この記事でわかること
- ホッパー内部に粉体・粒体が残る原因
- 付着・堆積・ブリッジが発生する理由
- ホッパー清掃で負担になりやすい作業
- ジェクターで残留物を吸引・搬送する方法
- 固結物がある場合のエアースコップ活用方法
- 微粉を回収する際の粉じん対策
- 清掃作業を省力化するための確認ポイント
はじめに
粉体・粒体を扱う工場やプラントでは、原料の一時貯留や設備への供給にホッパーが使用されています。
しかし、長期間使用していると、
- 壁面への粉体の付着
- コーナー部への堆積
- 排出口周辺への残留
- 固結
- ブリッジ
- ラットホール
などが発生し、定期的な清掃が必要になることがあります。
特に問題になりやすいのが、
「ホッパーから取り除いた材料を、その後どう回収・運搬するか」
という工程です。
スコップで集めて袋へ入れ、台車で運ぶといった方法では、清掃する量が増えるほど作業員の負担も大きくなります。
そこで検討できるのが、ホースで残留物を吸引し、そのまま離れた回収場所まで搬送する方法です。
この記事では、ホッパー内部に粉体・粒体が残る原因と、空気搬送機「ジェクター」を利用して清掃・回収作業を効率化する方法を解説します。
実際のジェクターによる粉体・粒体の回収動画
タンカー内のPKS搬送作業動画
→ タンカー内のヤシ殻を離れた場所まで搬送している事例です。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
ホッパー清掃では、残留物のある場所まで吸引ホースを伸ばし、
吸引 → 搬送 → 回収場所へ排出
という一連の作業を行えます。
なぜホッパー内部に粉体・粒体が残るのか?
ホッパーは材料を下部へ排出するための設備ですが、投入した材料がすべて自然に流れるとは限りません。
材料の性状やホッパー形状によっては、内部に残留物が発生します。
壁面への付着
微粉体や付着性のある材料では、ホッパー壁面に材料が付着する場合があります。
特に、
- 水分を含む
- 湿気の影響を受ける
- 粒径が細かい
- 付着性が高い
といった材料では注意が必要です。
付着した材料が長期間残ると、さらに粉体が付着して堆積層が厚くなることがあります。
コーナー部への堆積
ホッパー形状によっては、材料が流れにくい場所が発生します。
コーナー部や傾斜の変化する部分などに材料が残り、定期的な除去が必要になることがあります。
排出口周辺への残留
排出口付近でも、材料の流動性や形状によって残留物が発生します。
特に付着・固結が発生すると、排出口そのものが狭くなり、材料を安定して排出できなくなる場合があります。
ブリッジが発生すると材料が排出できなくなる
ホッパーでよく知られているトラブルの一つがブリッジ現象です。
ブリッジとは、粉体・粒体がホッパー内部でアーチ状に固まり、その下へ材料が流れなくなる現象です。
原因としては、
- 水分
- 付着性
- 粒径
- 圧密
- ホッパー形状
- 排出口径
などが関係します。
ブリッジが発生すると、
ホッパー内部には材料が残っているのに、排出口から材料が出てこない
という状態になります。
この場合、単純な清掃だけでなく、まず固結した部分を崩す必要があります。
ラットホールでは壁面側に材料が残る
ラットホールは、ホッパー内部の一部分だけが流れ、周囲に材料が残る現象です。
例えば中心部分だけが排出され、壁面側に粉体が残る場合があります。
そのまま運転を続けると、残留物が長期間ホッパー内に留まる可能性があります。
ブリッジとラットホールでは発生状態が異なりますが、どちらも、
「重力排出だけでは材料を取り除けない」
という問題につながります。
ホッパー清掃で負担になる「集める・運ぶ」作業
ホッパー清掃では、付着物を落とした後にも作業が続きます。
例えば、
- ホッパー内部の残留物を落とす
- 下部に溜まった材料をスコップで集める
- 袋・バケツなどへ入れる
- 台車へ積む
- 回収場所まで運ぶ
- フレコンや廃棄容器へ再投入する
という工程です。
少量であれば人力でも対応できますが、大量の材料を定期的に清掃する場合には負担が大きくなります。
そこで、
「清掃で出た材料を一度集めてから運ぶ」
のではなく、
「発生場所から直接吸引して回収場所へ送る」
