この記事でわかること
- 粉体・粒体搬送で見落とされやすい「段取り時間」とは
- 搬送そのものが速くても作業時間が短くならない理由
- 設備搬入・ホース接続・撤収を効率化するポイント
- 可搬式設備が向いている現場
- 工場内エアーを活用して準備作業を減らす方法
- ジェクターの設置位置とホース長の考え方
- 長距離・高所搬送で段取りを簡素化する方法
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
粉体・粒体の回収や搬送作業を改善するとき、
「1時間に何kg搬送できるか」
「何m先まで送れるか」
といった設備の搬送能力に注目することが多いと思います。
もちろん搬送能力は重要です。
しかし実際の現場では、
- 設備を作業場所まで運ぶ
- コンプレッサーを準備する
- ホースを伸ばす
- ホースを接続する
- 回収先を準備する
- 作業終了後にホースを外す
- 設備を清掃する
- 機材を撤収する
といった搬送以外の作業時間も発生します。
例えば、
実際の粉体回収:1時間
だったとしても、
準備:1時間
回収:1時間
撤収:1時間
であれば、現場全体としては3時間必要です。
つまり粉体搬送の効率化では、
「搬送速度」だけではなく、「作業開始から撤収完了までの総時間」
を見ることが重要です。
本記事では、粉体・粒体搬送における段取り作業を見直し、現場全体の作業時間を短縮するためのポイントについて解説します。
粉体搬送における「段取り時間」とは?
段取り時間とは、実際に材料を搬送している時間以外に必要となる準備・片付け作業の時間です。
例えば、
作業前
- 搬送設備の搬入
- コンプレッサーの準備
- 電源・エアーの確認
- 吸引ホースの設置
- 排出ホースの設置
- フレコンバッグの準備
- 設備接続
- 作業場所の養生
作業後
- ホース内部の残留物確認
- 設備清掃
- ホース取り外し
- ホース回収
- フレコン処理
- 設備撤去
などがあります。
一つひとつは短時間でも、毎回繰り返していると大きな工数になります。
「搬送能力は高いのに作業が早く終わらない」理由
例えば、高能力な搬送設備を導入して、
搬送時間を、
2時間
↓
1時間
へ短縮できたとします。
しかし、
準備:2時間
搬送:1時間
撤収:2時間
であれば、合計5時間です。
ここからさらに作業時間を短縮するには、搬送能力だけではなく、
準備2時間+撤収2時間
にも注目する必要があります。
現場改善では「機械が動いていない時間」を見る
設備改善では、機械が材料を搬送している時間ばかり見てしまいがちです。
しかし、
- 作業員がホースを運んでいる
- コンプレッサーの到着を待っている
- 回収先を準備している
- ホース接続に時間がかかっている
間は、搬送設備自体は動いていません。
つまり、
設備が動いていないのに人件費が発生している時間
です。
この時間を減らせないか確認することが、現場全体の生産性向上につながります。
段取り時間が長くなりやすい現場① 設備が大きい
搬送設備そのものが大型の場合、
- クレーン
- フォークリフト
- トラック
などを使用して搬入する必要がある場合があります。
さらに、
- 設置スペース確保
- 架台
- 養生
- 安全設備
なども必要になると、準備だけでかなりの時間がかかります。
使用頻度の高い固定設備であれば問題ありませんが、
数時間の清掃作業のために毎回大掛かりな設備を準備する
のであれば、別の方法を検討する余地があります。
段取り時間が長くなりやすい現場② コンプレッサーの搬入が必要
空気搬送設備では圧縮空気を使用します。
現場に圧縮空気設備がない場合には、
- 可搬式コンプレッサーを運ぶ
- 設置場所を決める
- エアーホースを接続する
必要があります。
もちろんこれは有効な方法ですが、工場やプラントによっては、すでに圧縮空気設備が整備されている場合があります。
工場内エアーを利用できれば準備を減らせる可能性
ジェクターは、コンプレッサーだけでなく、条件が合えば工場内に整備された既設エアーを利用できます。
例えば、
工場エアー取り出し口
↓
エアーホース
↓
ジェクター
という構成です。
十分な圧力・空気量を確保できれば、
毎回コンプレッサーを現場へ搬入する工程を減らせる可能性
があります。
特に定期的に同じ場所でジェクターを使用する工場では、段取り時間短縮につながりやすいポイントです。
工場エアーは「あるかどうか」だけでは判断できない
ただし、
「エアー取り出し口がある」
だけで使用できるとは限りません。
確認したいのは、
- 圧力
- 供給可能な空気量
- 配管径
- 取り出し口径
- 他設備との同時使用
などです。
