この記事でわかること
- 粉体・粒体搬送設備を導入前にテストするメリット
- カタログだけでは搬送可否を判断しにくい理由
- ジェクターで実際の材料を搬送テストする際の確認ポイント
- 搬送距離・高低差・コンプレッサー能力の考え方
- テスト前に準備しておきたい材料・現場情報
- テスト結果から機種や設備構成を検討する方法
はじめに
粉体・粒体搬送設備の導入を検討していると、
- 本当にこの材料を搬送できるのか?
- 必要な搬送量を確保できるのか?
- 長い距離や高所まで搬送できるのか?
- ホースの途中で詰まらないか?
- どの機種を選べばよいのか?
といった疑問が出てきます。
粉体・粒体は、材料名だけで搬送可否を判断できるとは限りません。
同じ材料でも、
などによって搬送状態が変わります。
そこで有効なのが、実際の搬送物を使用した搬送テストです。
空気搬送機「ジェクター」では、実際の材料を使い、吸引状態や搬送能力などを確認したうえで設備構成を検討できます。
この記事では、粉体・粒体搬送設備を導入する前にテストを行うメリットと、テスト時に確認したいポイントを解説します。
実際のジェクターによるPKS回収・搬送動画
タンカー船内でのPKS(ヤシ殻)回収・搬送
→ タンカー船内に残ったPKSを、ジェクターで吸引し、ホースを通して搬送している実際の作業動画です。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
この動画のように粒体をホースで搬送できますが、
「PKSを搬送できる=すべての粉体・粒体を同じ条件で搬送できる」
というわけではありません。
実際の材料や現場条件に合わせて確認することが重要です。
なぜ粉体・粒体は実物テストが重要なのか?
粉体・粒体は、見た目が似ていても搬送特性が大きく異なることがあります。
例えば、
乾燥したサラサラの粉体
と、
水分を含んで付着しやすくなった粉体
では、吸引状態やホース内部での流れ方が変わります。
粒体でも、
- 球形に近いもの
- 角張ったもの
- 軽いもの
- 重いもの
- 壊れやすいもの
では搬送条件が異なります。
そのため、設備選定ではカタログスペックだけを見るのではなく、実際の対象物と使用条件を確認することが重要です。
搬送テストで確認したいポイント1.そもそも吸引・搬送できるか
最初に確認するのは、対象物をジェクターで安定して吸引・搬送できるかです。
特に、
- 水分が多い
- 粘着性がある
- 大きな塊を含む
- 非常に軽い
- 比重が大きい
- 繊維状・不定形
といった材料では、実物確認の重要性が高くなります。
単純な「搬送できる・できない」だけではなく、
連続して吸引できるか
ホース内で詰まりや付着が起きないか
まで確認することが重要です。
搬送テストで確認したいポイント2.必要な搬送量を確保できるか
材料を搬送できても、必要な処理能力を満たせなければ実際の作業には適さない場合があります。
例えば、
「1時間で100kg搬送できた」
としても、現場で1時間に1トン処理する必要があるのであれば能力が不足します。
そのため、
総量 ÷ 作業可能時間
から、必要な搬送量を考えます。
例えば10トンの材料を2日間、1日5時間で処理したい場合、
10t ÷ 10時間 = 平均1t/h
程度が一つの目安になります。
実際には準備・ホース移動・設備停止などもあるため、余裕を持って検討します。
搬送テストで確認したいポイント3.搬送距離
搬送距離も重要な条件です。
ジェクターでは基本的に、
吸引側を短くして、長距離部分を排出側へ取る
構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨していますが、現場条件によっては10m前後で使用されるケースもあります。
条件が合えば、排出側では水平約200m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、200mはすべての材料で搬送できることを保証する数値ではありません。
距離が長くなるほど、
- 材料
- ホース・配管径
- 曲がり
- コンプレッサー能力
- 必要搬送量
などの影響を受けます。
長距離搬送を予定している場合には、実際の使用条件を想定した確認が重要です。
搬送テストで確認したいポイント4.高低差
