工場やプラントでは、原料粉末、フライアッシュ、焼却灰、セメント系材料など、非常に細かな「微粉体」を扱うことがあります。
微粉体は粒径が細かいため、一般的な粒体と比べて、
- 粉じんが舞いやすい
- 設備や配管へ付着しやすい
- 水分の影響で固まりやすい
- ホッパー内でブリッジが発生する
- 搬送配管が詰まる
- 回収時に周囲へ飛散する
といった問題が起こりやすくなります。
そのため微粉体を扱う設備では、単に「運ぶ」だけではなく、回収・搬送・粉じん対策・排出まで含めて設備を考えることが重要です。
この記事では、微粉体の特徴や扱いにくい理由、回収・搬送時に発生しやすいトラブル、空気搬送を利用した効率化について解説します。
微粉体とは?
微粉体とは、非常に細かな粒子で構成された粉体のことです。
ただし、「何μm以下なら必ず微粉体」というように、すべての業界・用途で共通する単一の定義が使われているわけではありません。
実際の設備設計では粒径だけを見るのではなく、
など、粉体そのものの性状を確認することが重要です。
同じ名称の材料であっても、粒径や水分量などが違えば搬送性が大きく変わることがあります。
微粉体として扱われる材料の例
工場やプラントでは、さまざまな細かな粉体が発生・使用されています。
例えば、
- フライアッシュ
- 焼却灰
- セメント系粉体
- 石灰系材料
- 鉱物粉末
- 化学原料
- 樹脂粉末
- 研磨材・ブラスト材の微粉
- 製造工程で発生する粉じん
などです。
これらは原料として搬送される場合だけでなく、製造工程や清掃工程で発生したものを回収してフレコンなどへ集める用途もあります。
微粉体が扱いにくい理由
粉じんが飛散しやすい
微粉体で特に問題になりやすいのが粉じんです。
粒子が細かいため、
- スコップで掻き出す
- 袋から投入する
- 容器へ移し替える
- 高所から落下させる
- 設備を清掃する
といった作業で空気中へ舞い上がりやすくなります。
粉じんが周囲へ広がると、作業場所だけでなく設備周辺の清掃負担も増えるため、できるだけ開放状態で粉体を扱う工程を減らすことが重要です。
設備や配管へ付着しやすい
微粉体は材料の性状によって、ホースや配管、ホッパーの内壁などへ付着することがあります。
付着が進むと流路が狭くなり、搬送能力の低下や配管詰まりにつながる場合があります。
特に、
- 含水率が高い
- 付着性が強い
- 搬送経路に曲がりが多い
- 材料が堆積しやすい箇所がある
といった条件では注意が必要です。
固結することがある
粉体は保管状態や水分などの影響によって固まることがあります。
例えば、フレコンやホッパー内部で長期間保管された粉体が圧密され、塊状になるケースです。
大きく固結した材料は、そのままでは吸引・搬送できない場合があります。
そのため、固結状態を確認し、必要に応じて材料を崩しながら搬送設備へ供給する必要があります。
ホッパーでブリッジが発生する
微粉体では、ホッパーやサイロ内部で材料同士がつながり、排出口の上部にアーチ状の構造を形成する「ブリッジ現象」が発生することがあります。
ブリッジが発生すると、ホッパー内部に材料が残っているにもかかわらず、排出口から粉体が流れなくなります。
→ ブリッジ現象とは?ホッパー内で粉体が流れなくなる原因と対策
搬送配管が詰まることがある
粉体を配管で搬送する場合、搬送条件が適切でなければ配管内部に材料が堆積し、詰まりが発生することがあります。
原因は一つではなく、
- 搬送速度
- 供給量
- 粉体の性状
- 含水率
- 配管径
- 搬送距離
- 高低差
- 曲がり・エルボ
など複数の条件が関係します。
→ 粉体搬送で配管が詰まる原因とは?現場でよくあるトラブルと対策を解説
微粉体を回収する代表的な方法
人力で回収する
床面や設備内部に堆積した粉体を、スコップやほうきなどを使って回収する方法です。
少量であれば対応しやすい方法ですが、大量の粉体を扱う現場では作業時間や人員が必要になります。
また、作業中に粉じんを舞い上げる可能性があるため、微粉体では特に注意が必要です。
