工場・発電所・化学プラントなどでは、設備を安全かつ安定して稼働させるために「定修工事(定期修理工事)」が行われます。
定修工事では設備を停止し、通常運転中には実施しにくい点検・清掃・補修・部品交換などを集中的に行います。
一方、限られた停止期間内に多くの作業を完了させる必要があるため、
- 短期間に多くの作業員が必要になる
- 設備内部の清掃・残留物回収に時間がかかる
- 狭所や高所での作業負担が大きい
- 粉じんが発生する
- 回収物の運搬に人手がかかる
といった課題が発生することがあります。
この記事では、定修工事とは何か、目的や代表的な作業内容、定修期間中に発生しやすい清掃・回収作業の課題と、省力化する方法について解説します。
定修工事とは?
定修工事とは、工場やプラントなどの設備を一定期間停止し、点検・整備・清掃・補修・部品交換などを行う工事です。
「定期修理工事」「定期修繕工事」などと呼ばれることもあります。
通常運転を続けている設備では、内部の詳細な点検や大規模な補修を行うことが難しい場合があります。
そこで、あらかじめ計画した時期に設備を停止し、必要なメンテナンスをまとめて実施します。
定修工事は、設備の安全性や生産性を維持するための重要なメンテナンスです。
定修工事を行う目的
定修工事の主な目的は、設備を安全かつ安定して使用し続けることです。
設備の異常・劣化を確認する
長期間稼働している設備では、摩耗・腐食・付着・変形などが徐々に進行する可能性があります。
定修期間中に設備内部まで点検することで、通常運転中には確認しにくい異常を発見できます。
故障や設備停止を予防する
設備の故障が発生すると、生産ラインやプラント全体が突然停止する可能性があります。
定期的に部品交換や補修を行うことで、突発的な故障のリスクを低減し、安定稼働につなげます。
設備内部を清掃する
設備によっては、運転を続けることで内部に、
- 粉じん
- 灰
- 砂
- スラッジ
- 原料
- 燃料
- 加工くず
- 堆積物
などが蓄積します。
定修工事では、こうした残留物を除去してから点検・補修作業を行うケースがあります。
設備を更新・改造する
定修期間を利用して、老朽化した設備の更新や、生産性・安全性を高めるための設備改造を行う場合もあります。
定修工事はどのような施設で行われる?
定修工事は、大規模な生産設備や連続運転設備を持つさまざまな施設で行われます。
例えば、
- 火力発電所
- バイオマス発電所
- 製鉄所
- 化学工場
- 石油・石化プラント
- セメント工場
- 製紙工場
- 焼却施設
- 各種製造工場
などです。
施設によって設備構成や対象物は異なりますが、設備停止中に点検・清掃・補修などを集中して行うという基本的な考え方は共通しています。
定修工事ではどんな作業を行う?
実際の作業内容は設備によって異なりますが、代表的なものとして次のような作業があります。
設備の点検
配管、タンク、ボイラー、コンベア、各種機械設備などの状態を確認します。
摩耗・腐食・亀裂・変形などがないか確認し、必要に応じて補修します。
部品交換・補修
消耗した部品や劣化した部品を交換します。
設備によっては、耐火材、配管、バルブ、ベアリング、シールなどさまざまな部品・設備が対象になります。
設備内部の清掃
点検や補修を行うためには、設備内部に堆積した材料を事前に除去する必要がある場合があります。
特に粉体・粒体を扱う設備では、
- ホッパー
- サイロ
- タンク
- 炉
- ピット
- コンベア周辺
- 配管周辺
などに材料が残留することがあります。
残留物・堆積物の回収
清掃によって取り除いた材料は、その場から回収して別の場所まで運ぶ必要があります。
この「取り除く → 回収する → 運搬する」工程が、定修工事における大きな作業負担になることがあります。
なぜ定修工事は短期間で行う必要がある?
