この記事でわかること
- 粉体・粒体の固結が設備停止につながる理由
- サイロ・ホッパーのブリッジ発生時に時間がかかる原因
- ジェクターとエアースコップを使った復旧手順
- 「崩す」と「搬送する」を分ける考え方
- ジェクターを取り外してエアースコップへ切り替える方法
- 復旧作業を標準化するメリット
- ベテラン作業員だけに頼らない運用方法
- ジェクターの着脱性を考慮する重要性
- 圧縮空気設備を共用する考え方
- 固結が頻発する場合に根本対策も検討すべき理由
はじめに
粉体・粒体を扱う工場やプラントでは、
「サイロから材料が突然出なくなった」
「ホッパーがブリッジして搬送設備が止まった」
「固結物を崩すまで次工程を動かせない」
といったトラブルが発生することがあります。
このとき問題になるのは、
固結やブリッジそのものだけではありません。
例えば、
搬送停止
↓
原因確認
↓
作業員を呼ぶ
↓
工具を準備
↓
固結物を人力で崩す
↓
清掃
↓
搬送設備を復旧
という作業に時間がかかれば、その間は設備を停止しなければならない場合があります。
特に、
「詰まったときは○○さんを呼ぶ」
「ベテラン作業員しか復旧方法を知らない」
という運用では、人員配置によって復旧時間が変わってしまいます。
そこで検討できるのが、
固結・ブリッジ発生時の復旧方法をあらかじめ決めておくこと
です。
空気搬送機「ジェクター」と圧縮空気式の「エアースコップ」を組み合わせる場合には、
通常時
↓
ジェクターで搬送
固結・ブリッジ発生
↓
ジェクター停止・取り外し
エアースコップ
↓
固結物を崩す
ジェクター再接続
↓
搬送再開
という手順を決めておくことができます。
本記事では、粉体搬送時の固結トラブルによる設備停止時間を減らすための考え方と、ジェクター+エアースコップを利用した復旧作業について解説します。
粉体搬送では「詰まり」が設備全体を止めることがある
粉体・粒体を扱う工程では、
原料サイロ
↓
搬送設備
↓
製造設備
のように、複数の設備がつながっています。
この場合、サイロから材料が供給されなければ、その後の工程も影響を受けます。
例えばサイロでブリッジが発生
通常時は、
サイロ
↓
粉体・粒体
↓
ジェクター
↓
次工程
と搬送しています。
しかし、
サイロ内部
↓
ブリッジ
↓
資材が落ちない
となると、ジェクターへ材料が供給されません。
ジェクターが正常でも搬送は止まる
この状態では、
ジェクター
→ 正常
コンプレッサー
→ 正常
搬送ホース
→ 正常
でも、
資材供給
→ 停止
しているため搬送できません。
つまり、
搬送設備だけを正常に保っていても、供給側のトラブルによって工程が停止する
ことがあります。
固結トラブルで時間がかかるのは「復旧作業」
ブリッジが発生すること自体だけでなく、
発生後に、
「何をすればいいか分からない」
ことが設備停止時間を長くする原因になる場合があります。
例えば復旧方法が決まっていない場合
トラブル発生
↓
現場担当者が確認
↓
原因不明
↓
別の担当者を呼ぶ
↓
道具を準備
↓
固結物を崩す
↓
搬送再開
という流れになります。
作業員によって対応方法が違うこともある
例えば、
担当者A
→ 棒で突く
担当者B
→ スコップで崩す
担当者C
→ 設備を叩く
など、復旧方法が人によって異なる場合があります。
復旧方法を標準化する
こうした現場では、
ブリッジが発生したらどうするか
をあらかじめ決めておくことで、対応しやすくなります。
ジェクター+エアースコップによる復旧手順
例えば、
サイロ下部
↓
ジェクター
↓
搬送先
という設備の場合です。
通常運転時はジェクターを使用します。
STEP1 資材が来なくなったことを確認
まず、
ジェクターは動いている
↓
しかし資材が搬送されない
という状態を確認します。
STEP2 圧縮空気やホースを確認
固結と決めつける前に、
- 圧縮空気
- 吸引側
- 排出側
- ホース閉塞
なども確認します。
STEP3 供給側を確認
圧縮空気やホースに問題がなければ、
サイロ
ホッパー
排出口
など、資材供給側を確認します。
STEP4 固結・ブリッジを確認
資材が、
- 固まっている
