件によって可能な搬送距離です。
実際には、
- 水量
- 固形物量
- 粒径
- 粘性
- ホース径
- 水平距離
- 高低差
- 曲がり
- 圧縮空気
などによって変わります。
液体を含む場合も個別確認が必要です。
回収方法を選ぶポイント① 水の量
まず確認したいのが、
水がどの程度あるか
です。
例えば、
ほとんど水
なのか、
水と砂が半々
なのか、
少量の水分を含む泥
なのかで条件が変わります。
回収方法を選ぶポイント② 固形物の割合
次に、
どれくらい固形物が混ざっているか
を確認します。
例えば、
大量の水
+
少量の砂
なら液体に近い状態です。
一方、
少量の水
+
大量の土砂
ならヘドロ状になりやすくなります。
回収方法を選ぶポイント③ 粘性
非常に重要なのが、
流れる状態か、ドロドロしているか
です。
粘性の高い材料ではジェクターのホース内で閉塞する可能性があります。
見た目だけでは分かりにくい場合には、実物確認を行います。
回収方法を選ぶポイント④ 粒径
土砂の中に、
- 大きな石
- 異物
- 木片
- 金属片
などが含まれている場合には注意が必要です。
ホース径より大きな異物や、ホース内で引っ掛かりやすいものは閉塞原因になります。
回収方法を選ぶポイント⑤ 回収量
例えば、
数十リットル
と、
数十m3
では適した設備が異なります。
大量の水を処理するなら排水ポンプやバキューム車の方が合理的な場合があります。
一方、
水と固形物が混在する部分を一定量回収し、さらに離れた場所まで送りたい
のであればジェクターを検討できます。
回収方法を選ぶポイント⑥ 作業場所
例えば、
車両が横付けできる
バキューム車を使いやすい。
大量の水だけを排出する
排水ポンプを使いやすい。
地下・狭所・建屋内部
ジェクターのホース搬送を検討。
というように、作業場所も設備選定へ大きく影響します。
回収方法を選ぶポイント⑦ 搬送先
吸引した後、
どこへ持っていきたいのか
も重要です。
例えば、
- 排水設備
- 回収槽
- 処理設備
- タンク
- バキューム車
などです。
「吸える設備」だけでは作業は終わらない
例えばジェクターで水・砂を吸えても、
排出先が決まっていない
のであれば設備構成は完成しません。
そのため、
回収
↓
搬送
↓
最終処理
まで一連の工程として考えます。
どれを使えばいいか分からない場合は現在の作業から考える
設備名から選ぶ必要はありません。
例えば現在、
ピット
↓
排水ポンプ
↓
水を抜く
↓
作業員2人
↓
土砂をスコップ回収
↓
バケツで搬出
としているのであれば、
最後の人力工程をどう減らせるか
から考えます。
例えば「水を完全に抜かない」という考え方
水がある方が土砂に流動性を持たせやすい場合には、
完全排水
↓
泥状になった土砂を回収
ではなく、
水をある程度残す
↓
水と土砂を一緒に吸引
という方法を検討できる場合があります。
ただし、水量や回収物によって条件は異なります。
ヘドロになってからでは搬送しにくくなることもある
水が減り、
水分
+
土砂
が濃くなるほど粘性が上がることがあります。
するとジェクターでは閉塞リスクが高くなる可能性があります。
そのため、
いつ回収するか
も重要な運用条件になります。
事前テストが有効
液体と固形物が混ざった回収物は、実物を見るまで判断しにくい場合があります。
例えば、
「泥水です」
と聞いても、
ほぼ水
の場合もあれば、
スコップでしか動かないヘドロ
の場合もあります。
テストでは何を見る?
実際の回収物を使用して、
- 安定して吸引できるか
- エアーを一緒に吸わせた場合どう変わるか
- ホース内で閉塞しないか
- 必要な回収量を確保できるか
- 排出状態
- 適したホース径
などを確認します。
写真・動画だけでも初期相談できる
例えば、
- 水の状態
- 土砂の堆積状態
- スコップですくった状態
- 現在の清掃作業
- ピット周辺
- 排出先
などの写真・動画があれば、初期検討の参考になります。
「ポンプとバキューム車とジェクターのどれがいい?」でも相談できる
必ず、
「ジェクターを導入したい」
と決めていただく必要はありません。
例えば、
「排水ピットに水と砂があります」
「今はポンプで水を抜いて、最後は人力です」
「バキューム車が近くまで入れません」
「ヘドロ気味ですが使えますか?」
という段階でも構いません。
すべてジェクターへ置き換える必要はない
現場改善では、
ジェクターを使うことそのもの
が目的ではありません。
重要なのは、
現在の作業を最も合理的に改善すること
です。
例えば、
大量排水
→ ポンプ
泥水大量回収
→ バキューム車
離れた狭所から水・土砂を回収
→ ジェクター
と使い分ける方法もあります。
複数設備を組み合わせる方が合理的な場合もある
例えば、
排水ポンプ
+
ジェクター
や、
ジェクター
+
バキューム車
という構成です。
一つの設備ですべて処理しようとするより、それぞれの得意分野を組み合わせた方が作業しやすい場合があります。
エコ・ワークでは運用方法までご提案
液体や土砂をジェクターで回収する場合には、
機種選定だけではなく、
実際の吸引方法
が重要です。
例えば、
- ジェクターをどこへ置くか
- 水をどの程度残すか
- 吸引ホースをどう操作するか
- 補助エアーをどう入れるか
- 排出ホースをどこへつなぐか
などです。
エコ・ワークでは、機器の販売だけでなく、全国の現場でジェクターの使い方や運用方法の指導も行っています。
まとめ
水と土砂が一緒に存在する現場では、
排水ポンプ・バキューム車・ジェクターのどれが適しているかは、回収物と現場条件によって異なります。
大まかな考え方として、
大量の水を排出したい
排水ポンプ。
液体や高含水率の回収物を大量に車両へ回収したい
バキューム車。
水と固形物を吸引し、狭所や地下などから離れた場所へ搬送したい
ジェクターを検討。
という使い分けが考えられます。
ジェクターでは、
池のように液体がジャブジャブある状態
であれば、水と資材を一緒に吸引できます。
また、
吸引ホース
+
少し長いエアー用ホース
を沿わせ、
少量の空気を液体・資材と一緒に吸わせる
ことで効率よく回収できる場合があります。
一方、
水分と土砂が混ざり合ったヘドロ状では、ホース内部で閉塞する可能性があります。
そのため、
- 水量
- 固形物量
- 粘性
- 粒径
- 搬送距離
- 高低差
- 排出先
まで確認して設備を選定することが重要です。
「ポンプで水を抜いた後の土砂回収が大変」
「水と砂を一緒に回収したい」
「バキューム車を近くまで入れられない」
「地下ピットから離れた場所へ送りたい」
「ヘドロ状でもジェクターを使えるか確認したい」
「どの設備を使うのが適しているか分からない」
という場合には、お気軽にエコ・ワークまでお問い合わせください。
現在の回収物・水量・作業場所・搬送距離・排出先などを確認し、必要に応じて実物テストも行いながら、排水ポンプやバキューム車との使い分けも含めて現場に合った回収方法をご提案いたします。
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