定修工事では設備を停止するため、その期間中は生産・発電などを停止または制限することになります。
そのため、多くの現場ではあらかじめ工程を細かく設定し、限られた期間内に必要な作業を完了させます。
一つの工程が遅れると、その後の点検・補修・復旧作業にも影響する可能性があります。
例えば、
設備停止
↓
内部清掃・残留物除去
↓
点検
↓
補修・部品交換
↓
復旧
↓
運転再開
という工程の場合、最初の清掃・残留物回収に想定以上の時間がかかれば、その後の工程開始も遅れてしまいます。
そのため定修工事では、直接的な補修作業だけでなく、その前後に発生する清掃・回収・運搬作業の効率化も重要です。
定修工事で負担になりやすい清掃・回収作業
定修工事では、設備を開放した際に大量の残留物や堆積物が見つかることがあります。
例えば、
- ボイラー周辺に堆積した灰
- ホッパー内部に残った粉体
- サイロ内部の残留物
- コンベア下へ落下した材料
- 設備内部に堆積した砂
- ピット内に溜まった粉粒体
- 設備周辺へ飛散した粉じん
などです。
これらをスコップやバケツなどで人力回収すると、作業量によっては多くの人員と時間が必要になります。
人力による残留物回収の課題
作業員の身体的負担が大きい
粉体・粒体をスコップで集め、容器へ入れて運搬する作業は身体的な負担が大きくなります。
特に定修期間中は作業量が集中するため、繰り返し作業による負担も増加します。
狭所では作業しにくい
設備内部や配管周辺などでは、作業スペースが限られる場合があります。
大型の回収設備を作業場所まで持ち込むことが難しく、人力作業に頼らざるを得ないケースもあります。
高低差があると運搬が難しい
地下ピットや設備内部などから回収物を取り出す場合、単純な水平移動だけではありません。
階段や足場を経由して容器を運ぶ必要があると、作業負担がさらに大きくなります。
粉じんが発生する
乾燥した灰や粉体などをスコップやほうきで扱うと、粉じんが舞い上がる場合があります。
対象物や作業環境に応じた粉じん対策が必要です。
定修工事の清掃・回収を省力化する方法
大量の粉体・粒体・堆積物を回収する場合、対象物や現場条件に応じて機械化することで作業負担を軽減できる可能性があります。
代表的な方法として、
- 産業用バキューム
- 吸引車・バキューム車
- 空気搬送設備
- コンベア
- 人力回収
などがあります。
どの方法が適しているかは、
- 対象物
- 回収量
- 回収場所
- 搬送距離
- 高低差
- 作業スペース
- 利用できる動力源
などによって異なります。
バキューム車による回収
大量の粉体や汚泥などを回収する方法として、バキューム車・吸引車が使用されることがあります。
大量回収に適した方法ですが、現場によっては、
- 車両を設備近くまで入れられない
- ホースを長距離延長する必要がある
- 高所・設備内部へアクセスしにくい
- 車両を長時間拘束する
といった条件も考慮する必要があります。
そのため、回収量や現場条件によっては別の方法が適している場合もあります。
空気搬送による残留物回収
粉体・粒体を扱う現場では、空気の流れを利用して材料を吸引・搬送する方法があります。
吸引口となるホースを作業場所へ持ち込むことで、設備内部や床面などに堆積した材料を吸引し、ホース・配管を通して別の場所へ搬送できます。
例えば、
設備内部の堆積物
↓
ホースから吸引
↓
空気搬送
↓
フレコン・回収設備などへ排出
という構成です。
回収と運搬を一つの工程として行えるため、人力で材料を容器へ詰め、何度も運搬する工程を削減できる可能性があります。
空気搬送機「ジェクター」を定修工事の回収作業に活用
エコ・ワークでは、圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送する空気搬送機「ジェクター」を取り扱っています。
ジェクターは、本体内部にモーターや回転部などの駆動装置を持たないシンプルなストレート構造です。
圧縮空気を供給することで吸引力を発生させ、粉体・粒体をホースや配管で搬送します。
定修工事では、例えば、
- 設備内部に残った粉体の回収
- ホッパー・槽内の残留物回収
- コンベア周辺に堆積した材料の回収
- 灰・砂などの回収
- ピット内の粉粒体回収
- 回収物を離れた場所まで搬送
- フレコンなどへの排出
といった用途を検討できます。
長距離・高低差のある現場でも搬送方法を検討できる
定修工事では、回収場所と排出場所が近いとは限りません。
例えば、
- 設備内部から屋外まで搬送したい
- 地下ピットから地上へ取り出したい
- 建屋内から離れた回収場所まで運びたい
- 高所設備から地上側へ材料を移したい
といったケースがあります。
ジェクターはホースや配管を利用して材料を搬送できるため、現場条件に合わせて搬送経路を検討できます。
ただし、実際の搬送能力は対象物の性状、水平距離、高低差、配管径、曲がりの数、使用できる圧縮空気量などによって変化します。
そのため、具体的な現場条件を確認したうえで機種・構成を選定することが重要です。
回収物をジェクロンで分離・フレコンへ排出する構成
ジェクターで吸引・搬送した粉体・粒体は、用途に応じて集粉機「ジェクロン」と組み合わせることができます。
例えば、
堆積物を吸引
↓
ジェクターで搬送
↓
ジェクロンで空気と回収物を分離
↓
フレコンなどへ排出
という設備構成です。
回収場所から離れた位置にフレコンを設置できれば、作業員が何度も回収物を運搬する工程の削減につながる可能性があります。
固結した堆積物はエアースコップとの併用も
長期間設備内部に堆積した粉体や灰などは、圧密や水分などによって固結している場合があります。
固結した材料は、そのままでは吸引口まで流れてこないため、先に崩す必要があります。
