この記事でわかること
- 粉体搬送設備を導入する前に整理しておきたい情報
- 搬送物について確認するポイント
- 搬送距離・高低差・経路の測り方
- 必要搬送量を決める考え方
- コンプレッサーについて確認したい条件
- 吸引元・排出先で確認したいポイント
- 現場写真・動画が設備選定に役立つ理由
- 問い合わせ時にすべての仕様が決まっていなくてもよい理由
はじめに
粉体・粒体搬送設備を導入するとき、
「とりあえずメーカーへ問い合わせればよいのか」
「どのくらい条件を決めてから相談すればよいのか」
と迷うことがあります。
粉体搬送設備は、
何を運ぶのか
↓
どこから吸うのか
↓
どこまで運ぶのか
↓
どこへ排出するのか
↓
どのくらいの量を運ぶのか
によって適した設備構成が変わります。
一方で、問い合わせ前にすべての仕様を決めておく必要はありません。
むしろ、
現在どのような作業に困っているのか
を含めて相談することで、既存工程そのものを簡略化できる可能性があります。
この記事では、粉体搬送設備を検討するときに、まず現場で確認しておきたい情報を解説します。
実際のジェクターによるPKS回収・搬送動画
タンカー船内|PKS(ヤシ殻)回収・搬送作業
→ タンカー船内に残ったPKSをジェクターで吸引し、ホースを通して搬送している実際の作業事例です。
ジェクターは、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で、モーターや回転機構などの駆動部を持ちません。
そのため、
- 床から材料を回収する
- ホッパーから材料を抜き出す
- フレコンから吸引する
- 離れた場所へ搬送する
- 高所の設備へ投入する
- 回収場所へ排出する
など、現場条件に応じた使い方を検討できます。
ただし、適した機種やホース構成を判断するには、現場条件の確認が重要です。
まず「何に困っているのか」を整理する
設備仕様を考える前に、現在の課題を整理します。
例えば、
- 人がスコップで回収している
- 一輪車や台車で何度も運んでいる
- 高所への投入作業が大変
- 床にこぼれた材料の回収に時間がかかる
- 設備下に材料が溜まる
- フレコンから設備へ投入する人手を減らしたい
- 長距離を人力で運搬している
- 粉じんが発生している
などです。
ここを整理すると、
単に「搬送設備を入れる」のではなく、どの工程を省力化するのか
が見えてきます。
現在の作業工程を書き出してみる
例えば現在、
フレコンを開封
↓
スコップで材料を取り出す
↓
一輪車へ積む
↓
30m移動する
↓
作業員がホッパーへ投入
という工程があるとします。
この場合、
フレコンからジェクターで直接吸引
↓
ホースで搬送
↓
ホッパーへ投入
という方法を検討できる可能性があります。
設備導入前には、
「材料をA地点からB地点へ運びたい」
だけでなく、その前後で人が何をしているのかまで整理することが重要です。
確認ポイント1.搬送物は何か
最も重要なのが搬送物です。
まず材料名を確認します。
例えば、
などです。
同じ「粉体」「粒体」でも、搬送特性は大きく異なります。
確認ポイント2.粒径と最大粒径
可能であれば粒径も確認します。
特に重要なのが最大粒径です。
例えば、
通常は5mm程度
ただし20mm程度の塊が混ざる
のであれば、その情報も設備選定に必要です。
粒径が分からない場合には、
定規と一緒に材料を撮影した写真
などでも状態を確認しやすくなります。
確認ポイント3.材料は乾いているか、湿っているか
粉体・粒体では水分状態も重要です。
確認したいのは、
- 完全に乾燥している
- 少し湿っている
- 雨天時だけ湿る
- 水分を多く含む