ジェクターは、高所への材料投入にも利用できます。
条件によっては、垂直方向に約100m程度の搬送を検討できる場合があります。
例えば、
- 地上から高所のホッパーへ投入する
- 地下・ピット内から地上へ搬出する
- 設備下から上階へ搬送する
といった用途です。
ただし、高低差が大きくなるほど搬送条件は厳しくなります。
お問い合わせ時には、
水平距離だけでなく、吸引場所と排出場所の高低差
も確認しておくことが重要です。
搬送テストで確認したいポイント5.曲がりの数
搬送距離が同じでも、ホースや配管の曲がりが多いと搬送条件は変わります。
例えば、
直線50m
と、
複数の曲がりを含む50m
では同じ条件とはいえません。
曲がり部分では材料の流れが変化するため、
- 搬送能力の低下
- 材料の衝突
- 摩耗
- 詰まり
などに注意が必要です。
現場レイアウトが分かる場合には、距離だけでなく曲がりの数や角度も確認します。
搬送テストで確認したいポイント6.コンプレッサー能力
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
そのため、搬送性能を検討する際にはコンプレッサー条件も重要です。
確認したいのは、
- 圧力
- 空気量
- エアー配管径
- 他設備との同時使用
などです。
工場に既設コンプレッサーがある場合、必要な圧力・空気量を確保できれば利用できる場合があります。
ただし、
コンプレッサーがある=そのままジェクターを使用できる
とは限りません。
搬送テストを行う場合にも、本番環境で使用する予定のコンプレッサー条件を把握しておくと、導入後の設備構成を検討しやすくなります。
搬送物の水分・付着性も重要
粉体では、含水状態によって搬送性が大きく変わる場合があります。
例えば乾燥状態ではサラサラ流れる材料でも、水分を含むことで、
- 固まる
- ホースへ付着する
- 塊になる
- 流動性が低下する
ことがあります。
そのため、実際の現場で湿った状態になる材料であれば、乾燥したサンプルだけで判断しないことが重要です。
可能であれば、実際の使用状態に近い材料で確認します。
なお、水分と固形物が混ざってヘドロ状・スラッジ状になっている場合は、通常の湿粉とは別条件として検討する必要があります。
大きな粒や塊を含む場合
粉体の中に大きな塊が混ざっている場合も注意が必要です。
平均粒径が小さくても、一部に大きな固結物が含まれていれば、
その最大サイズがホースやジェクターを通過できるか
を確認する必要があります。
ホッパー・サイロなどで材料が固結している場合には、エアースコップなどで固結物を崩してからジェクターで回収する方法も検討できます。
摩耗性の高い材料ではホースの確認も必要
砂・ブラスト材・石粉などの摩耗性が高い材料では、搬送可否だけでなく摩耗も確認します。
ジェクターでは、材料が高速で流れるため排出部が最も摩耗しやすい部分です。
摩耗性の高い材料では、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースなどを使用する方法があります。
搬送テストでは、
「材料が運べるか」
だけでなく、
継続使用した場合にどこが摩耗しやすいか
も設備構成を考える材料になります。
壊れやすい材料では破損状態も確認する
材料によっては、
搬送できることより、搬送後の状態の方が重要
な場合があります。
例えば、
- ペレット
- 穀物
- セラミック製品
- 成形された粒体
- 壊れやすい原料
などです。
空気搬送中には、材料同士やホース・配管との衝突が発生します。
そのため、破損を避けたい材料では、テスト後の材料を確認して、
- 割れ
- 欠け
- 粉化
などが許容範囲か判断します。
微粉を搬送する場合は排出先も確認する
微粉をジェクターで搬送する場合には、吸引・搬送だけでなく排出側の空気処理も重要です。
空気搬送では、材料と一緒に搬送用の空気も排出されます。
そのため、微粉をそのまま容器へ排出すると、粉じんが発生する場合があります。
このような場合には、集粉機「ジェクロン」と組み合わせる方法を検討できます。
ジェクロンでは、搬送された材料と空気を分離し、フィルターで細かな粉じんを捕集します。
設備構成によっては、回収した材料をフレコンバッグへ連続的に落とすこともできます。