工場全体のコンプレッサーに余力があっても、ジェクターにつながる枝管が細ければ必要な空気量を確保できない場合があります。
事前に供給条件を確認しておくことで、当日の設備変更や作業中断を防ぎやすくなります。
段取り時間が長くなりやすい現場③ ホース設置に時間がかかる
空気搬送では、ホースの設置も重要な段取り作業です。
例えば、
- 吸引ホース20m
- 排出ホース100m
を毎回配置するのであれば、それだけでも作業時間がかかります。
さらに、
- 柱を避ける
- 階段を上げる
- 配管を避ける
- 建屋外まで伸ばす
といった複雑なルートでは、設置時間も長くなります。
吸引側を必要以上に長くしない
ジェクターでは、吸引側について5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、基本的には、
ジェクター本体を搬送物の近くへ配置する
ことがポイントです。
例えば、
搬送物
↓
吸引ホース5m程度
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
搬送先
という構成です。
本体を近づけることで吸引ホースの準備を簡素化
例えば、
回収物からジェクターまで20m
離れている場合には、20m分の吸引ホースを準備する必要があります。
しかし本体を回収物近くへ移動できれば、
20m
↓
5m
まで吸引側を短くできる可能性があります。
これは搬送性能だけでなく、
- ホース運搬
- ホース設置
- 接続
- 撤収
の負担を減らす意味でもメリットがあります。
「長い距離」は排出側で対応する
ジェクターでは、
吸引側を短くし、長距離は排出側で搬送する
という考え方が基本です。
条件によっては、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
例えば、
設備内部
↓
吸引ホース5m
↓
ジェクター
↓
排出ホース100m
↓
建屋外のフレコン
といった構成です。
回収先を近くへ持ってこなくてもよい可能性
通常、
「回収場所の近くへフレコンを置く」
「回収場所の近くへ車両を入れる」
という考え方になります。
しかし排出側を長くできれば、
回収物を回収先まで送る
という考え方ができます。
これによって、
- フレコン配置
- 車両搬入
- 重機配置
などの制約を減らせる可能性があります。
高低差がある現場でも段取りを減らせる可能性
例えば地下ピットから材料を回収する場合、
従来:
ピット内で回収
↓
容器へ入れる
↓
容器を地上へ上げる
↓
台車へ載せる
↓
回収場所へ移動
という工程になる場合があります。
空気搬送なら、
ピット
↓
ジェクター
↓
地上の回収場所
へ直接搬送できる可能性があります。
条件によって高さ100m程度の高所搬送にも対応
ジェクターでは条件によって、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
例えば、
- 地下設備から地上
- 地上から上階
- 高所ホッパー
- サイロ
などです。
そのため、
材料を一度容器へ入れ、クレーンやフォークリフトで上下させる工程
を減らせる可能性があります。
ただし、搬送できる高さや能力は、
- 搬送物
- 比重
- 粒径
- 水平距離
- ホース径
- 必要搬送量
- エアー供給能力
などによって異なります。
段取り時間が長くなりやすい現場④ 接続箇所が多い
搬送ラインが複雑になると、
- ホース
- 配管
- 分岐
- バルブ
- 中間容器
などの接続箇所が増えます。
接続箇所が増えるほど、
準備
↓
確認
↓
運転
↓
取り外し
の作業も増えます。
仮設設備では特に、
必要以上に複雑なシステムにしないこと
が段取り短縮につながります。
ジェクターはシンプルなストレート構造
ジェクターは、本体内部に、
- 電動モーター
- チェーン
- ベルト
- 回転羽根
などの駆動部を持たない、シンプルなストレート構造です。
圧縮空気を供給し、吸引側・排出側のホースを接続して使用します。
そのため、大掛かりな機械式搬送設備とは異なるシンプルな設備構成を作りやすいことが特徴です。
可搬式設備は「必要なときだけ使う」運用に向いている
例えば、
- 月に1回の設備清掃
- 年数回の定期修繕
- 原料切り替え時
- 設備トラブル時
- 不定期の堆積物回収
などでは、常設設備が必要とは限りません。
ジェクターを可搬式として使用すれば、
必要な場所へ移動
↓
エアー・ホース接続
↓
回収
↓
撤収
という運用ができます。
1台を複数箇所で使用すると設備準備を共通化できる
工場内に、
- 設備A
- 設備B
- 設備C
それぞれの清掃作業がある場合、場所ごとに異なる清掃設備を使用すると、
- 操作方法
- 接続方法
- 消耗品