- 泥状になることがある
- 固まることがある
といった状態です。
乾燥時には流動性が高い材料でも、水分を含むことで付着・固結しやすくなる場合があります。
そのため、できれば通常時だけでなく最も条件が悪いときの状態も伝えます。
水分が多い材料は実際の状態確認が重要
ジェクターは液体を含む材料にも使用できる場合があります。
例えば、水が十分に存在する池のような状態であれば、液体とともに吸引できる場合があります。
一方、
粉体+少量の水分
↓
粘りのある泥・ヘドロ状になる
と、ホース内部などで詰まりやすくなる場合があります。
そのため「濡れている」という情報だけで判断せず、実際の材料状態を確認することが重要です。
確認ポイント4.固結していないか
ホッパーやサイロなどでは、
- 長期保管
- 圧密
- 水分
- 温度変化
などによって材料が固まることがあります。
大きく固結した材料は、そのままでは吸引しにくい場合があります。
この場合には、
固結物を崩す
↓
吸引可能な状態にする
↓
ジェクターで回収・搬送
という方法を検討します。
固結物を崩す作業には、圧縮空気を利用する「エアースコップ」と組み合わせる方法もあります。
確認ポイント5.どこから吸引するのか
次に、吸引元を確認します。
例えば、
- 床
- 設備下
- ピット
- ホッパー
- サイロ
- フレコン
- タンカー船倉
- タンク
- 配管内
などです。
同じ材料でも、吸引場所によって作業方法が変わります。
吸引場所の周囲も確認する
吸引元だけでなく、
ジェクター本体をどこへ置けるか
も確認します。
ジェクターでは、
吸引側をできるだけ短くし、長距離部分を排出側へ取る
構成を推奨しています。
吸引側は5m程度を推奨しています。
現場条件によって10m前後で使用される場合もありますが、吸引距離が長くなるほど条件は厳しくなります。
そのため、
材料の近くへジェクターを設置できるスペースがあるか
を確認します。
確認ポイント6.どこへ排出するのか
排出先も重要です。
例えば、
- フレコンバッグ
- オープン容器
- ホッパー
- サイロ
- 次工程の設備
- 建屋外
- 回収車両
などです。
ジェクターでは材料とともに搬送空気も排出されるため、排出側で空気をどのように処理するかも確認します。
特に密閉された容器・設備へ投入する場合には、排気条件まで含めた検討が必要です。
微粉体なら粉じん処理も考える
細かな粉体を排出すると、排出先で粉じんが発生する場合があります。
このような場合には、
ジェクターで吸引・搬送
↓
ジェクロンで集粉
↓
フレコンなどへ回収
という構成を検討できます。
集粉機「ジェクロン」はサイクロン方式の粉体回収設備で、
- 高性能集じんフィルター
- インバーターによる風量調整
- パルスエアーによる自動逆洗
などの機能があります。
設備導入では、吸引・搬送だけでなく排出後の粉じん処理まで考えることが重要です。
確認ポイント7.水平距離を測る
次に搬送距離を確認します。
まず、
吸引場所から排出場所までのおおよその水平距離
を測ります。
正確な図面がなくても、
約10m
約30m
約100m
といった概算でも初期検討には役立ちます。
条件によっては、ジェクターでは排出側で水平約200m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、これはすべての材料で保証される数値ではありません。
確認ポイント8.高低差を測る
水平距離と同時に、高低差も確認します。
例えば、
水平30m・高低差0m
と、
水平30m・高低差20m
では条件が異なります。
条件によってはジェクターで垂直約100m程度の搬送を検討できる場合があります。
