この記事でわかること
- 船舶メンテナンスの足場・高所でブラスト材が残る理由
- 高所からブラスト材を人力で下ろす作業の負担
- ジェクターを使って足場上から地上へ搬送する方法
- 吸引ホースと排出ホースの基本的な考え方
- ブラスト材・塗膜片・サビなどが混ざる場合の注意点
- ワイヤ等の線状異物が混ざる場合の対処
- 足場上でジェクターを使う場合の配置方法
- 高低差がある現場で確認したいポイント
- 回収後に集粉・分別する方法
- 導入前に実物テストする重要性
はじめに
船舶の修繕・塗装工事では、船体側面や高所部分の作業を行うために、船体周囲へ足場を設置する場合があります。
こうした足場上で、
- ブラスト処理
- サビ除去
- 塗膜剥離
- 付着物除去
などを行うと、
- 使用済みブラスト材
- 剥離した塗膜
- サビ
- スケール
- その他の回収物
が足場上へ残ることがあります。
作業後にはこれらを回収しなければなりません。
例えば、
足場上
↓
ほうきで集める
↓
容器へ入れる
↓
容器を下へ降ろす
↓
地上で回収
という方法です。
しかし高所作業では、
「集める」だけでなく「地上まで下ろす」工程
が必要になります。
そこで検討できるのが、空気搬送機「ジェクター」です。
ジェクターを利用すれば、
足場上のブラスト材
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
地上の回収設備
という形で、回収物をホース内で搬送できる場合があります。
本記事では、船舶メンテナンス時の足場・高所に残ったブラスト材等を効率よく回収する方法について解説します。
なぜ足場上にブラスト材が残る?
船体外板などのブラスト処理では、研掃材を船体表面へ噴射します。
研掃材は船体に衝突したあと、
下方向
周囲
へ落下します。
その一部が足場上へ残ります。
ブラスト材だけではない
足場上へ落ちるのは、
使用済みブラスト材
だけとは限りません。
例えば、
- 剥離した塗膜
- サビ
- スケール
- 金属片
- 付着物の破片
などが混ざることがあります。
作業後に清掃工程が必要
ブラスト作業が終わっても、
足場上
↓
回収物が残る
ため、そのまま次工程へ進めない場合があります。
従来はほうき・スコップで回収
例えば、
ほうき
↓
ブラスト材を集める
スコップ
↓
バケツ・容器へ入れる
という方法です。
問題はその後
地上であれば、
容器
↓
そのまま移動
できます。
しかし足場上では、
回収した資材を地上へ下ろす
必要があります。
高所から容器を下ろす工程
例えば、
足場上
↓
ブラスト材を容器へ入れる
↓
容器満杯
↓
地上へ降ろす
↓
新しい容器を上へ運ぶ
という作業を繰り返します。
重量が積み重なる
ブラスト材は粒状物です。
1回の容器量がそれほど大きくなくても、
大量のブラスト材を処理する場合には、
何度も持ち上げる
下ろす
交換する
作業が発生します。
高所では搬出工程そのものがボトルネックになる
例えば、
ブラスト作業
↓
終了
回収
↓
大量
地上搬出
↓
時間がかかる
という場合です。
この清掃・搬出が終わるまで、次の作業へ移れない可能性があります。
ジェクターで高所から搬送
ジェクターは圧縮空気を利用して粉体・粒体などを吸引・搬送する空気搬送機です。
足場上に残ったブラスト材についても、条件によって、
足場
↓
ジェクター
↓
地上
へ搬送できます。
基本構成
例えば、
足場上のブラスト材
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
地上回収場所
です。
「容器で下ろす」を「ホースで送る」へ
従来、
ブラスト材
↓
バケツ
↓
地上
だったものを、
ブラスト材
↓
ジェクター
↓
ホース
↓
地上
とします。
作業員は吸引ホースを操作
足場上では、
吸引ホース
↓
ブラスト材へ近づける
ことで回収します。
ほうきで集める工程を減らせる場合も
ブラスト材が一定量まとまっている場合には、
スコップへ集める
前に直接吸引できる可能性があります。
足場上へ大型設備を持ち込む必要はない
現場条件によりますが、ジェクター本体を資材の近くへ置き、
回収対象にはホースでアクセスします。
大型の清掃設備を足場上で自由に移動するよりも、ホースを扱う方が運用しやすい場合があります。
本体をどこに置く?
