この記事でわかること
- 設備トラブル時に粉体・粒体の抜き出しが必要になるケース
- 設備内部に材料が残っていると復旧が遅れる理由
- 人力・フレコン・バキューム車による緊急回収の課題
- 仮設の空気搬送設備を利用するメリット
- ジェクターを使った吸引・搬送・排出方法
- 工場内エアーを利用できる可能性
- 長距離・高低差がある現場での搬送方法
- エコワークによる全国での運用サポート
はじめに
工場やプラントでは、通常運転だけでなく突然の設備トラブルが発生することがあります。
例えば、
- コンベアが故障した
- ホッパーの排出口が詰まった
- 製造設備が停止した
- 配管内部で閉塞が発生した
- タンクや設備内部の点検が必要になった
- 搬送先の設備が故障した
といったケースです。
このとき問題になるのが、
設備内部に残っている粉体・粒体をどうするか
です。
設備を修理したくても大量の材料が残っているため、
「まず中身を全部抜いてください」
となることがあります。
通常の搬送設備が故障している場合、その設備自体を使って材料を排出することもできません。
そこで必要になるのが、
通常ラインとは別に仮設の搬送設備を用意し、材料を一時的に回収・搬送する
という方法です。
本記事では、設備トラブル時に粉体・粒体を緊急回収する方法と、可搬式の空気搬送機を活用するメリットについて解説します。
なぜ設備トラブル時に材料を抜き出す必要があるのか?
例えばホッパーやタンクに粉体・粒体が入った状態で設備が故障した場合、そのままでは、
- 内部を確認できない
- 部品を交換できない
- 配管を取り外せない
- 人が安全に作業できない
ことがあります。
そのため、
設備停止
↓
残留物を回収
↓
内部清掃
↓
故障箇所を点検
↓
修理
↓
復旧
という工程になる場合があります。
つまり、
材料を取り除く作業が終わらなければ修理そのものを始められない
ケースがあります。
「回収作業」が復旧時間を左右することもある
製造設備が停止すれば、生産にも影響します。
例えば、
設備故障
↓
材料回収に4時間
↓
修理に2時間
↓
復旧
という場合、修理自体は2時間でも、設備停止時間は6時間以上になります。
ここで材料回収を、
4時間
↓
1時間
へ短縮できれば、設備復旧も3時間早められる可能性があります。
設備トラブルへの対応では、
修理時間だけでなく、修理を始めるまでの準備時間
を見ることが重要です。
緊急回収で発生しやすい課題① 通常の搬送設備が使えない
最も分かりやすいケースが、普段使用している搬送設備そのものが故障した場合です。
例えば、
ホッパー
↓
スクリューコンベア
↓
次工程
という設備でスクリューコンベアが故障した場合、
ホッパー内部に材料が残っていても通常ルートでは排出できません。
そこで、
通常ラインとは別の搬送ルート
を一時的に作る必要があります。
仮設搬送という考え方
このような場合には、
通常設備
↓
故障
だからといって、設備全体が復旧するまで材料を動かせないとは限りません。
例えば、
ホッパー
↓
吸引ホース
↓
仮設搬送設備
↓
フレコンバッグ
というルートを一時的に作る方法があります。
材料を回収した後に通常設備を修理し、作業終了後は仮設設備を撤去します。
緊急回収で発生しやすい課題② 人手で抜き出すしかない
緊急時には、
「とりあえずスコップで出そう」
となる場合もあります。
例えば、
設備内部
↓
スコップ
↓
バケツ
↓
フレコン
という作業です。
少量であれば合理的ですが、数百kg~数tの材料が残っている場合には、
- 作業人数
- 作業時間
- 身体的負担
が大きくなります。
材料を何度も持ち替えると工程が増える
人力回収では、
すくう
↓
容器へ入れる
↓
持ち上げる
↓
運ぶ
↓
別容器へ移す
といった作業が発生します。
緊急復旧では、
材料を回収すること自体が目的ではなく、できるだけ早く設備を空にすること
が重要です。
そのため、可能であれば、
吸引 → 搬送 → 回収先へ排出
まで連続化できる方法を検討します。
緊急回収で発生しやすい課題③ 回収先を近くへ置けない
設備の周辺には、
- 生産設備
- 配管
- 通路
- 安全柵
- 他の機械
などがあり、フレコンや大型容器を置くスペースがない場合があります。