- 排出口まで落ちていない
- ブリッジしている
のであれば、供給不良が原因である可能性があります。
STEP5 ジェクターを停止
固結が確認されたら、
ジェクターへの圧縮空気供給を停止し、搬送作業を止めます。
STEP6 ジェクターを取り外す
今回の運用では、
ジェクターを接続したままエアースコップを使用するのではなく、一度ジェクターを取り外します。
STEP7 エアースコップへ切り替える
ジェクターを取り外したあと、
圧縮空気式のエアースコップを使用します。
STEP8 固結・ブリッジを崩す
エアースコップによって、
固結物
↓
掘り崩す
↓
細かくする
↓
資材を流動しやすい状態へ戻す
という作業を行います。
STEP9 大きな塊が残っていないか確認
重要なのは、
ブリッジが落ちたからそのままジェクターを再開する
のではなく、搬送できない大きさの固結物が残っていないか確認することです。
大きな塊は閉塞の原因になる可能性
本来は細かな粉体でも、
固結によって、
数cm
数十cm
の塊になる場合があります。
こうした塊をそのままホースへ入れると、閉塞する可能性があります。
STEP10 ジェクターを再接続
資材が搬送可能な状態になったら、
エアースコップを取り外し、
ジェクターを再接続します。
STEP11 搬送を再開
圧縮空気を供給し、
ジェクター
↓
資材
↓
搬送先
へ搬送を再開します。
この手順を決めておくことが重要
つまり、
異常確認
↓
原因切り分け
↓
固結確認
↓
ジェクター停止
↓
取り外し
↓
エアースコップ
↓
固結解消
↓
再接続
↓
搬送再開
という流れを現場内で共有します。
復旧作業を標準化するメリット① 判断時間を減らしやすい
トラブル発生時に、
「どうしよう?」
から考えるのではなく、
決められた確認順序
に沿って原因を切り分けます。
「ジェクターが故障した」とすぐ判断しない
例えば、
ジェクターが吸わない
↓
メーカーへ連絡
する前に、
圧縮空気
↓
ホース
↓
供給側
という順番で確認できれば、現場で原因を特定できる場合があります。
メリット② ベテラン作業員への依存を減らしやすい
長年使用している設備では、
「この音ならブリッジ」
「この場合はここを崩せば直る」
と経験者だけが知っているノウハウが存在することがあります。
作業手順として共有する
例えば、
①ジェクター確認
②ホース確認
③サイロ出口確認
④ブリッジならジェクター取り外し
⑤エアースコップ使用
という手順にします。
これによって、運用方法を共有しやすくなります。
メリット③ 人力での掘り崩し作業を減らせる
従来、
固結発生
↓
スコップ
↓
人力で掘る
としていた作業を、
固結発生
↓
エアースコップ
へ変更できる可能性があります。
メリット④ 復旧時間を短縮できる可能性
固結物を効率よく崩すことができれば、
設備停止
↓
復旧
↓
運転再開
までの時間を短縮できる可能性があります。
設備停止時間もコスト
例えば固結対応に、
30分
かかる場合です。
作業員1人の30分だけを見るのではなく、
その30分間、次工程も待っている
可能性があります。
前後工程への影響を見る
例えば、
サイロ
↓
ジェクター
↓
製造設備
なら、
ジェクター停止
↓
材料供給停止
↓
製造設備も停止
となる場合があります。
復旧時間の短縮は工程全体の改善につながる
そのため、
「人力で崩すのが大変」
だけではなく、
設備停止時間を短くする
という観点からエアースコップを検討することもできます。
ジェクターの着脱時間も重要
今回の運用では、
固結発生
↓
ジェクター取り外し
↓
エアースコップ
↓
ジェクター再接続
を行います。
そのため、
ジェクターをどれだけ取り外しやすいか
も重要です。
毎回着脱に時間がかかる構造では復旧が遅くなる
例えば、
多数のボルト
↓
工具で取り外し
↓
ジェクター撤去
という構造なら、着脱だけで時間がかかる場合があります。
導入時から復旧作業を考える
固結が発生する可能性がある現場では、
通常運転だけでなく、
トラブル時にどう取り外すか
も考えて設備構成を検討します。
作業スペースも確保する
例えばサイロ下部が狭く、