- 保管方法
まで異なります。
一方、同じジェクターを複数箇所で使用できれば、
設備・ホース・操作方法を共通化
しやすくなります。
作業標準化も段取り時間短縮につながる
段取り作業が毎回、
「今日はどう設置する?」
「ホースはどこを通す?」
「誰が準備する?」
という状態では、作業開始まで時間がかかります。
そこで、
- ジェクター設置位置
- エアー取り出し位置
- 使用ホース
- 排出先
- 作業人数
をあらかじめ決めておくことで、作業開始までの時間を短縮しやすくなります。
ホースに使用場所を決めておく
複数のホースを所有している場合には、
- A設備用
- B設備用
- 高所搬送用
- 摩耗性資材用
など、用途を決めて管理する方法もあります。
これにより、
「どのホースを使えばいいか」
を毎回判断する時間を減らせます。
摩耗性の高い材料では専用ホースを準備
ブラスト材や焼却灰、スラグなどを搬送する場合には、ホース摩耗への対策も必要です。
ジェクターでは排出側が特に摩耗しやすい箇所となります。
そのためエコワークでは、搬送物に応じて排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
摩耗性の高い資材用の構成をあらかじめ決めておけば、現場ごとにホース選定から始める必要も減ります。
粉じんが多い現場ではジェクロンを組み合わせる
焼却灰やフライアッシュなどの微粉体では、
ジェクター
↓
集粉機「ジェクロン」
↓
フレコン
という構成も検討できます。
事前にこの基本構成を決めておけば、
- 搬送
- 集粉
- 回収
までの設備準備を標準化しやすくなります。
段取り時間を短縮するには「当日考えない」
段取り改善で重要なのが、
作業当日に設備構成を考えないこと
です。
例えば事前に、
使用設備
JT○○
+
ホース○m
+
ジェクロン
エアー
工場エアー○○取り出し口
搬送ルート
設備A
↓
通路
↓
屋外回収場所
作業人数
ホース操作1人
+
回収側1人
などを決めておきます。
そうすれば、現場では決められた手順に沿って準備できます。
作業前の現場写真も有効
設備配置が毎回同じであれば、
- ジェクター位置
- ホースルート
- エアー接続
- 排出先
を写真で残しておく方法もあります。
次回作業時に、
前回と同じ配置を再現
できるため、段取り時間短縮につながります。
作業終了後に改善点を記録する
実際に作業すると、
「このホースは5m短くてもよかった」
「この曲がりは別ルートの方が楽だった」
「エアー取り出し口はこちらの方が近かった」
といった改善点が見つかることがあります。
作業終了後に簡単に記録しておけば、次回さらに短時間で準備できます。
「毎回ゼロから準備する」をなくす
定期作業では、
1回目
→ 2時間準備
2回目
→ また2時間準備
という状態では改善が進みません。
1回目の経験を、
- 写真
- ホース長
- 設備位置
- 作業人数
- 所要時間
として残すことで、
2回目
↓
3回目
↓
4回目
と段取り時間を短縮できます。
段取り時間を数字で測る
改善するには、まず現在の時間を把握する必要があります。
例えば、
設備搬入:30分
ホース設置:40分
接続・確認:20分
搬送:90分
撤収:50分
の場合、
実際の搬送は90分ですが、
段取り・撤収だけで140分
かかっています。
この場合、搬送能力をさらに高めるよりも、段取りを改善した方が総作業時間を大きく短縮できる可能性があります。
「1時間当たり搬送量」だけで比較しない
設備選定では、
設備A:2t/h
設備B:1t/h
だけを見ると設備Aが優れているように見えます。
しかし、
設備A
準備3時間+搬送1時間
設備B
準備30分+搬送2時間
であれば、作業全体では設備Bの方が早く終わる場合があります。
特に、
- 仮設
- 清掃
- 定修
- 少量回収
では、設備能力だけでなく段取り性も重要な比較項目です。
外注作業でも段取り時間は発生する
バキューム車や専門業者へ回収作業を依頼する場合にも、
- 作業日の調整
- 車両入場
- 現場説明
- 養生
- 機材展開
- 作業後撤収
などが必要です。
外注が適している作業もありますが、日常的な清掃や少量回収では、自社設備で必要なタイミングに作業できる方が効率的なケースもあります。
自社で「すぐ使える状態」を作る
例えば工場内に、
- ジェクター
- 使用ホース
- 必要な継手
- 回収用フレコン
をまとめて保管し、工場エアーを使用できる状態にしておけば、
必要なときに設備を持っていき、接続して作業を開始する
という運用が可能になります。
「清掃したいけれど設備準備が面倒」
という状態を減らすことで、こまめな清掃もしやすくなります。
こまめに清掃すると1回の作業量も減らせる