ただし、
- 搬送物
- 粒径
- かさ密度
- 水分
- 必要搬送量
- ホース径
- 曲がり
- コンプレッサー
などによって条件は変化します。
確認ポイント9.搬送経路の曲がりや障害物
単純な距離だけでなく、実際にホースや配管を通す経路を確認します。
例えば、
- 建物の柱
- 機械設備
- 階段
- 壁
- 配管ラック
- 通路
- 車両動線
などです。
また、
90度曲がりが何か所必要になるか
も搬送条件へ影響します。
できるだけ急な曲がりを減らせる経路を検討します。
確認ポイント10.必要な搬送量
設備選定では、
どのくらいの量を運びたいのか
を確認します。
例えば、
「1日10トン」
だけではなく、
10トンを8時間かけて運ぶのか
それとも、
10トンを2時間で運ぶ必要があるのか
まで整理します。
確認したいのは、
- 1回の搬送量
- 1日の搬送量
- 希望する搬送時間
- 1日の作業回数
- 連続運転か間欠運転か
などです。
現在の作業時間も確認する
必要搬送量が分からない場合には、現在の作業時間から考える方法もあります。
例えば、
作業員3人
×
2時間
×
1日2回
という作業なら、
設備導入によって、
- 必要人数を減らせないか
- 作業時間を短縮できないか
- 別の作業へ人員を回せないか
を検討できます。
設備能力だけでなく、現在どれだけ人手と時間を使っているかも重要な情報です。
確認ポイント11.コンプレッサーの有無
ジェクターは圧縮空気を動力として使用します。
そのため、
現場にコンプレッサーがあるか
を確認します。
既設コンプレッサーがある場合には、
- メーカー・型式
- 出力
- 圧力
- 空気量
- 他設備との共用状況
などが分かると設備を検討しやすくなります。
必要な圧力・空気量を確保できれば、工場などの既設圧縮空気を利用できる場合があります。
コンプレッサーから使用場所までの経路も確認する
コンプレッサー本体の能力が十分でも、
- エアー配管が細い
- 使用場所まで遠い
- 他設備が同時に使用する
- エアー漏れがある
などの場合には、必要な圧縮空気を供給できない可能性があります。
そのため、
コンプレッサー本体
+
ジェクターまでのエアー供給経路
を確認します。
確認ポイント12.電源・作業スペース・周辺設備
ジェクター本体は圧縮空気で作動しますが、組み合わせる周辺設備によっては電源が必要になる場合があります。
また、
- ジェクターを設置する場所
- ジェクロンなどの周辺設備を置く場所
- フレコンを設置する場所
- 作業員の通路
- フォークリフトの動線
なども確認します。
「設備が置けるか」だけではなく、実際に安全に運用できるスペースがあるかを見ることが重要です。
確認ポイント13.既存設備へ接続できるか
既存のホッパーや配管を活用できる場合もあります。
設備の構造によっては、
- フランジ
- ニップル
- ボールジョイント
- 各種継手
などを利用してジェクターを接続できます。
例えば、
既存ホッパー
↓
ジェクター
↓
既存配管
↓
次工程
といった構成を検討できます。
設備をすべて作り直すのではなく、既存設備を活かしながら必要な部分だけ改善できないかを確認します。
確認ポイント14.摩耗性のある材料か
砂・ブラスト材・砕石などを搬送する場合には摩耗も考慮します。
ジェクターでは、排出部が最も摩耗しやすい部分です。
摩耗対策として、排出部へ接続するセラミック補強耐摩耗ホースを使用する方法があります。
また、配管や曲がり部分も材料によって摩耗する可能性があります。
設備導入時には初期費用だけでなく、消耗部品や交換についても考えておきます。
現場写真は何を撮ればよい?