ジェクターでは、
吸引側を短くする
ことが基本です。
そのため、
回収対象
↓
吸引数m
↓
ジェクター
となるように配置します。
吸引側は5m程度を推奨
ジェクターでは、吸引側5m程度を推奨しています。
現場によっては10m程度で使用されるケースもあります。
高所から地上までを排出側で送る
例えば、
足場
↓
吸引3m
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
地上
という構成です。
「高所から下へ送る」場合も確認が必要
ジェクターでは上方向への搬送だけでなく、下方向への搬送でも、
- ホースルート
- 高低差
- 曲がり
- 搬送物
などを確認します。
条件によって長距離搬送も可能
ジェクターでは条件によって、
排出側200m程度
の長距離搬送が可能なケースがあります。
足場下がそのまま回収場所とは限らない
例えば、
足場
↓
地上
さらに、
地上
↓
50m先の回収設備
という場合です。
この場合にも、
ジェクター
↓
排出ホース
↓
最終回収場所
と搬送できます。
条件によって高さ100m程度の搬送も可能
ジェクターでは条件によって、
高さ100m程度
の搬送が可能なケースがあります。
そのため、高低差がある船舶メンテナンス現場でも活用できます。
数値は現場条件によって変わる
ただし、
200m
100m
という数値が、すべてのブラスト材・現場条件で保証されるわけではありません。
確認する条件
例えば、
- ブラスト材の種類
- 粒径
- 比重
- 回収量
- ホース径
- 曲がり
- 水平距離
- 高低差
- 混入物
などです。
足場で特に重要なのがホースルート
船体周囲の足場は、
- 支柱
- 筋交い
- 作業床
- 階段
- 仮設設備
などが複雑に配置されています。
直線距離だけで判断しない
例えば、
足場から地上
↓
高さ20m
でも、
実際には、
足場を迂回
↓
船体を避ける
↓
地上設備へ
となるため、ホース長はさらに長くなることがあります。
曲がりが多いほど搬送条件が厳しくなる
粒状のブラスト材だけなら流れても、
異物が混ざると曲がり部分で問題が発生する可能性があります。
塗膜片が混ざる場合
船体ブラスト後には、
ブラスト材
+
剥離した塗膜
が混ざることがあります。
細かな塗膜片
小さく細かなものであれば、ブラスト材と一緒に搬送できる可能性があります。
大きな塗膜片
一方、
薄い
大きい
シート状
のものは、ホース内部で引っ掛かる可能性があります。
ステンレスワイヤ等の線状物にも注意
船体の付着物除去等で、
ステンレスワイヤなどの線状物
が発生・混入する場合があります。
ワイヤは粒状物とは挙動が違う
例えば、
ブラスト材
↓
ホース内を流れる
ワイヤ
↓
曲がる
↓
絡む
という可能性があります。
大きなワイヤだけ先に回収
そのため、
長いワイヤ
↓
人力で除去
ブラスト材中心
↓
ジェクター
という役割分担も検討できます。
「全部吸う」ことが目的ではない
例えば、
回収物の大部分
↓
ブラスト材
一部
↓
ワイヤ・大物
なら、
ブラスト材だけでも機械回収する
ことで作業量を大きく減らせる可能性があります。
サビ・スケールの混入
ブラスト処理では、船体表面からサビやスケールが剥離します。
大きなスケール片を確認
細かなサビなら問題なくても、
大きな金属片状のスケール
が混ざる場合には、最大サイズを確認します。
船体付着物の破片
フジツボ・牡蠣などを除去した場合、その破片が足場へ落ちる場合があります。
付着物はブラスト材より条件が厳しい場合も
例えば、
- 不定形
- 硬い
- 水分がある
- 大きい
などです。
そのため、一緒に吸えるかどうかは実物確認が必要です。
大きいものは別回収でもよい
例えば、
大きな付着物
↓
人力回収
細かな破片+ブラスト材
↓
ジェクター
という方法です。
高所からの回収で得られるメリット① 容器搬出を減らせる
最も大きなメリットです。
足場上で、
容器へ入れる
↓
地上へ下ろす
という作業を減らせる可能性があります。
メリット② 空容器の上げ下げも減らせる