そのため、
「材料は抜きたいが、どこへ出すか」
が問題になることがあります。
離れた場所へ直接搬送する
空気搬送を利用すれば、
設備内部
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
離れたフレコン
という構成を検討できます。
ジェクターでは搬送条件によって、排出側で200m程度の長距離搬送が可能なケースがあります。
そのため、
- 建屋外
- 別の作業エリア
- 車両を置ける場所
- フレコンを安全に設置できる場所
まで材料を送れる可能性があります。
吸引側は5m程度を推奨
ジェクターでは、
吸引側を短く、排出側を長くする
ことが基本的な考え方です。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用しているお客様もいますが、可能であればジェクター本体を回収物の近くへ配置します。
例えば、
ホッパー
↓
吸引ホース5m程度
↓
ジェクター
↓
排出ホース50m
↓
フレコン
という構成です。
「50m先から吸う」のではなく「近くで吸って50m送る」
緊急時には設備を置ける場所が限られるため、ジェクターの配置が重要です。
例えば回収先が100m離れているからといって、
材料
↓
吸引100m
↓
ジェクター
とするのではなく、
材料
↓
短い吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出100m
↓
回収先
という配置を基本として検討します。
高低差がある現場でも対応できる可能性
設備トラブルは地上階だけで発生するとは限りません。
例えば、
- 地下ピット
- 建屋上部
- 高所ホッパー
- サイロ
- プラント上層階
などです。
ジェクターでは条件によって、高さ100m程度の高所搬送が可能なケースもあります。
そのため、
地下設備
↓
地上の回収場所
あるいは、
高所設備
↓
離れた地上回収場所
といった搬送も検討できます。
200m・高さ100mはすべての条件を保証するものではない
実際の搬送能力は、
- 搬送物
- 粒径
- 比重
- 含水率
- 搬送量
- ホース径
- 水平距離
- 高低差
- 曲がり
- 圧縮空気供給能力
などによって異なります。
そのため緊急時に使用する可能性がある場合でも、平常時に、
「この材料ならどの構成で回収できるか」
を確認しておくことが重要です。
緊急回収で発生しやすい課題④ 電源を確保できない
故障した設備周辺では、
- 電源設備を停止している
- 電源を使用できない
- 電源ケーブルを通しにくい
場合があります。
ジェクターは圧縮空気を動力として使用し、本体内部に電動モーターなどの駆動部を持ちません。
そのため、圧縮空気を供給できれば、ジェクター本体用のモーター電源を作業場所へ準備せずに使用できます。
コンプレッサーだけでなく工場内エアーも利用可能
ジェクターへ供給する圧縮空気は、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 条件を満たした工場内エアー
を利用できます。
工場内に十分な圧縮空気設備がある場合には、
工場エアー
↓
ジェクター
↓
緊急回収
という構成を作れる可能性があります。
工場内エアーがあれば緊急対応までの時間を短縮しやすい
例えば緊急時に毎回、
コンプレッサーを手配
↓
搬入
↓
設置
↓
作業開始
する必要がある場合、準備に時間がかかります。
一方で、
- ジェクター
- ホース
- 必要な継手
を工場内に保有し、既設の工場エアーを使用できれば、
設備を現場へ移動
↓
エアー接続
↓
ホース設置
↓
回収開始
という運用を作れる可能性があります。
ただし工場エアーの供給条件は事前確認が必要
工場エアーが存在するだけでは十分ではありません。
ジェクターを使用するためには、
- 圧力
- 空気量
- エアー配管径
- 取り出し口径
などを確認する必要があります。
また、通常運転時と設備トラブル時では、他設備の稼働状況が異なる場合があります。
使用予定の取り出し口で必要なエアーを確保できるか確認しておくことが重要です。
緊急時ほど「可搬式」が役立つ
固定式搬送設備は、決められた工程では非常に効率的です。
しかし設備トラブルでは、