ジェクターを外せない
エアースコップを入れられない
のであれば、実際の復旧作業が難しくなります。
エアースコップを置いておく場所も考える
ブリッジ発生時に、
エアースコップが別棟にある
↓
取りに行く
となれば、その分復旧が遅くなります。
発生頻度が高い現場では、すぐ使用できる場所へ準備する方法も考えられます。
エアーホースも準備しておく
エアースコップだけでなく、
- エアーホース
- 接続金具
- 必要な周辺部材
まで準備しておくことで、トラブル時にすぐ切り替えやすくなります。
ジェクターとエアースコップはどちらも圧縮空気を使用
両機器には、
圧縮空気を利用する
という共通点があります。
同じコンプレッサーを利用できる場合もある
今回の基本運用は、
ジェクター
↓
停止
エアースコップ
↓
使用
なので、必要空気量などの条件が合えば、同じ圧縮空気供給源を切り替えて利用できる場合があります。
工場内エアーを利用できる可能性もある
工場に既設の圧縮空気設備があれば、条件が合う場合には利用できます。
確認したいのは、
- 圧力
- 空気量
- 配管径
- 取り出し口
- 他設備との使用状況
などです。
「圧力がある」だけでは判断しない
例えば圧力計では十分でも、
配管が細い
↓
必要空気量が出ない
場合があります。
そのため実際の使用場所で供給条件を確認します。
固結対応の手順書を作る
例えば現場に、
ジェクターで材料が搬送されない場合
- 圧縮空気確認
- 吸引・排出側確認
- 資材供給確認
- 固結・ブリッジ確認
- ジェクター停止
- ジェクター取り外し
- エアースコップで解消
- 大きな塊を確認
- ジェクター再接続
- 搬送再開
という簡単な手順を用意します。
作業方法を統一しやすくなる
担当者によって、
叩く
棒で突く
スコップで掘る
と方法が変わるより、
ブリッジ確認
↓
決めた手順で復旧
とした方が運用を標準化しやすくなります。
復旧作業の記録も有効
例えば、
発生日
搬送物
発生場所
固結状態
復旧時間
を記録します。
頻発する場所が見える
記録を続けると、
毎回同じサイロで発生
雨天後に多い
長期間停止後に多い
などの傾向が見える場合があります。
頻発するなら根本対策へ
エアースコップは、
発生した固結・ブリッジを解消する方法
として使用できます。
しかし、
毎日何度もブリッジする
のであれば、復旧方法だけでは十分ではない可能性があります。
ブリッジを発生しにくくする対策も検討
例えば、
- 資材の保管状態
- 水分
- サイロ形状
- 排出口
- 供給方法
- その他の流動化対策
などを見直します。
「予防」と「復旧」を分ける
予防
ブリッジそのものを発生しにくくする。
復旧
発生したブリッジを短時間で解消する。
という二つの視点です。
発生頻度が低ければ復旧手段を準備する考え方もある
例えば、
年に数回だけ発生
する現場なら、
設備全体を大きく改造するより、
発生時にエアースコップで対応できる体制を作る
方が合理的な場合もあります。
活用例① サイロ間搬送
例えば、
サイロA
↓
ジェクター
↓
サイロB
という工程です。
サイロAでブリッジした場合には、材料供給が止まります。
復旧後すぐ搬送へ戻す
ジェクター取り外し
↓
エアースコップ
↓
ブリッジ解消
↓
ジェクター再接続
という復旧手順を決めておけば、通常搬送へ戻しやすくなります。
活用例② ホッパーから製造設備への供給
ホッパー
↓
ジェクター
↓
製造設備
という場合にも、
供給側が固結すれば工程が停止します。
固結時の復旧方法まで事前に決めておくことが重要です。
活用例③ 槽・タンク内部の残留物回収
槽内部の資材をジェクターで回収していると、
サラサラした部分
↓
回収
固結した部分
↓
残る
場合があります。
吸引と崩しを交互に行う
この場合、
ジェクター
↓
吸引
固結部分
↓
エアースコップ
崩した資材
↓
ジェクター
という形で作業を進めます。
活用例④ 長期保管した資材
長期間サイロ・ホッパーで保管された粉体では、再稼働時に固結が見つかる場合があります。
定期的に発生するのであれば、再稼働時の復旧手順としてエアースコップを準備する方法もあります。