回収容器が満杯になれば、新しい容器を足場上へ持っていく必要があります。
ホース搬送なら、この交換作業自体を減らせる可能性があります。
メリット③ 回収と搬送を同時に行える
ジェクターでは、
吸引
↓
そのまま搬送
するため、
回収後に別途運搬する工程を減らせます。
メリット④ 回収先を地上の一か所へ集約できる
例えば複数階の足場で回収していても、
最終的な回収先を、
地上の一定場所
へまとめることができます。
メリット⑤ 次工程へ直接つなげられる
例えば、
足場上
↓
ジェクター
↓
地上
↓
分別設備
とできます。
回収後にブラスト材を再利用する場合
使用済みブラスト材を再利用するなら、
- 塗膜
- サビ
- 粉じん
- その他異物
を除去する必要があります。
ジェクターから分別設備へ送る
例えば、
足場
↓
ジェクター
↓
分別設備
↓
再使用可能なブラスト材
という工程です。
中間容器を減らせる可能性
従来、
足場
↓
バケツ
↓
フレコン
↓
フォークリフト
↓
分別設備
だったものを、
足場
↓
ジェクター
↓
分別設備
とできる可能性があります。
ジェクロンとの組み合わせ
ブラスト材回収では細かな粉じんが発生する場合があります。
回収・排出条件によっては、
集粉機「ジェクロン」
を組み合わせる方法があります。
分別設備との組み合わせ
例えば、
ジェクター
↓
ブラスト材搬送
↓
分別設備
↓
粒状物・異物の分離
という構成です。
回収・集粉・分別を一体で考える
船舶ブラストでは、
単純な回収
だけではなく、
回収
↓
搬送
↓
集粉
↓
分別
まで含めて考えると、工程全体を改善できる場合があります。
足場上でジェクターを使う際に確認したいこと① 設置場所
ジェクター本体を、
どこへ置くか
を確認します。
足場の荷重・スペース
実際の設置では、
- 作業スペース
- 足場構造
- 周辺設備
なども確認する必要があります。
必ず安全管理を優先
高所・足場作業では、設備効率よりも、
現場の安全管理
足場使用条件
作業手順
を優先します。
確認ポイント② エアーホース
ジェクターは圧縮空気で作動するため、
ジェクター設置位置まで圧縮空気を供給する必要があります。
確認ポイント③ 排出ホース
高所から地上まで、
どのルートでホースを通すか
を確認します。
ホースを適切に固定
高所から長いホースを垂らす場合には、ホース自体の重量や動きを考慮し、現場条件に応じて適切な支持・固定が必要になります。
確認ポイント④ 回収量
例えば、
足場1段あたり
↓
何kg
全体
↓
何t
などです。
確認ポイント⑤ 必要処理時間
例えば、
ブラスト終了後
↓
2時間以内に清掃
などです。
必要な処理量からジェクターの選定を考えます。
確認ポイント⑥ 混入物
- 塗膜片
- サビ
- スケール
- ワイヤ
- 付着物
などを確認します。
確認ポイント⑦ 最大サイズ・最大長
特に、
大きな塗膜片
長いワイヤ
を確認します。
圧縮空気の供給
ジェクターは、
- 可搬式コンプレッサー
- 据置型コンプレッサー
- 条件を満たした既設エアー
を利用できます。
ブラスト作業用コンプレッサーを使える場合もある
現場条件や能力によっては、ブラスト作業に使用している圧縮空気設備を、ブラスト終了後にジェクターへ使用する運用も検討できます。
同時使用するなら空気量を確認
ブラスト設備とジェクターを同時使用する場合には、
両方に必要な空気量
を確保する必要があります。
工程を分ける方法
例えば、
ブラスト作業中
↓
ブラスト設備へ圧縮空気
終了後
↓
ジェクターへ切り替え
とすれば、同時使用を避けられる場合があります。
実物テストが有効
船舶メンテナンス現場の回収物は混合物になりやすいため、実際の材料を使ったテストがおすすめです。
新品ブラスト材だけでは不十分な場合
使用前は、
ブラスト材のみ
ですが、
使用後は、
ブラスト材
+
塗膜
+
サビ
+
異物
になります。
実際の回収物で確認
テストでは、
現場で実際に回収する状態
に近いサンプルを使います。
テストで確認できること
- 安定して吸引できるか
- 塗膜片が詰まらないか
- ワイヤが絡まないか