集塵設備で回収する
空気中に浮遊する粉じんについては、集塵設備を利用して捕集する方法があります。
一方で、床面や設備内部などにすでに堆積している粉体を別の場所まで搬送したい場合には、集塵だけではなく搬送まで考える必要があります。
吸引してそのまま搬送する
吸引式の空気搬送設備を使用し、微粉体をホースから吸引して目的地まで搬送する方法です。
例えば、
堆積した微粉体
↓
吸引ホース
↓
空気搬送機
↓
搬送ホース・配管
↓
回収設備・フレコン
という構成にすることで、回収と搬送を一つの工程として行うことができます。
微粉体の回収・搬送を効率化するポイント
回収と搬送を分けない
人力作業では、
粉体を回収する → 容器へ入れる → 容器を運ぶ → 別の容器へ排出する
という複数工程になることがあります。
吸引と搬送を同時に行える設備を使用すれば、中間工程を削減できる可能性があります。
できるだけ密閉状態で搬送する
微粉体は移し替えるたびに粉じんが発生する可能性があります。
ホースや配管内部で搬送することで、開放状態で材料を扱う工程を減らし、粉じん飛散を抑えやすくなります。
排出側の粉じん対策まで考える
微粉体搬送では、吸引側だけではなく排出側も重要です。
空気搬送では粉体と空気が一緒に移動するため、搬送先で粉体と空気を適切に分離する必要があります。
そのため、対象物によってはサイクロンや集粉設備などを組み合わせます。
空気搬送による微粉体の回収
空気搬送は、空気の流れを利用して粉体・粒体をホースや配管内部で搬送する方式です。
吸引式の設備では、作業者が吸引ホースを操作し、堆積した粉体を吸引しながら搬送することができます。
この方式は、
- 設備内部の粉体回収
- 床面に堆積した粉体の回収
- フレコンからの粉体取り出し
- 離れた回収場所への搬送
- 高所への粉体投入
などで利用できます。
→ 空気搬送とは?粉体・粒体を効率よく運ぶ仕組みとメリット・デメリットを解説
空気搬送機「ジェクター」による微粉体搬送
エコ・ワークでは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機「ジェクター」を取り扱っています。
ジェクターは、
- 吸引
- 搬送
- 投入
- 排出・散布
を行うことができる空気搬送機です。
本体内部にモーターや回転部などの駆動装置を持たないシンプルなストレート構造で、圧縮空気を動力として使用します。
微粉体を吸引し、そのままホースや配管を通して離れた回収場所まで搬送する構成を検討できます。
また、現場条件に応じて、
- 長距離搬送
- 高所への投入
- 狭所からの回収
- フレコンへの回収
などにも対応できます。
微粉体では「ジェクロン」との組み合わせが有効
微粉体を空気搬送する場合、搬送先での粉じん対策が重要になります。
エコ・ワークでは、空気搬送機ジェクターと集粉機「ジェクロン」を組み合わせた設備構成も取り扱っています。
ジェクロンでは、
- 搬送物と空気の分離
- フィルターによる粉じん捕集
- フレコンバッグへの回収
を行うことができます。
例えば、
微粉体をジェクターで吸引
↓
ホース・配管で搬送
↓
ジェクロンへ投入
↓
粉体と空気を分離
↓
フレコンへ回収
という構成です。
これにより、微粉体の回収・搬送・集粉・フレコン回収を一連の工程として構成できます。
ジェクロンのフィルター逆洗機能
微粉体を大量に扱う場合、集粉設備のフィルターへ粉じんが付着し、目詰まりすることがあります。
ジェクロンには高性能集塵フィルターが搭載されており、さらにパルスエアーによる自動逆洗機能を備えています。
タイマー制御によってフィルターに付着した粉じんを払い落とし、目詰まりを抑えながら運転できる構造です。
微粉体を継続的に回収する場合は、搬送能力だけでなく、こうした集粉側のメンテナンス性も設備選定の重要なポイントになります。
微粉体の搬送設備を選ぶときに確認したい条件
微粉体は材料によって搬送性が大きく異なるため、設備を選定する際には対象物の情報を確認する必要があります。