大量に堆積してから清掃すると、
- 回収量が増える
- 作業時間が長くなる
- 人員が必要になる
場合があります。
一方、
短時間で設備を準備できる環境
があれば、小まめに回収しやすくなります。
結果として、
1回あたりの作業量
↓
清掃時間
↓
設備停止時間
を抑えられる可能性があります。
定修工事では段取りが特に重要
定期修繕では、設備停止期間が限られています。
設備停止
↓
内部冷却
↓
残留物回収
↓
清掃
↓
点検・補修
↓
復旧
という工程の場合、粉体・粒体の回収準備に時間がかかれば、その後の工程開始も遅れます。
そのため定修では、
「搬送に何時間かかるか」だけでなく「何分で作業を開始できるか」
も重要です。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
ジェクターは、設備そのものの選定だけでなく、
- 本体をどこへ置くか
- どこからエアーを取るか
- 吸引側を何mにするか
- 排出側をどう通すか
- 回収先をどこへ置くか
によって、使いやすさが大きく変わります。
エコワークではジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で使い方や運用方法の指導も行っています。
実際の現場で、
「どうすれば次回もっと早く準備できるか」
まで含めた運用方法をご提案します。
ご相談時に確認したい情報
段取り作業も含めて搬送工程を改善したい場合には、
- 搬送物
- 必要搬送量
- 現在の作業時間
- 現在の準備時間
- 現在の撤収時間
- 作業人数
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- 使用頻度
- コンプレッサーの有無
- 工場エアーの有無
- エアー取り出し口
- 設備保管場所
- 現場写真
- 搬送ルート
などがあると、具体的な改善方法を検討しやすくなります。
まとめ
粉体・粒体搬送作業を効率化するときには、
搬送中の時間だけを見ないこと
が重要です。
実際には、
準備
↓
搬送
↓
撤収
までが一つの作業です。
そのため、
- 設備を小型・可搬化する
- 工場内エアーを活用する
- 本体を搬送物の近くへ置く
- 吸引側を短くする
- 長距離は排出側で搬送する
- ホースルートを標準化する
- 使用設備をあらかじめ決める
- 前回の配置を記録する
ことで、総作業時間を短縮できる可能性があります。
ジェクターは、
- コンプレッサーまたは条件を満たした工場内エアーを使用可能
- 吸引・搬送・投入・排出に対応
- 可搬式として複数箇所で使用可能
- 条件によって排出側200m程度の長距離搬送
- 条件によって高さ100m程度の高所搬送
に対応できます。
吸引側は5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用されているケースもあります。
「搬送そのものは早いのに準備に時間がかかる」
「毎回コンプレッサーを搬入している」
「ホース設置・撤収に時間がかかる」
「定修作業をもっと早く開始したい」
「複数箇所の清掃方法を標準化したい」
といった課題がありましたら、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
搬送能力だけでなく、設置・接続・運用・撤収まで含めた現場全体の効率化をご提案いたします。
関連動画
鋼管工場内 溶接砂搬送・分別作業
→ 工場内でジェクターを使用して粉粒体を搬送している実際の事例です。
パーライト保温材回収・投入作業
→ 定期修繕でジェクターを使用し、資材の回収・搬送・投入を行っている事例です。
橋梁塗装現場 ブラスト材回収・分別作業
→ 仮設環境でジェクター・ジェクロンなどを使用している事例です。
関連記事
粉体・粒体搬送作業を効率化するには?作業時間を短縮するためのポイントを解説
→ 搬送作業全体の時間短縮・省人化について解説しています。

工場内の複数箇所で粉体・粒体を回収するには?可搬式の空気搬送機を活用するメリット
→ 1台の搬送設備を複数の作業場所で共用する方法について解説しています。

定修工事で粉体・粒体を効率よく回収するには?設備停止期間を有効活用するポイントを解説
→ 限られた設備停止期間で回収・清掃作業を行う際のポイントを紹介しています。

電源を取りにくい現場で粉体・粒体を搬送するには?圧縮空気を使う空気搬送機のメリットを解説
→ 仮設・既存工場などで圧縮空気を利用して搬送する方法を紹介しています。

粉体搬送設備のテスト導入はできる?デモ機を活用するメリットと確認ポイントを解説
→ 本導入前に実際の搬送物・設備条件を確認する方法について解説しています。