設備停止時間を測ってみる
省力化を考える場合には、
「固結が大変」
だけでなく、
1回の固結で何分止まっているか
を測ることをおすすめします。
年間時間にすると分かりやすい
例えば、
1回20分
×
週3回
×
50週
なら、
年間50時間
の停止になります。
復旧時間を半分にできれば、その分設備稼働時間を確保できる可能性があります。
作業員の工数も同時に削減できる可能性
さらに、
1回の復旧に2人
必要なら、
年間の人時はさらに大きくなります。
設備停止と人員工数の両方から改善効果を考えます。
導入前に確認したいこと① 発生頻度
例えば、
月1回
週1回
毎日
などです。
確認したいこと② 1回の復旧時間
現在、
何分・何時間かかっているか
を確認します。
確認したいこと③ 固結の硬さ
- 手で崩れる
- 棒が必要
- スコップが必要
- 非常に硬い
などです。
確認したいこと④ 発生場所
例えば、
- サイロ内部
- サイロ下部
- ホッパー
- 槽
- 排出口
などです。
確認したいこと⑤ 現在の復旧方法
例えば、
人が叩く
棒で突く
スコップで崩す
設備を分解する
などです。
確認したいこと⑥ ジェクターを取り外せるか
ジェクター+エアースコップの切り替え運用では、着脱スペースや接続方法も確認します。
現場写真からでも検討できる
例えば、
- サイロ下部
- ジェクター接続部
- 固結物
- 作業スペース
- エアー取り出し位置
などの写真があれば初期検討の参考になります。
実際の資材で確認することもできる
固結物の硬さや資材の性質によっては、実物テストが有効です。
確認できるのは、
- エアースコップで崩せるか
- 崩した資材をジェクターで搬送できるか
- 大きな塊が残らないか
- ホース閉塞が起きないか
- 必要な圧縮空気
などです。
「設備停止時間を減らしたい」という相談でもよい
例えば、
「ブリッジすると毎回30分止まる」
「担当者を呼ぶまで復旧できない」
「毎回スコップで対応している」
「ジェクターへの材料供給が時々止まる」
といった現在の運用からご相談いただけます。
エコ・ワークでは機器だけでなく運用方法もご提案
ジェクター+エアースコップの組み合わせでは、
製品を2台用意するだけではなく、
どのタイミングで、どの機器へ、どう切り替えるか
が重要です。
エコ・ワークでは機器の販売だけでなく、全国の現場でジェクター・エアースコップの使い方や運用方法の指導も行っています。
現在の設備構成や固結トラブルの発生状況を確認し、実際の現場で扱いやすい復旧方法をご提案します。
まとめ
粉体・粒体搬送では、
固結
ブリッジ
供給不良
によって、搬送設備や次工程が停止する場合があります。
このとき重要なのは、
固結を解消できることだけでなく、できるだけスムーズに通常運転へ戻せること
です。
ジェクターとエアースコップを組み合わせる場合には、
通常時
↓
ジェクターで搬送
固結・ブリッジ発生
↓
原因確認
ジェクター停止
↓
取り外し
エアースコップ
↓
固結物を崩す
ジェクター再接続
↓
搬送再開
という復旧手順をあらかじめ決めておくことができます。
また、
- 原因確認の順番
- ジェクターの着脱方法
- エアースコップの保管場所
- エアーホース
- 圧縮空気供給
- 担当者ごとの作業手順
まで整理しておけば、復旧作業を標準化しやすくなります。
一方、固結・ブリッジが非常に頻繁に発生する場合には、復旧方法だけでなく、供給設備や資材状態などの根本的な見直しも必要です。
「ブリッジが発生すると設備が長時間止まる」
「復旧方法がベテラン作業員しか分からない」
「毎回スコップで固結を崩している」
「ジェクターからエアースコップへ切り替える運用を検討したい」
「固結トラブル時の対応を標準化したい」
という場合には、お気軽にエコ・ワークまでお問い合わせください。
現在の搬送設備・固結状態・発生頻度・復旧方法・圧縮空気条件などを確認し、ジェクターによる通常搬送からエアースコップによる固結解消、搬送再開までを含めた現場に適した運用方法をご提案いたします。
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