粉体の性状
- 材料名
- 粒径・粒度分布
- かさ密度
- 含水率
- 付着性
- 流動性
- 固結の有無
- 摩耗性
搬送条件
- 必要搬送量
- 水平搬送距離
- 垂直方向の高低差
- ホース・配管径
- 曲がり・エルボ数
- 吸引位置と排出位置
回収方法
- フレコンへ回収するのか
- ホッパーへ投入するのか
- サイロへ搬送するのか
- 別の製造設備へ投入するのか
こうした条件を整理することで、必要な搬送能力や設備構成を検討しやすくなります。
微粉体では実際の対象物による搬送テストが重要
微粉体の搬送可否は、材料名だけでは判断できない場合があります。
例えば同じ粉体でも、
- 乾燥している状態
- 水分を含んでいる状態
- 長期保管によって圧密された状態
では搬送性が異なります。
そのため、設備導入前に実際の対象物を使って搬送テストを行うことが有効です。
エコ・ワークでは、対象物や現場条件を確認したうえでジェクターによる搬送テストについてもご相談いただけます。
例えば、
- この微粉体を吸引できるか
- 必要な距離まで搬送できるか
- どの程度の搬送能力が出るか
- 配管への付着が発生しないか
- ジェクロンとの組み合わせが必要か
などを実際の材料で確認できます。
微粉体の回収・搬送でジェクターが活用できる現場
例えば、次のような作業では空気搬送による省力化を検討できます。
- 床面に堆積した粉体を人力で回収している
- 設備内部の清掃で大量の粉体が発生する
- フレコンから微粉体を取り出している
- 回収した粉体を離れた場所まで運んでいる
- 粉体を高所のホッパーへ投入している
- 回収時の粉じん飛散を減らしたい
- 人手による清掃・搬送工程を省力化したい
対象物や現場条件によって適した構成は異なるため、実際の運用を確認しながら設備を選定します。
よくある質問
微粉体でも空気搬送できますか?
可能な材料は多くあります。ただし、粒径だけでなく、かさ密度、含水率、付着性、必要搬送量、搬送距離などによって搬送性が変わります。
微粉体を吸引すると粉じんが出ませんか?
吸引した粉体をホースや配管内で搬送することで、開放状態での移し替え工程を減らすことができます。一方、排出側では粉体と空気を分離する必要があるため、対象物によって集粉設備を組み合わせます。
湿った微粉体でも搬送できますか?
含水率や付着性によって大きく異なります。湿った粉体ではホースや配管への付着、固結などが発生する可能性があるため、実際の対象物によるテストをおすすめします。
固まった粉体も吸引できますか?
大きく固結した材料は、そのままでは吸引できない場合があります。材料の状態を確認し、必要に応じて塊を崩しながら供給する方法を検討します。
回収した微粉体をそのままフレコンへ入れられますか?
ジェクターとジェクロンを組み合わせ、搬送した粉体をジェクロンで空気と分離してフレコンへ回収する構成があります。
長距離でも微粉体を搬送できますか?
搬送距離だけでなく、高低差、配管径、曲がりの数、粉体の性状、必要搬送量などによって変わります。具体的な現場条件をもとに機種や構成を検討します。
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まとめ
微粉体は粒子が細かいため、
- 粉じん飛散
- 設備への付着
- 固結
- 配管詰まり
- ホッパーでのブリッジ
など、一般的な粒体とは異なる問題が発生しやすい材料です。
そのため、微粉体の設備を検討する際には、単に搬送能力だけを見るのではなく、「回収 → 搬送 → 粉体と空気の分離 → 集粉 → 排出」まで含めて考えることが重要です。
空気搬送機「ジェクター」と集粉機「ジェクロン」を組み合わせることで、微粉体の吸引・搬送からフレコンへの回収まで一連の工程として構成できます。
微粉体の回収や搬送でお困りの場合は、対象物の種類、粒径、含水率、搬送距離、高低差、必要搬送量などをお知らせください。実際の対象物を使った搬送テストについてもご相談いただけます。