- 必要処理量を確保できるか
- 高低差搬送できるか
- 長距離搬送できるか
- 分別工程へ直接送れるか
などです。
写真・動画からでも相談できる
例えば、
- 足場上のブラスト材
- 船体との位置関係
- 足場構造
- 現在の回収作業
- 地上の回収場所
などの写真があると初期検討しやすくなります。
現在の作業人数・時間も重要
例えば、
4人
×
3時間
で清掃しているなら、
12人時
です。
どの工程に時間がかかっているかを見る
例えば、
集める
↓
1時間
容器へ入れる
↓
1時間
地上へ下ろす
↓
1時間
などです。
搬出工程が大きければジェクターの効果を出しやすい
特に、
高所
↓
地上
という資材移動に時間がかかっている場合には、ホース搬送による改善余地があります。
現在の工程
例えば、
ブラスト作業
↓
足場上に研掃材
↓
ほうき
↓
スコップ
↓
バケツ
↓
地上
↓
フレコン
↓
分別
です。
改善案
ブラスト作業
↓
足場上
↓
ジェクター
↓
地上
↓
集粉・分別
です。
消せる工程を探す
改善のポイントは、
今の作業を少し速くする
だけではなく、
容器への積み替えや上げ下ろしそのものをなくせないか
を見ることです。
足場上の全てをジェクターで吸う必要はない
例えば、
ブラスト材
↓
ジェクター
大きなワイヤ
↓
人力
大きな付着物
↓
人力
という役割分担でも十分です。
ブラスト材が大部分なら効果を期待しやすい
大量に存在する粒状ブラスト材だけを機械化できても、スコップ・搬出作業を大幅に減らせる可能性があります。
エコ・ワークでは現場条件から設備構成をご提案
船舶の足場・高所作業では、一般的な工場設備とは異なる条件があります。
そのため、
- 足場位置
- ジェクター設置候補
- 回収量
- 混入物
- 高低差
- ホースルート
- 回収先
- 圧縮空気
などを確認します。
全国で運用方法もご案内
実際には、
ジェクター本体をどこへ置くか
ホースをどのように取り回すか
どこまでを人力で事前除去するか
などによって作業性が大きく変わります。
エコ・ワークでは機器の販売だけでなく、全国の現場でジェクターや関連設備の使い方・運用方法の指導も行っています。
まとめ
船舶の塗装・ブラスト工事では、船体周囲の足場上に、
- 使用済みブラスト材
- 塗膜片
- サビ
- スケール
- その他の回収物
が残ることがあります。
従来、
ほうき
↓
スコップ
↓
容器
↓
地上へ搬出
としている場合には、
高所から資材を下ろす工程
まで人力作業になります。
そこで、
足場上
↓
吸引ホース
↓
ジェクター
↓
排出ホース
↓
地上回収場所
という方法を検討できます。
これによって、
- ほうきで集める
- スコップですくう
- 容器へ入れる
- 満杯容器を地上へ下ろす
- 空容器を再び上げる
といった作業を減らせる可能性があります。
またジェクターでは条件によって、
排出側200m程度の長距離搬送や、高さ100m程度の搬送
が可能なケースがあります。
そのため足場から地上へ下ろした後、そのまま離れた回収・分別設備まで送ることも検討できます。
一方、実際の回収物には、
- 長いステンレスワイヤ
- 大きな塗膜片
- 大きなスケール
- フジツボ・牡蠣などの付着物
が混ざる場合があります。
こうした異物はホース内部で引っ掛かる可能性があるため、
大きな異物を事前回収し、ブラスト材を中心にジェクターで搬送する
など、現場に合わせた役割分担が重要です。
「足場上のブラスト材を人力で下ろしている」
「高所清掃に多くの作業員が必要」
「ブラスト材を足場から地上の分別設備へ直接送りたい」
「容器の上げ下げを減らしたい」
「実際のブラスト材と異物の混合物を搬送できるか確認したい」
という場合には、お気軽にエコ・ワークまでお問い合わせください。
現在の足場構造・回収物・作業人数・高低差・回収先・圧縮空気条件などを確認し、必要に応じて実物テストも行いながら、ジェクターを活用した船舶高所作業の回収・搬送方法をご提案いたします。
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