普段とは違う場所から、普段とは違う場所へ材料を移動させたい
というケースがあります。
例えば、
通常:
ホッパーA
↓
設備B
緊急時:
ホッパーA
↓
仮設ホース
↓
屋外フレコン
という運用です。
こうした一時的な搬送では、可搬式設備の柔軟性が活かされます。
ホースを使えば故障設備を迂回できる
例えば通常搬送ルートの途中に故障箇所がある場合、
正常設備
↓
故障設備
↓
次工程
ではなく、
正常設備
↓
仮設吸引
↓
ジェクター
↓
ホース
↓
一時回収場所
と、故障設備そのものを迂回できる可能性があります。
設備が復旧した後は通常ラインへ戻します。
原料を廃棄せず一時保管できる場合もある
緊急回収した材料は、必ずしも廃棄するとは限りません。
材料や品質条件によっては、
設備から抜き出す
↓
フレコンへ一時保管
↓
設備修理
↓
確認後に再投入
できる場合があります。
これにより、大量の原料廃棄を防げる可能性があります。
ただし、再利用の可否は、
- 製品品質
- 異物混入
- 衛生管理
- 材料状態
などを確認したうえで判断する必要があります。
微粉体では粉じん対策も必要
材料を抜き出せれば終わり
ではありません。
排出先で粉じんが大量に発生すると、作業環境が悪化します。
そのため集粉方法まで含めて考える必要があります。
ジェクロンとの組み合わせ
微粉体の場合には、
ジェクター
↓
集粉機「ジェクロン」
↓
フレコン
という構成を検討できます。
これにより、
- 吸引
- 搬送
- 空気と材料の分離
- 集粉
- フレコンへの回収
までを一連の工程として行えます。
摩耗性の高い材料では耐摩耗対策
回収物が、
- 焼却灰
- スラグ
- ブラスト材
- 砂
などの場合には、ホース摩耗にも注意が必要です。
ジェクターでは排出側が特に摩耗しやすい箇所となります。
そのためエコワークでは、搬送物に応じて排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースをご提案しています。
緊急用設備でも、使用する材料に合ったホースを準備しておくことが重要です。
固結している材料は事前にほぐす必要がある場合もある
設備トラブルの原因が、
- 水分
- 長期滞留
- 圧密
- 熱
などであれば、内部の粉体そのものが固結している場合があります。
材料が大きな塊になっていれば、そのまま吸引できるとは限りません。
必要に応じて、
固結物をほぐす
↓
吸引可能な状態にする
↓
ジェクターで回収
という工程を検討します。
異物の混入にも注意
設備故障時には、
- 金属片
- ボルト
- 設備部品
- 大きな固結物
などが材料へ混入する場合があります。
通常時の原料仕様だけではなく、
トラブル後にどのような異物が存在する可能性があるか
も確認することが重要です。
緊急時に初めて設備を検討するのでは遅い場合もある
設備トラブルは突然発生します。
そのときに、
「何で材料を抜こう?」
「コンプレッサーはどこから借りよう?」
「どのホースが必要だろう?」
と考え始めると、復旧まで時間がかかります。
そのため、粉体・粒体を大量に扱う設備では、
緊急時の材料抜き出し方法を平常時から考えておく
ことも重要です。
緊急回収ルートを事前に決めておく
例えば、
設備A故障時
↓
ジェクター設置場所:ここ
↓
吸引ホース:5m
↓
工場エアー:取り出し口A
↓
排出ホース:40m
↓
回収先:屋外フレコン
というように、あらかじめ想定しておきます。
これだけでも緊急時の初動が大きく変わります。
ホースや継手をまとめて保管する
緊急用として設備を活用するのであれば、
- ジェクター
- 吸引ホース
- 排出ホース
- エアーホース
- 継手
- 必要工具
をまとめて保管しておくと、現場展開しやすくなります。
「本体はあるが継手が見つからない」
という状態では、せっかく設備を保有していてもすぐに使用できません。
通常作業と緊急用を兼用する
緊急時のためだけに設備を購入すると、使用頻度が低くなる可能性があります。
そこで、
通常時:
- 原料投入
- 設備清掃
- 堆積物回収
緊急時:
- 設備内部の材料抜き出し
- 故障設備を迂回した仮設搬送
というように、1台を複数用途へ使用する方法があります。