このような場合には、圧縮空気を利用して固結物を崩す「エアースコップ」との併用も検討できます。
例えば、
固結した堆積物をエアースコップで崩す
↓
ジェクターで吸引
↓
ホース・配管で搬送
↓
ジェクロンなどで回収
という方法です。
人力で大量の固結物を崩しながら運搬している現場では、作業負担を軽減できる可能性があります。
定修工事ではレンタルによるスポット利用も有効
定修工事は年間を通じて常に行う作業ではなく、一定期間に集中して実施されるケースがあります。
そのため、設備を常設するだけでなく、定修期間のみ搬送機をレンタルする方法も選択肢になります。
例えば、
- 年に1回の定修期間だけ使用したい
- 今回の工事で初めて使用する
- 購入前に実際の現場で試したい
- 一時的に回収作業が増える
といった場合です。
ジェクターはレンタルにも対応しているため、定修工事など期間限定の用途でもご相談いただけます。
定修工事で搬送設備を検討するときのポイント
定修工事で粉体・粒体の回収設備を検討する場合は、事前に現場条件を整理しておくことが重要です。
対象物
- 灰
- 砂
- 粉じん
- 原料
- 燃料
- 加工くず
- その他の粉体・粒体
対象物の粒径、かさ密度、含水率、固結状態なども確認します。
回収量
数十kg程度なのか、数百kgなのか、数トン規模なのかによって適した方法が変わります。
搬送距離
吸引場所から排出場所まで何mあるのか確認します。
水平距離だけでなく、垂直方向の高低差も重要です。
搬送経路
配管・ホースに曲がりが多い場合、搬送性能に影響します。
設備や足場を避ける必要がある場合は、実際の搬送ルートも確認します。
利用できる圧縮空気
ジェクターを使用する場合には圧縮空気が必要です。
現場のコンプレッサー設備を利用するのか、別途コンプレッサーを用意するのかも含めて検討します。
実際の対象物で事前テストも可能
定修工事は期間が限られているため、工事開始後に「想定していたように回収できない」という事態はできるだけ避けたいところです。
特に、
- 初めて扱う対象物
- 湿った粉体
- 付着性の高い粉体
- 固結する材料
- 長距離搬送
- 高低差の大きい搬送
などでは、事前確認が重要です。
エコ・ワークでは、実際の対象物を使用したジェクターの搬送テストについてもご相談いただけます。
定修工事の日程が決まっている場合は、対象物や搬送条件を事前に確認し、必要な機種・構成を検討することをおすすめします。
定修工事前に確認しておきたい情報
ジェクターによる回収・搬送をご検討の場合、次の情報があると設備構成を検討しやすくなります。
- どの設備を清掃するのか
- 何を回収するのか
- おおよその回収量
- 粒径・かさ密度
- 乾燥しているか、湿っているか
- 固結しているか
- 吸引場所から排出場所までの距離
- 垂直方向の高低差
- 希望する作業時間
- 利用可能なコンプレッサー能力
すべての情報が揃っていなくても、分かる範囲からご相談いただけます。
よくある質問
定修工事とは何ですか?
工場やプラントなどの設備を一定期間停止し、点検・清掃・補修・部品交換などをまとめて行う工事です。定期修理工事や定期修繕工事などと呼ばれることもあります。
定修工事ではどのような作業を行いますか?
設備によって異なりますが、点検、清掃、部品交換、補修、設備更新、設備内部に残った材料や堆積物の除去などが行われます。
定修工事でジェクターはどのように使えますか?
設備内部や床面、ホッパー、ピットなどに残った粉体・粒体をホースから吸引し、離れた場所まで搬送するといった用途を検討できます。
灰や砂も回収できますか?
対象物の状態や搬送条件によります。粒径、かさ密度、含水率、搬送距離などを確認したうえで機種や設備構成を検討します。
固まった粉体も吸引できますか?
大きく固結した材料は、そのままでは吸引しにくい場合があります。その場合はエアースコップなどで崩してからジェクターで回収する方法も検討できます。
定修工事の期間だけレンタルできますか?
はい。ジェクターはレンタルにも対応しています。定修工事など期間限定の作業での利用についてもご相談いただけます。
工事前に搬送できるか確認できますか?
はい。実際の対象物を使用した搬送テストについてもご相談いただけます。対象物や搬送距離などが分かれば、より実際の現場に近い条件で検討できます。
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圧縮空気を利用して粉体・粒体を吸引・搬送するジェクターの構造や特徴について紹介しています。
集粉機「ジェクロン」
ジェクターで搬送した粉体・粒体を空気と分離し、フレコンなどへ回収する際に利用できます。
エアースコップ
固結した粉体・堆積物を崩しながら回収したい場合に、ジェクターとの併用を検討できます。
まとめ
定修工事とは、工場・発電所・プラントなどの設備を一定期間停止し、点検・清掃・補修・部品交換などを行う工事です。
設備を安全かつ安定して使用するために重要ですが、限られた停止期間内に多くの作業を完了させる必要があります。
特に設備内部に大量の粉体・粒体・灰・砂などが堆積している場合、点検や補修を開始する前の清掃・回収作業に多くの時間と人員が必要になることがあります。
こうした現場では、
堆積物を吸引 → ホース・配管で搬送 → 回収場所へ排出
という工程を機械化することで、人力による回収・運搬作業を削減できる可能性があります。
エコ・ワークでは、空気搬送機「ジェクター」、集粉機「ジェクロン」、固結物を崩す「エアースコップ」などを組み合わせ、対象物や現場条件に合わせた回収方法をご提案しています。
定修工事で設備内部の清掃・残留物回収・粉体搬送に課題がある場合は、対象物、回収量、搬送距離など分かる範囲からご相談ください。