初回相談では、現場写真があると状況を把握しやすくなります。
特に、
吸引場所
材料がどこにあるのか分かる写真。
搬送物
材料の粒径・状態が分かる近接写真。
搬送経路
吸引場所から排出場所までの周辺状況。
排出場所
フレコン、ホッパー、設備などの写真。
コンプレッサー
銘板や型式が分かる写真。
現在の作業
人がどのように回収・運搬・投入しているのか分かる写真。
これらがあると、初期段階で設備構成をイメージしやすくなります。
動画なら作業の流れも伝わりやすい
写真だけでなく動画も有効です。
例えば、
「この場所に材料が溜まり、作業員がスコップでここまで運び、このホッパーへ投入しています」
という流れを撮影すると、
- 作業距離
- 作業スペース
- 材料状態
- 現在の人員
- 周辺設備
などを把握しやすくなります。
図面がない現場でも、写真や動画から初期検討を進められる場合があります。
図面がなくても相談できる
設備導入を検討し始めた段階では、
- 正確な距離が分からない
- 配管図がない
- 必要搬送量を計算していない
- コンプレッサーの空気量が分からない
ということもあります。
その段階でも問題ありません。
まず、
搬送物
おおよその距離
おおよその高低差
現在困っている作業
など、分かる範囲から整理します。
不足している情報は、その後確認していくことができます。
初回相談で最低限あるとよい情報
最初から細かな仕様書を作る必要はありません。
まずは、
① 何を運びたいか
② どこからどこへ運びたいか
③ 距離と高低差はどの程度か
④ どのくらいの量を運びたいか
⑤ 現在どのような作業に困っているか
が分かれば、設備検討を始めやすくなります。
可能であれば、
現場写真・材料写真・作業動画
も用意します。
現場条件によっては現地確認を行う
写真や動画だけでは判断しにくい場合には、現場で設備条件を確認することも重要です。
例えば、
- 搬送経路が複雑
- 高低差が大きい
- 既存設備へ組み込みたい
- 配管ルートを検討したい
- 作業スペースが限られている
といったケースです。
現地では、設備配置や搬送経路などをより具体的に確認できます。
導入前に実際の材料で搬送テストを行う
粉体・粒体は材料によって搬送特性が異なります。
特に、
- 水分がある
- 粘着性がある
- 粒径にばらつきがある
- 長距離搬送したい
- 高所へ投入したい
- 必要搬送量が大きい
- 材料への影響が心配
といった場合には、実際の材料による搬送テストが有効です。
搬送テストでは、
- 搬送できるか
- どの程度の搬送量になるか
- ホースへ付着しないか
- 詰まりが発生しないか
- 適した機種はどれか
などを確認します。
導入前の確認は「失敗を防ぐため」だけではない
現場調査というと、
設備選定を間違えないための確認
というイメージがあります。
もちろんそれも重要ですが、もう一つ大きな目的があります。
それが、
現在の作業工程そのものを見直すこと
です。
例えば、
吸引
↓
搬送
↓
一度フレコンへ回収
↓
フォークリフトで移動
↓
再び設備へ投入
しているのであれば、
条件によっては、
吸引
↓
ジェクターで直接搬送
↓
設備へ投入
という構成を検討できる可能性があります。
現状と同じ工程を機械化するだけでなく、
なくせる工程がないか
まで考えることが重要です。
よくある質問
問い合わせ前に正確な搬送距離を測る必要がありますか?
初期相談では、おおよその距離でも検討を始められます。
設備構成を具体化する段階で、必要に応じて詳細な距離や高低差を確認します。
材料の粒径やかさ密度が分かりません。
分かる範囲で問題ありません。
材料名や写真、サンプルなどから確認を進めることもできます。
図面がありませんが相談できますか?
図面がなくても、現場写真や動画、おおよその寸法などから初期検討を進められる場合があります。
既存のコンプレッサーを使えますか?
必要な圧力・空気量を確保できれば利用できる場合があります。
型式や銘板写真などがあると確認しやすくなります。
既存設備へジェクターを後付けできますか?
設備構造によっては、フランジ・ニップル・ボールジョイントなどを使用して既存設備へ接続できる場合があります。
実際の材料で試せますか?
実際の対象物を使用した搬送テストをご相談いただけます。
対象物や必要搬送量などを確認したうえで、テスト方法を検討します。
まとめ
粉体搬送設備を導入する前には、
- 搬送物
- 粒径
- 水分
- 固結の有無
- 吸引場所
- 排出場所
- 搬送距離
- 高低差
- 曲がり・障害物
- 必要搬送量
- コンプレッサー
- 現在の作業方法
などを確認します。
ただし、問い合わせ前にすべての条件を確定させる必要はありません。
空気搬送機「ジェクター」は、お手持ちのコンプレッサー(圧縮空気)と接続するだけで、吸引・搬送・投入・排出(散布)を1台で行える空気搬送機です。
内部はシンプルなストレート構造で駆動部を持ちません。
設備導入や設備改善をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
搬送物、おおよその搬送距離・高低差、必要搬送量、現在の作業内容など、分かる範囲からご相談いただけます。現場写真や動画なども確認しながら、現場に適した機種・ホース構成・回収方法をご提案します。
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