可搬式設備であれば、日常業務と非常時対策の両方へ活用できます。
バキューム車や専門業者との使い分け
大量回収や特殊な作業では、バキューム車や専門業者が適している場合もあります。
一方、
- 少量~中量の回収
- 日常的な設備清掃
- 急ぎの材料抜き出し
- 作業場所へ大型車両が入れない
といった場合には、自社で可搬式設備を利用する方法も検討できます。
すべてを内製化するのではなく、
自社でできる作業と専門業者へ依頼する作業を使い分ける
ことが重要です。
「業者が来るまで待つ時間」も設備停止時間
緊急時に外注する場合、
トラブル発生
↓
業者へ連絡
↓
日程調整
↓
車両移動
↓
現場到着
↓
回収開始
という時間が発生します。
遠方から専門業者を呼ぶ場合には、移動時間も必要です。
自社で緊急回収できる設備を保有していれば、状況によっては初動を早められる可能性があります。
緊急時には安全確認を最優先する
設備が停止しているからといって、すぐに内部へホースを入れてよいわけではありません。
現場条件に応じて、
- 設備停止
- 誤起動防止
- 残圧確認
- 高温部の確認
- 酸欠・ガス
- 粉じん
- 墜落・転落
などへの対策が必要です。
特にトラブル時は通常とは異なる設備状態になっているため、現場で定められた安全手順を確認したうえで作業することが重要です。
実際の材料で事前テストする
緊急用としてジェクターを検討する場合にも、平常時に実際の材料で搬送テストを行っておくと安心です。
例えば、
- 安定して吸引できるか
- どの機種が適しているか
- 必要な空気量
- 1時間あたりの搬送量
- ホース径
- 摩耗対策
などを確認します。
緊急時に初めて試運転するより、事前に条件を把握しておく方がスムーズに運用できます。
エコワークでは全国で運用指導を行っています
緊急回収では、設備本体だけでなく、
- どこへジェクターを置くか
- どこから吸引するか
- どこからエアーを取るか
- どこへ排出するか
- どのホースを使用するか
という現場レイアウトが重要になります。
エコワークではジェクターを販売するだけでなく、全国の現場で操作方法や運用方法の指導を行っています。
通常時の運用だけでなく、
「この設備が停止したら、どうやって中身を抜き出すか」
といった仮設回収・搬送方法についても、現場条件を確認しながらご提案します。
ご相談時に確認したい情報
設備トラブル時の回収方法をご検討の場合には、
- 搬送物
- 粒径・最大粒径
- 比重
- 含水率
- 設備内部に残る最大量
- 現在の設備構成
- 材料を抜き出せる開口部
- ジェクターを置ける場所
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- 回収先
- コンプレッサーの有無
- 工場エアーの圧力・空気量
- 現場写真
- 設備図面
などがあると、具体的な検討がしやすくなります。
まとめ
設備トラブルが発生したとき、
故障箇所を修理する前に、設備内部の粉体・粒体を抜き出さなければならない
場合があります。
この回収作業に時間がかかれば、修理開始が遅れ、設備停止時間も長くなります。
そこで、
通常の搬送ラインとは別に、仮設の搬送ルートを作る
という方法があります。
- 吸引
- 搬送
- 投入
- 排出
を行える可搬式の搬送設備です。
圧縮空気は、
コンプレッサーまたは条件を満たした工場内エアー
から供給できます。
また条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送
や、
高さ100m程度の高所搬送
にも対応できる可能性があります。
吸引側については5m程度を推奨しており、現場によっては10m程度で使用しているケースもあります。
「ホッパーが故障したときに中身をどう抜くか決まっていない」
「設備停止時の材料回収に何時間もかかっている」
「トラブル時に毎回バキューム車を手配している」
「緊急時にも自社で材料を回収できる体制を作りたい」
といった課題がありましたら、お気軽にエコワークまでお問い合わせください。
通常運転だけでなく、設備トラブル時の仮設回収・搬送まで含めた運用方法をご提案いたします。
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