テスト前に準備しておきたい情報
搬送テストを検討する場合には、事前に以下の情報があると設備条件を整理しやすくなります。
搬送物について
- 材料名
- 写真
- 粒径・最大粒径
- かさ密度
- 水分
- 付着性
- 固結の有無
- 必要に応じて実物サンプル
現場について
- 吸引場所
- 排出場所
- 搬送距離
- 高低差
- 曲がりの数
- ホースを通せる経路
- コンプレッサー仕様
作業条件について
- 総搬送量
- 1時間あたりに必要な搬送量
- 作業時間
- 作業日数
- 回収後の材料をどこへ排出するか
すべての条件が最初から確定していなくても構いません。
分かる範囲の情報や、現場写真・動画から初期検討を進めることもできます。
テスト結果から機種を選定する
ジェクターには複数の機種があります。
ただし、
大きな機種を選べば必ずよい
というわけではありません。
必要以上に大きな機種を選定すると、必要なコンプレッサー能力も大きくなります。
そのため、
対象物
×
必要搬送量
×
搬送距離
×
高低差
×
現場条件
を確認して機種を検討します。
実際の材料を使った搬送テストは、この機種選定を行うための判断材料にもなります。
「搬送できた」だけでテストを終わらせない
搬送テストでは、
吸えたから成功
だけで判断しないことが重要です。
実際の設備導入を想定すると、
- 必要搬送量を確保できるか
- 長時間安定して搬送できるか
- ホースに付着しないか
- 詰まりが発生しないか
- 材料が破損しないか
- 排出先で粉じんが発生しないか
- 必要なコンプレッサー能力はどれくらいか
- 摩耗対策が必要か
まで確認する必要があります。
「搬送可能か」から「実際の現場で使えるか」まで確認することが、搬送テストの重要な目的です。
レンタルと搬送テストの違い
導入前に設備を確認する方法として、レンタルを検討する場合もあります。
ただし、目的によって使い分けます。
搬送テスト
主な目的は、
実際の材料を搬送できるか、必要な能力を確保できるかを確認すること
です。
設備選定や購入前の検討に向いています。
レンタル
主な目的は、
一定期間、実際の作業で設備を使用すること
です。
定修工事・一時的な材料回収・短期間の作業などに向いています。
購入を検討しているものの搬送可否が分からない場合は、まず搬送テストで条件を確認する方法があります。
よくある質問
材料名だけで搬送できるか分かりますか?
過去の実績などからある程度検討できる場合はありますが、材料名だけで確実に判断できるとは限りません。
粒径・水分・比重・付着性なども確認します。
少量のサンプルでも確認できますか?
材料や確認したい内容によって必要量は変わります。
まずは対象物と確認したい搬送条件をご相談ください。
現場と同じ距離を再現しないと意味がありませんか?
必ずしもすべての現場条件を完全に再現できるとは限りません。
対象物の搬送性や必要能力などを確認し、実際の搬送距離・高低差・配管条件を含めて設備構成を検討します。
どのジェクターを試せばよいか分かりません。
お客様側で事前に機種を決めていただく必要はありません。
搬送物・必要搬送量・距離・高低差・コンプレッサー条件などから適した機種を検討します。
まとめ
粉体・粒体搬送設備では、カタログスペックだけでは実際の搬送状態を判断しにくい場合があります。
特に、
- 水分を含む
- 付着性がある
- 大きな粒や塊を含む
- 摩耗性が高い
- 壊れやすい
- 長距離・高所へ搬送したい
- 必要搬送量が大きい
といった条件では、実際の材料を使用した搬送テストが設備選定の重要な判断材料になります。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
また、シンプルなストレート構造で駆動部を持たないため、さまざまな材料・現場条件で搬送方法を検討できます。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
実際の搬送物・必要搬送量・搬送距離・高低差・コンプレッサー条件などを確認し、必要に応じて搬送テストを行ったうえで、現場に適した機種・設備構成をご提案します。
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