という方法を検討できます。
ジェクターでホッパーの残留物を吸引する
ジェクターを利用すると、吸引ホースをホッパー周辺まで伸ばして材料を回収できます。
例えば、
ホッパーから除去した残留物
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
フレコン・回収容器・別設備
という構成です。
材料を袋やバケツへ何度も積み替える必要がなくなれば、清掃後の運搬工程を減らせる可能性があります。
また、ホースを取り回せるため、
- ホッパー下部
- 架台下
- 設備の隙間
- 壁際
- ピット
などに落ちた材料の回収にも利用できます。
吸引側を短くして排出側で距離を取る
ジェクターでホッパーから材料を回収する場合、基本的には、
吸引側をできるだけ短くし、長い距離を排出側へ取る
構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場条件によっては10m前後で使用される場合もありますが、吸引距離が長くなるほど搬送条件は厳しくなります。
一方、排出側では条件が合えば水平約200m程度の搬送を検討できる場合があります。
また、条件によっては垂直約100m程度の搬送を検討できる場合もあります。
そのため、
「ホッパーから回収場所まで距離がある」
「下階から上階へ材料を送りたい」
「建屋外のフレコンまで搬送したい」
といった現場でも設備構成を検討できます。
ただし、これらの数値はすべての材料で保証されるものではありません。
材料の粒径・かさ密度・水分・付着性・必要搬送量・ホース径・曲がり・コンプレッサー能力などによって搬送性能は変わります。
固結・ブリッジは「崩してから吸引する」
ホッパー内部で材料が大きく固まっている場合、そのままジェクターで吸引できるとは限りません。
特にホース径を超える大きな固結物は、そのまま搬送できません。
この場合は、
固結物を崩す
↓
吸引できる大きさにする
↓
ジェクターで回収・搬送する
という工程に分けて考えます。
エアースコップで固結物を崩す方法
固結した材料やブリッジへの対応には、空気掘削機「エアースコップ」を組み合わせる方法があります。
エアースコップは圧縮空気を利用して、固まった材料を崩す機器です。
例えば、
エアースコップで固結物を崩す
↓
ジェクターで吸引
↓
回収場所までホース搬送する
という組み合わせです。
人力で固結物を崩し、その後スコップやバケツで運搬する工程を、設備によって補助できます。
ただし、対象物の硬さや固結状態によって適用可否は異なります。
微粉体では排出側の粉じん対策も考える
ホッパー内に残っている材料が微粉の場合には、吸引できるかだけでなく、排出側の粉じん処理も重要です。
ジェクターは材料と一緒に空気を搬送するため、排出側では搬送空気も放出されます。
微粉をそのまま容器へ排出すると、粉じんが舞う場合があります。
このような用途では、集粉機「ジェクロン」と組み合わせる方法を検討できます。
ジェクロンはサイクロン方式で粉体と空気を分離し、フィルターで細かな粉じんを捕集します。
設備構成によっては、
ジェクターで吸引・搬送
↓
ジェクロンで集粉
↓
フレコンバッグへ回収
という工程にすることもできます。
回収した材料をどこへ送るかまで考える
ホッパー清掃の省力化では、
「ホッパーから材料を取り除く」
だけで終わらせないことが重要です。
例えば回収後に、
- フレコンバッグへ入れる
- ドラム缶へ回収する
- 廃棄容器へ送る
- 別工程へ搬送する
- 再処理設備へ送る
などの選択肢があります。
回収後の行き先まで決めることで、清掃と搬送を一つの工程として設計しやすくなります。
なお、床面や設備周辺から回収した材料を製造工程へ戻せるかどうかは、異物混入や品質管理などの条件を含めて個別に判断する必要があります。
ホッパー清掃では安全対策が前提
ホッパー内部や周辺で清掃を行う際には、設備の停止や安全確認が前提です。
特に、
- 攪拌機
- スクリュー
- バルブ
- コンベヤ
- ロータリーバルブ
などの駆動設備が接続されている場合には注意が必要です。
稼働中の機械へ吸引ホースや工具を近づけるのではなく、設備停止や必要なロックアウト等を含め、現場の安全基準に従って作業します。
また、ホッパー内部への立ち入りを伴う場合には、対象設備や材料に応じた安全管理が必要です。
ホッパー清掃を検討するときに確認したい情報
ジェクターによる残留物回収を検討する際には、次のような情報があると設備構成を検討しやすくなります。
搬送物
- 材料名
- 粒径・最大粒径
- かさ密度
- 水分
- 付着性
- 固結の有無
- 粉じんの発生状況
ホッパー
- ホッパーの大きさ
- 排出口径
- 残留物が発生する場所
- 1回あたりの残留量
- 点検口・作業口の位置
- ホッパー下部のスペース
搬送条件
- 吸引距離
- 排出距離
- 高低差
- ホース経路
- 曲がりの数
- 排出先
コンプレッサー
- 圧力
- 空気量
- エアー配管径
- 他設備との同時使用状況
現場写真や動画がある場合には、初期検討の参考になります。
毎回同じ場所に残るなら清掃工程そのものを見直す
毎回同じ場所に材料が堆積し、同じ清掃作業を繰り返している場合には、
清掃方法だけでなく工程そのものを見直す
という考え方もあります。
例えば、
- 吸引口を設置する
- 配管を常設する
- フレコン回収へ直接つなぐ
- 既存設備へジェクターを後付けする
- ジェクロンと組み合わせて回収する
などです。
ジェクターは既存設備の形状や使用条件によって、フランジ・ニップル・ボールジョイントなどを利用して接続できる場合があります。
一時的な清掃設備として使用するだけでなく、定期的に発生する残留物を回収する設備として組み込めないか検討することもできます。
実際の材料で搬送テストを行う
粉体・粒体は、材料名だけでは搬送状態を判断しにくい場合があります。
特に、
- 水分を含む
- 付着性が高い
- 固結しやすい
- 摩耗性が高い
- 粒径のばらつきが大きい
といった材料では、実物による確認が有効です。
搬送テストでは、
- 安定して吸引できるか
- 必要搬送量を確保できるか
- ホース内で詰まらないか
- 付着が発生しないか
- 排出状態に問題がないか
などを確認します。
ホッパー内の実際の残留物をサンプルとして確認できれば、設備選定の判断材料になります。
よくある質問
ホッパー内部に残った粉体をジェクターで吸引できますか?
材料の粒径・かさ密度・水分・付着性・固結状態などによって異なります。
実際の材料や現場条件を確認して適用を検討します。
固まった粉体もそのまま吸引できますか?
大きな固結物はそのまま搬送できない場合があります。
エアースコップなどで吸引可能な大きさまで崩してからジェクターで回収する方法を検討できます。
ホッパーから離れた場所まで運べますか?
条件が合えば長距離搬送を検討できます。
基本的には吸引側を短くし、長距離部分を排出側へ設定します。
微粉も回収できますか?
搬送できる材料はありますが、微粉では排出側の粉じん処理も重要です。
必要に応じてジェクロンとの組み合わせを検討します。
既存ホッパーに後付けできますか?
ホッパーや周辺設備の形状によっては、フランジ・ニップル・ボールジョイントなどを利用して接続する方法を検討できます。
まとめ
ホッパー清掃では、壁面や排出口周辺に残った粉体・粒体を取り除くだけでなく、
回収した材料をどのように運ぶか
まで考えることが重要です。
スコップ・袋・バケツ・台車などによる人力作業が多い場合には、吸引ホースを利用して材料を回収し、そのまま回収場所まで搬送する方法を検討できます。
空気搬送機「ジェクター」は、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
また、シンプルなストレート構造で駆動部を持たないため、ホッパー下部や設備周辺に残った粉体・粒体の回収にも活用できます。
固結・ブリッジがある場合にはエアースコップ、微粉ではジェクロンなど、材料や現場条件に合わせた設備構成を検討できます。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
材料の種類・残留量・ホッパー形状・搬送距離・高低差・排出先・コンプレッサー条件などを確認し、現場に適した回収・搬送方法をご提案します。
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